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東京都庁周辺を交流の”シティホール”へ 新しい西新宿地区
2024年3月29日 20:02
東京都は、都庁周辺を多様な人々の交流機会の創出や滞在を誘発する空間へ再整備するための「都庁周辺の空間再編計画」を策定した。人やまちの交流を促進する新たなシティホールへの再編を目指す。
東京都と新宿区は、西新宿地区を多様な人々の交流を促すとともに、人が憩い、楽しく歩くことができる都市空間へ再編していくため、2023年3月に「西新宿地区再整備方針」を策定。新宿駅と新宿中央公園の間に位置する都庁周辺について、人やまちの交流を促進する新たなシティホールへ再編していくとしている。
都庁周辺の空間再編計画は、「新しい西新宿地区」を象徴する空間として都庁周辺を再整備するための基本計画で、都が西新宿地区全体の空間再編の取り組みを先導し、周辺街区へも波及することを期待して策定した。1月に「都庁周辺の空間再編計画(素案)」を公表しており、都民等から意見を募集。今回策定した計画は、寄せられた意見等を踏まえている。
計画の対象地は、東京都庁舎の敷地内のオープンスペースとそれに面する建物低層部、それらと接続する周辺街路。
都庁周辺の空間の現状の課題として、アクセスしづらい、利用頻度が低い、人が憩える場となっていない、日よけやテラス席がなく空間を活用しきれていない、人の往来はあるが暗く雰囲気が悪いなどが挙げられている。
こういった課題を解決した都庁周辺の将来像として「“東京の魅力”を世界に発信する新たなシティホール」を掲げている。都民広場を含めた都庁周辺の低層部空間全体を、憩いの空間、交流空間とし、国内外から訪れる人へ東京の象徴・誇りとして発信したくなる新しいシティホールになることを目指す。
また、西新宿地区の中心的パブリックスペースとして、都が先導して、地区全体の連携・回遊やオープンスペースの利活用を促進する。
1階の4号街路沿い、都民広場、11号街路下、2階のふれあいモールなどの整備のほか、アクセスしづらさの原因となっていた高低差を解消する縦動線の検討、都民広場や周辺街路などと一体的につながる開かれた都議会議事堂とすることなどが計画されている。
4号街路沿いは多様なアクティビティに隣接する滞在スペースや、高低差を利用した賑わいやみどりと連続する一体的なスペースを設置。また、都政ギャラリーや議会レストランを外部に対して開いたしつらえにするとともに屋外化する。これにより、都庁の玄関口として人々を迎え、まちの賑わいと一体化する西新宿テラスとなることを目指す。
都民広場は、誰もが自由に憩い、交流できる東京のシンボルプラザを目指し、多様な活動を受け入れるスペースを設けるほか、11号街路と連携してイベント時に情報発信や交流ができる場とする。
都民広場の再編には、「(単発の)イベント会場の場」から「(日々)都民が憩える場」への転換という考えがある。都議会議事堂と第一本庁舎の間に位置する庁舎の一部であることから、公務に支障を及ぼさないこと、公共性、公益性を担保した利用としつつ、より広く都民が憩える場とする。また、土日を中心に都民が集まり、楽しみやすい小規模なイベントの開催を計画。民間活力を生かした持続可能な管理運営も検討する。
ふれあいモールは、「日陰」と「居場所」をつくりだし、より心地よくくつろげる空間とする計画。動的と静的な空間があり、また様々な居場所が点在する、気分に応じて居場所を選択できる場とする。
11号街路下は、文化・活動などを発信・受信し、挑戦ができるラボストリートとする。ラボストリートは半屋外の情報発信スペースが連なっていく明るい道的空間で、そのほか様々な情報に触れて自らも発信できるラボを配置する。情報発信や交流など多目的に使用できるスペースも設ける。
整備は検討が深度化したエリアから順次実施。4号街路から都民広場への回遊性向上、人やまちの交流促進につながる西新宿テラス機能の早期実装に向け、4号街路沿い、都民広場の再編整備を優先的に行なう。スケジュールは4号街路沿いと都民広場再編を2026年度、ふれあいモールと11号街路下の再編を2030年度までに実施する計画。