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NTT法改正、通信3社とNTTがX上で激論 ソフトバンクら公開議論を要求

NTT法の改正をめぐり、通信各社のトップとNTT広報アカウントがX(Twitter)上で論戦を繰り広げている。

'23年夏ごろから政府内で、防衛費の財源確保などを目的とし、NTT株式の売却についての議論がスタート。あわせてNTT法の見直しについての機運が高まったことを受け、NTT法の廃止を目指すNTTと、絶対反対の論陣をとるKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルら通信3社らの間で、それぞれが記者会見を開くなどして“間接的”に議論が続けられてきた。

NTTの主張は、NTT法の開始から40年が経過し、事業環境が変わってきたこと、研究/開発に技術の開示義務があること、固定電話の縮小などを理由に、「結果としてNTT法は廃止すべき」というもの。

一方、3社らは、NTTは電電公社が母体であり、民営化時に資産を継承しており、設備投資額は、電電公社時代の30年間で約25兆円。現在の価値では40兆円以上と試算され、さらに土地や局舎、とう道(トンネル)、管路、電柱など巨大な資産を保有しており、NTT法による制限が撤廃されれば、公正な競争環境が損なわれると反論する。

14日には、朝日新聞が自民党のNTT法見直しプロジェクトチームが「NTT法廃止の方向」と報じると、楽天グループの三木谷浩史会長がX(Twitter)上で「最悪の愚策」と投稿。

『NTT法を廃止』して、国民の血税で作った唯一無二の光ファイバー網を完全自由な民間企業に任せるなど正気の沙汰とは思えない。携帯含め、高騰していた通信費がせっかく下がったのに逆方向に行く最悪の愚策。

ソフトバンクの宮川潤一社長も、「三木谷社長だけに、政府との溝を作らせるのはアンフェア」とし、「NTTが引き継いだ資産は国税で創り上げたもの。本来国が管理運営すべき重要インフラを、運営して頂く委託団体が特殊法人。20年、50年先の未来に、どんな有事が起こるかわからない。民間に引渡しするアセットとしては適正では無い。国が責任放棄するのはダメ」と投稿した。

KDDIの高橋誠社長も「今回の議論。そもそも防衛財源の話がいつの間にか話がすり替わりNTT法廃止の話だけが一人歩きしている事に先ず違和感を覚える。多額のの血税で構築した光ファイバー等特別な資産を持つ特別法人たるNTTの義務を規定したNTT法を単純に廃止する事は、公正競争の観点、有事への対応の観点からもあってはならない」と続いた。

NTTの主張やNTT法廃止の流れに対し、X上で通信3社のトップが反論した形だ。

NTT側も、17日朝NTT広報室のXアカウントが、三木谷氏の投稿を引用し、「『税金で整備した光ファイバー網を持つNTTの完全民営化は愚策』説の勘違い。保有資産は最終的には株主に帰属するのでこの主張はナンセンスな話」と強い言葉で反論。(KDDIの前身)KDDが電電公社から分離した際、電電公社の資産を引き継いだこと、ソフトバンクの母体である日本テレコムが国鉄から分離された際に、国鉄の通信資産を受け継いだ例などをあげるとともに、「そもそも光ファイバーはほぼ全て公社ではなく民営化後に敷設している」と強調した。

NTTによるX上での反論を受けて、ソフトバンク宮川社長は、「今こそあるべき姿をトコトン議論すべき。政治の力を借りるのでは無く、互いにわだかまりが残らないように議論をし尽くしましょう」とNTTへ直接対話を呼びかけ。KDDI高橋社長も「電気通信事業の根幹に係る問題で、公正競争にかかる根本的かつ重要な課題なので、公開の議論の元、方向性を決めていただきたい」と続き、公開の場での議論をNTTに呼びかけている。