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南海トラフ地震に備える新たな観測網 7月に試験運用
2024年6月19日 12:17
防災科学技術研究所は、南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)沖合システムの整備を完了し、7月から試験運用を開始する。
2019年から文部科学省地球観測システム研究開発費補助金による「南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の構築」事業により開発していたもの。南海トラフ地震想定震源域の観測空白域に設置するN-netから得られる観測データにより、地震や津波のメカニズムの解明、リアルタイム予測や長期評価の高度化等、防災科学技術の発展に寄与することを目指している。
これまで同研究所では、観測装置の開発・製造や陸上局の工事等を進め、2023年度にはN-netの沖合システムについて海底への敷設工事を完了。現在、海底から伝送されるデータの品質等の確認を行なっている。7月1日に沖合システムの整備を完了し、試験運用を開始する予定。
また、今秋を目途に防災科研が運用する陸海統合地震津波火山観測網(MOWLAS)に統合し、ホームページ上で観測データ等を公開する。なお、観測データは気象庁に提供され、緊急地震速報や津波情報等にも活用される。
今後、沿岸システムの敷設工事等を行ない、今年度末にはN-netの整備を完了する。
N-netは沖合システムと沿岸システムからなる観測網。それぞれのシステムは海底ケーブルと観測ノードで構成され、2つの陸上局に陸揚げされる。各システムには18台の観測ノードが繋がれており(計36台)、各観測ノードの中には地震を観測する地震計や津波を観測する水圧計等が搭載されている。
観測ノードにより観測されたデータは、光海底ケーブルで2つの陸上局に伝送され、陸上局からは地上通信回線網によって防災科研のデータセンター等に伝送。N-netの整備により、地震の揺れや津波を今までより早く直接検知できるようになる。