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セブンが「紅茶」に本気なワケ 専用マシンのこだわり
2025年4月8日 08:00
セブン-イレブンの「紅茶」専用マシンが大きな話題を呼んでいます。現在、首都圏近郊と北海道など約90店舗に設置されており(2025年2月末時点)、購入した人からは「かなり本格的」「茶葉の種類を選べるのが嬉しい。しかも美味しい」と好評のようです。
「紅茶」専用マシンは「セブンカフェ ティー」として、2023年1月から一部店舗で販売を開始。現在は約90店鋪の展開ですが、2026年2月までには全国約2,000店に順次拡大することが発表されています。
なぜ、セブン-イレブンが「紅茶」に注力するのか、専用マシンが設置されている埼玉県加須市の加須琴寄店を訪れ、セブンカフェの商品開発担当者に話を聞きました。
セブンカフェ ティーは、専用カップを購入し、コーヒーやスムージーと同じように自分でカップをマシンにセットして抽出します。商品は、ホットティー、アイスティー、ホットミルクティー、アイスミルクティーの4種類で、いずれもRサイズとLサイズを用意。価格は120円から300円です。
茶葉は、ホットティーとアイスティーは、ダージリンブレンド、アールグレイ、アッサムブレンドの3種類から選択可能。ミルクティーはアールグレイとアッサムブレンドの2種類から選択でき、計10通りの組み合わせの紅茶が楽しめます。
抽出工程にこだわっているのが大きな特徴で、熱湯に近い温度のお湯で茶葉を蒸らし、最適な時間で抽出することで、茶葉本来の香り、淹れたての味わいを引き出しているそうです。
3種類の茶葉を試してみた
今回訪れた店鋪は、埼玉県加須市の加須琴寄店。実際にマシンで紅茶を抽出してみましたが、カップをセットして茶葉を選ぶと、画面に「茶葉を入れています→蒸らしています→ティーを抽出しています」とそれぞれの工程が表示されます。
今回はアイスティーとミルクティーを抽出しましたが、抽出時間はどちらも約1分半。すぐにカップに紅茶が注がれず、蒸らし工程などに時間を掛けていることがわかります。また、画面に「茶葉を蒸らしています」と表示されるあたりからは、茶葉の香りがしっかり感じられました。
まずはアイスティー(ストレート)から飲んでみました。ダージリブレンドはもともと華やかでマスカットのような香りが特徴ですが、セブンカフェ ティーでもその特徴が際立っておりとても美味しかったです。
アールグレイはディンブラ茶葉を使用。ベルガモットで柑橘系の香りをつけた紅茶ということもあり、3種類の中で一番香りがついており、後味も強く残ります。ゴクゴク飲むというより1口1口を味わうようなフレーバーという印象でした。
アッサムブレンドは一番シンプルで、こちらはアールグレイと真逆でゴクゴク飲める味わいでした。クセの少ない紅茶を飲みたいときには、アッサムブレンドが良さそうです。
あくまでも個人の印象ですが、香りの強さではアールグレイ>ダージリンブレンド>アッサムブレンドという順番になると感じました。
ミルクティーにはダージリンがありませんが、アールグレイ、アッサムともにストレートティーと同様の感想で、香りをしっかり感じたいならアールグレイ、あっさりとした香りが好きならアッサムブレンドが良さそうです。
筆者は量を飲みたいタイプなので、ミルクティーはシンプルな味わいのアッサムブレンドが、ストレートティーは香りと飲みやすさのバランスでダージリンが好みでした。
ちなみにミルクティーで特に印象的だったのはミルクが美味しいこと。牛乳好きの筆者はそこそこミルクにこだわりがあるのですが、セブンカフェ ティーのミルクティーはコクがあってミルク感がしっかりあり、かなり好きな味でした。
コーヒーが飲めない人や「ヌン活」需要に対応
紅茶専用マシンの企画背景として「コーヒーが苦手な人が多数いるほか、若い女性の間で紅茶が流行っていて『ヌン活(ホテルなどのアフタヌーンティーを楽しむ活動)』をする人が増えている」と、セブン-イレブン・ジャパン 商品開発本部 次世代商品開発 チーフマーチャンダイザー 櫻井 宏子氏は話します。
「コーヒーは食後に飲む人が多いですが、紅茶は食事中でも飲みやすいことから、新たな食の体験を提供できることも紅茶に着目した理由の1つです。紅茶のアロマはリラックス効果もあると言われており、食事中だけでなく午後のティータイムなどさまざまなタイミングで楽しめることも魅力だと捉えています。
セブンカフェではコーヒーにこだわってきたという背景もあり、ティーの企画時点で淹れたての紅茶はどんな味になるのか、茶葉から淹れた紅茶を開発部で飲んでみるということをしました。そうしたらその紅茶が本当に美味しくて、ティーバッグで淹れたものとは全然違ったのです。この感動をお客様に届けられたら、とセブンカフェ ティーの開発に至りました」(櫻井氏)
専用マシンの開発期間は1~2年ほど。茶葉を蒸す時間など、抽出工程を決めるにあたり紅茶マイスターからレクチャーも受けたそうです。3種類の茶葉を用意したのは紅茶マイスターからのアドバイスもあり、「紅茶ファンはそれぞれ好みの茶葉があり、好みの茶葉を選べるようにしました。食事によって茶葉を変えるいった楽しみもあります」と櫻井氏は話します。
また、既存のコーヒー関連商品については、ティーの販売によって売上が下がるということはなく、それぞれ異なる層から購入されているそうです。
ティーの販売により、売上は上乗せされる形となり、焼き立てを提供する「セブンカフェ ベーカリー」との相性も良いことから、ベーカリー商品を一緒に購入する人が多いのもセブンカフェ ティーの特徴のようです。
現在、セブン-イレブンでは、淹れたてや焼き立てを提供する「できたて」シリーズが拡大しており、大阪・関西万博の店鋪では「お店で焼いたみたらし団子」「お店で焼いた たい焼き」など和の商品が限定販売される予定です。今後の展開については「テストしながら引き続き検討していきたいと思います」と櫻井氏は説明。
なお、セブンカフェ ティーの導入店舗は、テスト導入からスタートしていることもあり公式では発表しておらず、今後も徐々に導入していくようです。今回訪れた加須琴寄店を含む埼玉県の店鋪は、セブンカフェ ベーカリー併設のテスト店鋪として県内に29店鋪あるとのこと。
都内も徐々に増えており、2026年2月までに全国約2,000店に拡大予定です。今後街中の店鋪で見かける機会が増えることを期待したいと思います。