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ドコモ・バイクシェアとHELLO CYCLING、シェアサイクルのポート共同利用へ

OpenStreet 代表取締役社長 CEO 工藤 智彰氏と、ドコモ・バイクシェア 代表取締役社長 武岡 雅則氏

ドコモ・バイクシェアとHELLO CYCLINGを運営するOpenStreetは、シェアサイクルのポートの共同利用に関する業務提携に基本合意した。2025年度からのポートの共同利用実現を目指す。

シェアサイクルの大手2社が、ポートの共同利用で協力する。ドコモによるバイクシェアサービスとHELLO CYCLINGの電動アシスト自転車を、双方のポートで利用・返却できる「ポートの共同利用」を目指し、業務提携に合意した。

両社は、これまでも同一の敷地を分割してそれぞれのポートを設置しているケースはあったものの、今後は双方の自転車を双方のポートで利用できるようにする。これにより、土地利用の効率化とユーザー利便性の向上を図る。また、自転車の再配置やバッテリー交換を協業し、オペレーションの効率化と利用環境のさらなる向上を図り、シェアモビリティ事業の基盤強化を目指す。

双方の自転車を双方のポートで利用できるようにする

事業者間で争う時期ではない

それぞれの特徴として、ドコモ・バイクシェアは都心部を、OpenStreetは郊外住宅地を中心にポート設置している。両社のポートを共同利用することで、両社の資源を最大限に活用できるようになる。

「現在、日本のシェアサイクルにおいて、事業者ごとにポートが細分化しているという課題があります。ドコモ・バイクシェアは都心部に多く郊外へ移動できない、反対にHELLO CYCLINGは郊外移動が便利だけど都心には少ない状況です。

ユーザーからしたら、事業者が違うから返却できないというのは非常に不便な話です。シェアサイクルは始まって数年の事業で、当初はエリアの取り合いという状況もありましたが、そういった時期は終わったと我々は考えています。」(OpenStreet 代表取締役社長 CEO 工藤 智彰氏)

赤がドコモ・バイクシェア、黄色がHELLO CYCLINGのポート
OpenStreet 代表取締役社長 CEO 工藤 智彰氏

対象エリアについては、今後両社で検討が進められるが、横浜が最初の候補地に挙がっているという。

「エリアはこれから検討していきますが、補完性が高い地域になる可能性が高いです。都内と同じく横浜も事業者ごとにポートが細分化しており、補完性が高いエリアと言えます。まず最初は1つのエリアに絞って共同利用を行ない、そこでのノウハウを磨いてからエリアを拡大するのか検討していく予定です」(ドコモ・バイクシェア 代表取締役社長 武岡 雅則氏)

エリア補完性が高い地域として横浜が挙がっている
現状横浜市では、ドコモ・バイクシェアの自転車がHELLO CYCLINGのポート近辺を移動しているデータがある
ドコモ・バイクシェア 代表取締役社長 武岡 雅則氏

ポート共同利用の具体的な仕様については、決定次第公表するとしているが、現状はBluetoothビーコンの活用が検討されている。

「現在も各ポートにBluetoothビーコンを設置しており、その届く範囲をポートとして運営しています。これは今回の協業で判明したことですが、両社とも同じ方法を採用しています。各ポートに何台の自転車を駐輪できるかを管理しており、現在開発しているシステムでは、今止まっている台数は何台か、両社の合計は何台か、合算がわかるようにする予定です」(武岡氏)

ドコモとHELLO CYCLINGでは現在も一部のポートを共有しているが、ドコモのポートは枠が空いているのにHELLO CYCLINGの枠は空いておらず返却できないという状況もあるという。

「ただポートを共有するだけではかえって効率が悪くなります。我々の事業はオペレーション効率が悪くなると赤字が拡大するモデルです。事業者間のオペレーションの連携、効率化、ここも合わせて実施することで初めて、ユーザーに高い利便性を提供できるという形になります」と武岡氏は話す。

ポートの共同利用にはBluetoothビーコンの活用を検討
HELLO CYCLINGの車両(左)とドコモ・バイクシェアの車両(右)

アプリでは、両社のポートを表示し、共同ポートを示すアイコンと他社サービスロゴも記載される予定。

車両の再配置とバッテリー交換は、ドコモのポートにある車両はHELLO CYCLINGの車両であってもドコモが再配置やバッテリー交換を実施する。反対に、HELLO CYCLINGのポートにある車両は、ドコモの車両であってもHELLO CYCLINGが再配置やバッテリー交換を行なう。

アプリでは、共同ポートを示すアイコンと他社サービスロゴが記載される予定
車両の再配置とバッテリー交換は、それぞれのポートにある車両でまとめて実施される

なお、今回の業務提携については、検討を開始してからおよそ1年足らずで実現に至ったと工藤氏は話す。「我々はシェアサイクル協会に属しており、現在ある課題は業界全体の課題だと捉えています。ポートの共同利用はまずは1つのエリアからスタートしますが、初回エリアは丁寧に運営しつつ、ノウハウを早く得られればその後の展開はどんどん進めていけたらと思います」(工藤氏)