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完全キャッシュレスバス実現へ 秋に約10路線で実証運行

国土交通省は28日、バスの運転者不足などへの対応として、2024年秋以降10路線程度を選定し、「完全キャッシュレスバス」の実証運行を実施すると発表した。

バスの運転者不足などを背景に、2023年度には減便の対象となった路線において、2割程度便数が減少。バスネットワークの維持が難しくなっている。こうした状況への対応として、完全キャッシュレスバスの本格的な検討を進める。

まずは、10路線程度において実証実験を行なう。対象となるのは、利用者が限定的な路線(空港・大学・企業輸送路線など)、外国人や観光客の利用が多い観光路線、キャッシュレス決済比率が高い路線など。

  • 利用者が限定的な路線(空港・大学・企業輸送路線など)
  • 外国人や観光客の利用が多い観光路線
  • 様々な利用者がいる生活路線で、キャッシュレス決済比率が高い路線
  • 自動運転など他の実証運行を同時に行なう路線

7~8月に候補路線の公募・選定・公表と完全キャッシュレスに向けた標準運送約款の改正、ガイドライン策定を実施。8月に利用者周知。11月ごろから運行を開始する。2025年3月ごろに検証結果を公表し、'25年4月以降はさらなる社会実験推進を目指す。

現金対応の負担解消へ環境整備

バスにおいては、現金を取り扱うことで、「路線バスの運賃箱の設置・更新・メンテナンス費用」「運転者等の業務負担や定時性の確保への影響」などが発生。新紙幣が発行される2024年以降は、運賃箱の更新などの事業者負担も発生する。こうした点を踏まえ、路線バス利用者に与える影響を考慮しながら、環境整備を進める。

バスのキャッシュレス環境は、相当程度整備されており、2022年度の主要なバス事業者における路線バス車内の現金決済比率は、全体で10%程度。現金決済比率が3%未満の事業者や1%未満の路線も存在している。今回の実証実験等で、利用者の理解情勢を進め、完全キャッシュレスバスを実現できる環境を整備していく。

国土交通省の資産によれば、主要バス事業者において完全キャッシュレスが実現した場合の経営改善効果は、約86.3億円/年、1,294億円/15年で、バス運転者の年間給与約1,905分に匹敵するという。