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マイクロソフト、Copilotの新機能でビジネス活用推進

日本マイクロソフトは、「Copilot for Microsoft 365」に関するメディア説明会を開催。説明会では、生成AIのビジネス導入についての課題や、Copilotの新機能、同社内でのAI活用事例などが語られた。

AI導入、日本は遅れ? BYOAI(自前AI)というトレンド

冒頭では、マイクロソフトがLinkedInと実施した生成AIに関する実態調査「2024 Work Trend Index」について、その内容を発表。調査回答者の46%が最近6カ月で生成AIを仕事で活用しはじめたと回答しており、半年間で生成AIの利用は倍増したという。

費用比率は、北米で66%、アジア太平洋地域で83%、欧州で65%となっているが、日本は32%と低い水準にある。

また、ビジネスリーダーの79%が競争力を維持するためには自社でAIを導入することが不可欠だと考えており、日本でも67%と概ね同様の傾向がみられる。ただし、AIの導入には、早期に投資収益率(ROI)を示さなければならず、リーダーが導入を躊躇する状況もあるとしている。

従業員については、AIを活用する人が急速に増加している状況にある。特に、AIを仕事に活用している人の中でも、自前のAIツールを職場に持ち込んで活用している人が78%にのぼる。特に中小企業の従業員は80%と高い水準で「Bring Your Own AI(BYOAI:私的AI利用)が進んでいるという。

日本においてもAI利用者の78%が自前のAIツールを持ち込んでいるとし、今後日本の職場でもBYOAIの増加が予想され、企業においてはデータを安全に利活用するための環境整備が急務な状況になっている。

こうした状況の中、マイクロソフトは5月に開催した開発者会議「Build 2024」において、Microsoft Copilotがチームの一員となってビジネスをサポートする新機能「Team Copilot」を発表。CopilotがAIアシスタントとして、チームの会議の進行役を務めて会議のアジェンダを管理したり、グループチャット内での重要情報を明確にして、アクションを促したり、プロジェクトの進捗を管理するなど、生産性を高めるための役割をこなすことができる。新機能は2024年内にプレビュー版が提供される予定。

マイクロソフトでCopilotはどう使われているのか

生成AIは、使い始めたからといって、次々と使い方が思いつくとは限らない。まずは使い始めることが重要であるとし、日本マイクロソフトでは、全社員による活用を推進。社内事例を発掘する活用コンテストも開催している。コンテストによって、社内のクリエイティブなアイデアが事例を集めることが可能で、それを社内に共有することでAI活用を促進する。

実務における活用事例では、サポート部門、営業、技術支援の3分野について解説。サポート部門では、顧客からの問い合わせ内容をCopilotによってとりまとめを行なっている。サポート部門では、顧客からの問い合わせを記録し、それらの事例をデータベースしているが、従来の顧客管理ツールでは案件ごとに5~10分かかっていた。これをCopilotを使うことで5秒に短縮。効率化と人的エラーを防ぐことに役立っている。

営業では、海外本社での顧客との重要な会議や、連日に渡る議事録作成に活用。特に、会議後に迅速に議事録の初稿を顧客に提供することで、スムーズなやりとりが可能になった。

技術支援としては、英語が得意ではない社員をサポート。英語が得意ではない社員がグローバルなプロジェクトに関わる場合、従来は事前に準備をして会議にのぞむものの、ネイティブの質問には即座に正確な回答ができないことが多々あったという。Copilotにより、英語が飛び交う会議などでも、ディスカッション内容を正しく把握でき、リアルタイムで適切な発言が可能になったことで、会議への貢献度が高まったとしている。