ニュース

“ポイント力”で実店舗拡大する「楽天ペイ」 SPU改定は「影響ない」

楽天ポイントカードを楽天ペイ ターミナルのカメラで読み取り

楽天ペイメントは、「楽天ペイ(実店舗決済)」のオールインワン決済端末「楽天ペイ ターミナル」で、「楽天ポイントカード」機能を11月15日から開始した。楽天ペイ ターミナル導入店舗で、楽天ポイントカードを扱えるようになるため、加盟店における楽天ユーザーの拡大が見込めるとする。

7月から取り扱い開始した「楽天ペイ ターミナル」は、クレジットカードや電子マネー、QRコードの決済機能に加え、レシートプリンター、モバイル通信(4G LTE)、Wi-Fiなどを備えたオールインワンの決済端末。ただし、「楽天ポイント」の読み取りには対応していなかった。

新たに楽天ペイ ターミナルに「楽天ポイントカード」のアプリを追加し、ターミナルで利用者から提示されたポイントカードを読み取ることで、提示したユーザーが楽天ポイントをもらえるようになる。また、楽天ポイントによる支払いにも対応する。

支払い時に「楽天ペイ」アプリを利用すると、ダブルで「楽天ポイント」を貯められる。なお、楽天ペイで支払う場合も、楽天ポイントをダブルで受け取る場合は、ポイントカードと楽天ペイを2回提示する必要がある。

今後、楽天ペイの決済とポイント付与を1回に完結できるよう取り組む計画だが、現在は決済手段を問わずに「楽天ポイントカードを使いたい」ユーザーが多く、「共通ポイントがカバーする範囲のほうが大きい。そのため現時点すぐに(1回提示で完結)、という状況ではない」(楽天ペイメント 営業第二本部 アライアンス営業部 土田智之 部長)とした。、

ターミナルを導入する加盟店としては、楽天ポイントカードの大きな顧客基盤にアクセスし、楽天ポイントカードユーザーの来店などが期待できるとする。

楽天ポイントカード機能対応を記念して、「楽天ペイ ターミナル」経由で「楽天ポイントカード」機能を新規で申し込みした加盟店は、通常1万円(税別)のターミナルの初期費用を0円にするキャンペーンを2024年1月31日まで実施する。

今回のキャンペーンを利用することで、ターミナル(初期導入費用)は無料となり固定費もゼロ円となるため、加盟店側の負担はポイント発行手数料のみとなる。ポイント発行手数料は非公開。

ポイントとキャッシュレスの両輪で展開 「SPUの影響は無い」

楽天ペイ ターミナルは7月から導入を開始し、「想定を大きく超える申し込みを頂いている」(楽天ペイメント 諸伏勇人CMO)と加盟店から非常に好評。ユーザーの楽天ペイの支持も高く、特に「楽天ポイントが使える」ことが重視されており、『ポイントピッして楽天ペイ』という動画プロモーションが浸透。「ポイントをフックに楽天ペイの利用が増えて、満足度が上がる好循環が起きている」(諸伏CMO)とする。

ポイントサービスの市場は拡大傾向で、2027年度には約3.4兆円まで拡大すると予測('22年度は2.48兆円)。その中でも楽天の経済圏は、買い物時に最も意識され、使われているポイントとなっており、2023年度の「楽天ポイント」総発行数は約6,600億に達する。

また、楽天ポイントで支払う人は、使わない人よりも購買金額・利用回数共に3倍近く高くなる傾向にある。そのため「来店を促すポイント」を加盟店からも評価されているという。

2023年も加盟店を拡大しており、使える店が増えれば、ポイントユーザーも増えるという好循環を継続。2019年以降の4年間で加盟店数は2.6倍まで拡大した。

一方、楽天ペイでの課題となっていたのが、オフライン=リアル店舗での導入。EC=オンラインからリアルに拡大してきた中で、店舗開拓は代理店との提携により推進してきた。この点も拡大していくが、楽天ペイ ターミナルの投入にあわせて、楽天ペイメント自身でも中小店舗開拓に着手。今後2025年にかけて店舗数を200%以上のペースで拡大していく。

また、楽天カードの子会社となったことや、楽天グループ側で管理していたEC/オンライン事業を楽天ペイメント傘下に集約したことなどから、キャッシュレスとポイントを一体的に事業展開できるようになった。その一環として、“楽天以外”のECへの楽天ポイントが貯まる・使えるサービスを展開できる「楽天ポイントオンライン」を積極的にパートナー企業に提案するなどの取り組みも進めている。

キャッシュレスとポイントカードの両輪により、オンライン/オフラインの楽天ポイントと楽天ペイの導入を強化していく。なお、楽天ポイントカードから離脱する「マクドナルド」のような例もあるが、全体としては加盟店は拡大傾向である「影響は軽微」としている。

楽天ペイメント 営業第二本部 末吉覚 本部長(左)と同本部 アライアンス営業部 土田智之 部長(右)

また、楽天グループでは12月から楽天スーパーポイントの「SPU(スーパーポイントアッププログラム)」の改定を予定している。楽天モバイルを優遇する一方で、楽天のヘビーユーザーにとっては還元額が減少する形となるが、「実店舗における影響はそれほど大きくないと見ている。将来、モバイルのユーザーが増えることで、モバイルから他サービスの波及効果も大きいので、実店舗でもユーザーが増えることを期待している」(楽天ペイメント 営業第二本部 末吉 覚 本部長)とした。