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ファミペイ、リアルカードを来春発行

ファミリーマートは、ファミペイアプリ内の決済サービス「FamiPay」のリアルカードを来春発行するなど、ファミペイや店舗内デジタルサイネージを活用したサービスの強化を進める。

ファミリーマートでは、店舗だけではなく、ファミペイやデジタルサイネージ、金融サービス、デジタル広告を通じた、カスタマーリンクプラットフォームの構築に取り組んでいる。施策に向けては、デジタルサイネージを活用したコンテンツ配信を行なうゲート・ワンや、伊藤忠商事らとともに小売事業者が保有するデータを活用したデジタル広告配信事業を行なうデータ・ワンを設立した。

2024年度はさらなる強化に向け、FamiPayの利便性向上、ファミペイ内へのパートナー企業自身が運営できるミニアプリによるファン育成、デジタルサイネージ「ファミリーマートビジョン」の質向上などを計画している。

FamiPayでは、チャージ方法として銀行チャージ、クレジットカードチャージ、ファミペイ翌月払いチャージ、店舗チャージを提供している。このうち銀行チャージについては現在11行のみの対応だが、10月から100行超へ強化する。

また、ファミペイから発行できる「バーチャルカード(ファミペイカード)」を'23年2月より提供していたが、これに加えリアルカードを来春発行する。これにより、ガソリンスタンドや鉄道改札、海外加盟店なども含めた全JCB加盟店でFamiPayのクレジットカードを利用できるようになる。

なおバーチャルカードの会員数はこの1年で15万人から150万人へと10倍に増加。ファミペイ翌月払い会員はこの1年で10万人から28万人へと60%増加する等、金融商品はパワーアップしていると強調した。

カスタマーリンクプラットフォームの強化の面で、中核として位置付けるのは2,000万ダウンロードを突破したファミペイアプリ。ビーコンを活用し、リアルタイムでの情報発信やクーポンの提供、ファミリーマートビジョンとの連携といった新規サービスにも取り組んでいる。

こういった取り組みの一環として、パートナー企業との連携による「ファン育成ミニアプリ」を新サービスとして展開する。これはメーカーと小売りの共創「デジタル パートナーシップ プログラム」として提供するもので、メーカーに対してファミペイアプリのサービスや機能を開放する。小売りとしては日本初の取り組みになるという。

ファミペイアプリの中に、メーカー等のパートナー企業の独自のプログラムを専用で展開できるサービス。パートナー企業はこの中で、ブランド・商品の訴求や、クーポンやゲーム等による販促施策、アンケートによるニーズ調査、回数券やスタンプといった特典などを展開できる。

また、各プログラムの参加状況などのデータは、パートナー企業側でリアルタイムで効果計測ができる。将来的には利用状況等によりユーザーを分類し、ユーザーごとに異なるプログラムを展開するといった機能を目指す。

すでに日本コカ・コーラ、サントリー、サントリーフーズの参画が決定しており、その他企業の参画も予定されている。

ファミペイやサイネージのメディアとしての価値向上

ファミリーマートでは、質の高さとリーチ量を兼ね揃えた広告配信の実現にも力を入れる。

その1つとして、NTTドコモが保有する顧客プロファイリングAIエンジン「docomo Sense」を活用した広告ソリューション「co-buy Audience Plus(コーバイ・オーディエンスプラス)」の提供を7月1日より開始。データ・ワンが保有する小売事業者の購買データを元に類似顧客を推計し、質の高さとリーチ量を兼ね揃えた広告配信が可能になるとしている。

従来のファミリーマート購買者データを活用した広告配信では、配信量やリーチが限定的という課題があった。一方、データ・ワンは、ファミリーマートおよび、ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの購買データ等を連携した、国内最大級の3,500万ID分のID-POS情報を活用し、ID単位でのターゲティング広告配信から商品購買までの効果検証を行なっている。

co-buy Audience Plusでは、データ・ワンが保有する実店舗での購買データにdocomo Sense技術を活用することで、実購買実績のあるユーザーの属性・興味関心・行動を分析し、データ・ワンの保有するユーザーIDに加えて、dポイントクラブ会員から類似顧客を推計することが可能となる。

これにより、広告配信の精度・効果を維持しながら、潜在顧客から見込み顧客まで幅広い層にリーチ可能となるとしている。

事前に実施したテスト配信では、類似顧客の購買率は、一般のファミリーマート来店者層の購買率よりも高いことを確認できたという。

そのほか、ファミペイアプリでの全画面広告を開始。ユーザーリーチ、インパクトともにアップすることを見込めるとしている。ただし、決済のためにアプリ起動した際に全画面広告が表示されるといった、決済の一連の作業を阻害しない仕様にする方向で検討が進められている。

ファミリーマートビジョンについては、広告主の数が'24年度は前年度比70%増の予測となっているなど、店舗のメディア化は着実に進んでいるという。これをスケールアップさせるため、設置店舗数を現在の1万店舗から、12,000店舗へ拡大予定。さらに、メディアや行政、イベントとの連携を拡大していく。

メディアとの連携についてはすでに、名古屋テレビの情報番組「ドデスカ」と連携し、コラボメニュー開発企画を行なうなど、テレビとリテール間の相互送客を目指した取り組みを行なっている。また、行政との連携については、大塚製薬および30都道府県と連携した、地域ごとの熱中症対策啓発動画を放映した。

左から、データ・ワン CRO 判治秀丈氏、ファミリーマート デジタル事業本部 国立冬樹氏、同 代表取締役社長 細見研介氏、ゲート・ワン 取締役COO 速水大剛氏、ファミリーマート 金融事業本部長 兼 ファミマデジタルワン 代表取締役社長 中野和浩氏