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ユニット交換できる電動モビリティ「Raptor」 知能化で"転ばない"
2024年4月4日 08:00
ROIDS TECH(ロイズテック)は4月3日、3輪のプラットフォーム型モビリティ「Raptor(ラプター)」を開発し、千葉工業大学 東京スカイツリータウンキャンパスで記者発表会を行なった。ROIDS TECHは、RDS代表取締役社長の杉原行里氏と、千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)所長の古田貴之氏の二人が2022年に共同創業したスタートアップ。
「Raptor」は3輪構造で前2輪リーン機能を持つ電動モビリティ。タイヤサイズは前が12インチ、後は10インチ。3輪接地でスラロームターンも自由に行なえる。巡航速度は30km/h。リチウムイオンバッテリー(48V)で、連続航続距離は40km。原動機付き自転車扱いとなり、運転免許が必要。「バイク並みの価格帯」でのコンシューマー向けの発売を目指す。販売目標台数は未定で、まずは3年以内に100台の販売を目指す。
特徴は、独自の「連結ユニット機構」により、ビークルの上部分の「デザインユニット」と下部分の「ベースユニット」が簡単に分離・合体できること。規格に合わせてデザインユニットを制作することで、新しいモビリティを生み出すことができる。
たとえばセンサーを積んだロボットを上部分に乗せることで自律移動ロボットとしても活用できる。ROIDS TECHでは「Raptor」は新たなビジネスと文化を生み出し、移動インフラの世界に本質的な変革と成長をもたらすとしている。
変形自在な未来のモビリティ
ROIDS TECHの代表取締役社長CEOで、RDS 代表取締役社長の杉原行里氏は「合体で変形自在! 未来のモビリティ」と題して発表を行なった。RDSはデザイン性の高いモビリティ・プロダクト開発に強みを持つ会社。これまでにfuRoとも多くの共同開発を行なってきた。
杉原氏は、コロナ禍によって世界が経済停滞に見舞われたこと、少子高齢化社会での移動手段など多くの課題が浮き彫りになったことから、「モビリティで世界をワクワクさせたい」と考えたと述べた。構想から3年かけて、会社を創業したという。ロボティクスとモビリティを融合させ、楽しく明るい未来へ社会をドライブすることが目的だと述べて「Raptor」を紹介した。
「Raptor」はベースユニットとデザインユニットを組み替えることで変幻自在なモビリティ。「社会課題や生活環境によって乗りたいマシンは変わってくる」と考えたことで、サードパーティが自在に組み替えられるようにした。独自の連結ユニット機構によって、ハンドルとブレーキはメカ的に接続される。
たとえば、ワンタッチで自動配送ロボットにしたり、アメリカンスタイルの乗り物にしたりできる。分離することで4脚のロボットになるというタイプも開発中だと紹介された。他のサードパーティからの開発も「着々と企画進行中だ」という。なお、自由といっても規格は守る必要がある。
最初は「映画で見るようなモビリティを早く見たい」と考えたところから企画が始まったという。杉原氏は「多くの人に新しい文化を作ってもらいたい」と述べた。
モビリティを広く自由開放
ROIDS TECHのCTOで、千葉工業大学 常任理事 未来ロボット技術研究センター(fuRo)所長の古田貴之氏は「ものづくりのRDSと研究開発のfuRoで新しい文化を作りたくなった。今の多くのモビリティには知能化技術があまり入ってない。何よりメーカーが『こんなものを作ったらいいんじゃないか』と考えて世に出している。メーカーだけで物を考えて出す時代は終わりにしないといけない。モビリティをデザイナーなど技術者以外の方々に自由開放したいと考えた」と述べた。
技術的な特徴は3つあるという。レバー一つで簡単に脱着できること、車体を傾けることができるリーン機能による小回りの実現、そして、ロボティクス・知能化技術を使った安全機能の3点だ。古田氏は「パーソナルモビリティはまだ始まったばかり。ちゃんと安全なものであってほしい。そしてワクワクするものであってほしい」と語った。制御機能によって「転ぶほうが難しい」くらいの動きが実現できているという。
4月にも一般向けに公開予定
これまでに2年近く耐久性や操作性を検証してきた。今後の開発のロードマップとしては、ベースユニットを半年から一年かけて磨き上げ、年内にコンシューマープロダクト発売を目指す。製造台数等の詳細は協議中。
一般向けのお披露目については「4月、5月と様々なイベントに登場予定」とのこと。まず4月9日にお台場の「パレットタウン」跡地のEV向け都市型サーキット「シティ・サーキット・東京ベイ」のイベントにてお披露目される予定。そのほか、東京都のイベントにも登場する予定となっている。
製造自体は外部で行なうが、ROIDS TECHでは、BtoBtoCだけではなく、BtoCを目指していくとのこと。デザイナーの小西哲哉氏は、「Raptor(猛禽という意味)」について名前に込めた意味として、リーン時の動きから猛禽類の足をイメージして名付けたと語った。現状では上部の「デザインユニット」のデザインも小西氏が担当している。