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LINEにショート動画は必要? 「LINE VOOM」が狙う投稿ユーザー拡大
2024年5月14日 11:00
LINEヤフーは、「LINE」内のショート動画プラットフォーム「LINE VOOM」で、ショート動画投稿により収益を受け取れる「LINE VOOM Creator Program」を5月14日から⼀般公開し、LINE VOOMの“投稿者”拡大を目指す。
LINE VOOMは、LINEアプリから使えるショート動画プラットフォームで、最大60秒の動画をLINE上で楽しめる。'23年11月からはLIVE配信機能も追加し、スポーツ、⾳楽、映画などのライブ配信にも対応した。
クリエイターへの収益還元では、従来より「LINE VOOM Creator Program」を展開おり、これまで1万人以上が参加している。ただし、参加者は招待された人に限定され、機能も限定的だった。今回、LINE VOOM Creator Programを「一般公開」することで、誰でも収益化プログラムに参加可能となる。
プログラム参加者は、⼀定の条件を満たした投稿において、再⽣回数などに応じた収益を得られるほか、様々な特典キャンペーンへの参加や、企業コラボレーションの機会を得られるようになる。また、クリエイターの活躍を応援するコンテストなども開催する。
対価の還元は、広告のレベニューシェアという形となるが、具体的な条件等は公開していない。LINE VOOM Creator Programでは約1万人のクリエイターが登録しているが、トップクリエイターの中には、月に数百万円稼ぐという人もいる。今回の収益還元の一般公開により、VOOM投稿者や人気動画を拡大することで、VOOMユーザーの拡大と広告サービスとしてのVOOM拡大を目指す。
強みは「LINE」 幅広いユーザーの投稿を促す
「LINE VOOM Creator Program」の一般公開について、LINEヤフー エンターテインメントカンパニー VOOM事業統括本部の有本恭史 本部長は、「ようやくスタートできる」と語る。2022年のLINE VOOMサービス開始から、クリエイターへの還元は重視しており、より多くのユーザーの投稿参加を目論む。
ただし、ショート動画の世界では、TikTokやInstagramリール、YouTubeショートなど、グローバルプラットフォームの競合が非常に多い。LINE VOOMはどの点を強みとして勝負していくのだろうか?
有本氏がまず挙げるのが、「ユーザー層の幅広さ」だ。老若男女が使うLINEからすぐにアクセスできるため、若年層以外にも幅広い使われており、レシピやライフハックなどの「生活系」コンテンツなどが多い点が特徴という。
ショート動画の場合、TikTokやYouTubeショートと同じ動画が投稿される(マルチポスト)こともあるが、これらのアップロードも禁じてはいない。ただし、TikTokの透かしなどは検知している。実際にVOOM上では、マルチポストされるものより、VOOMのユーザーを理解して作られたコンテンツが人気で、そうした動画を作る人が人気クリエイターとなっている。
今回、管理ダッシュボードとなる「LINE VOOM Studio」も強化し、再生回数や再生時間、視聴者属性なども公開したうえで、クリエイターの創作を支援していく。また、これまで視聴中⼼だったユーザーがクリエイターになるための「投稿ガイド」も提供するなど、Creator Programにあわせて「投稿者」の拡大を目指す。
LINE VOOMの「ユーザー層が幅広い」という強み。これは月間9,600万人が使うLINEアプリに統合されているからだ。TikTokなどで人気のコメディ的な動画はVOOM上でも視聴数は多いが、それ以外にもライフハック系、子育て、カップル、大家族など、「VOOMならでは」という動画が増えているという。今回の施策も「VOOMにフォーカスしたユーザーを育てる」ことが狙いにあるという。
一方、「メッセージサービス」としてLINEを使う人からは、LINE VOOMは「要らない」「使われない」という声も多い。有本氏も「LINEの中に“動画”があることへの違和感の声は認識している。『LINEのなかにあるからこそ便利』と思ってもらえるようにしていきたい」と語る。他の国でも、WeChatやカカオなどでは動画サービスが存在しており、グローバルでは珍しい事例では無いという。
また、他のサービスに比して、LINE VOOMのクリエイターからは、コメントがつきやすく、「ユーザー同士で盛り上がりやすい」という点も評価されている。つまり、コミュニケーションアプリのLINE上のサービスだから、ユーザー同士で盛り上がりやすいのだという。この強みを活かして、今後のLINE VOOMの成長につなげていく。
他のショート動画プラットフォームでは、「投げ銭」や「物販」などに力をいれているサービスもある。LINE VOOMでは、「将来的には検討するが、現在はコンテンツを楽しんでいくフェーズ」としており、早期の収益化強化などは考えていないという。
「LIVEもスタートしたが、まずはみんなのショート動画として使われるサービスを目指す」(有本氏)と説明。今後、番組表などライブ配信のスケジューラー機能や、「おすすめ」「フォロー中」だけでなく、興味ごとに動画を紹介する「テーマバー」などの機能強化も予定している。今夏までに順次実装し、ユーザーが“動画でつながる”サービス強化を目指す。