ニュース

メルカリ、スキマバイト参入。給与デジタル払いへ

メルカリは、新規事業として、スキマ時間を活用して働ける求人プラットフォーム「メルカリ ハロ」を2024年初春に開始する。

単発/短時間の雇用契約による新しい働き方を提供するスポットワーク事業に参入する。すでに「タイミー」などの類似サービスもあるが、メルカリのエコシステムに「時間やスキル」を加えて、メルカリ上で「あらゆる価値の循環を加速する」としている。

メルカリでは、モノのやり取りやお金のやり取り、メルペイを通じた信用の循環を手掛けているが、ここに「時間・スキル(働く)」を追加。人手不足という社会課題と、急拡大するスポットワーク需要に対し、年間2,260万人を超えるメルカリユーザーが親しんだメルカリアプリ上で、「仕事を探せる」体験を提供する。

また、「働く」で得た信用をメルカリや日常での買い物の決済や、メルカードの支払いに活用するなどメルカリグループならではの体験を提供していくという。

「メルカリ ハロ」の名称は、仕事を探す「クルー」と求人を出す「パートナー」が日常的に出会い、気軽に挨拶しあえる世界観を目指して命名。メルカリの評価と同様に、パートナー・クルーの評価が可視化されるため、安心して利用できるという。業務委託契約ではなく、超短期・短時間の雇用契約を結び、クルーとパートナー間をマッチングする。

メルカリ ハロに応募できる働き手の条件は、18歳以上で、メルカリで本人確認済みであること。

メルカリ上で実現するサービスだが、メルカリの出品・購入履歴などは、メルカリ ハロとは別管理となり、メルカリ ハロの募集企業側に個人のメルカリ歴などが伝わることはない。

メルカリアプリの下部に「はたらく」タブ。仕事を探す
おしごと確定

中小の店舗だけでなく、コンビニなどフランチャイズでの導入も想定してシステムを構築。当初はサービス産業や倉庫が多くなると見込んでいるが、幅広い業界での導入を目指す。事業目標は公表していないが、「働くを気軽にし、この事業のマーケットリーダーになる」(メルカリ 執行役員 VP of Work 太田 麻未氏)とした。

メルカリ 執行役員 VP of Work 太田 麻未氏

収益化は、求人マッチングの際に発生する手数料を軸にする。手数料は「賃金と交通費の30%を予定している」としている。11月13日からは求人パートナーの募集を開始した。

2024年初春に首都圏の一部エリアからサービスを開始予定で、順次全国展開を予定。既存事業とのシナジーを最大限に追求していく。また、将来的にはメルペイを通じて「給与デジタル払い」を実現し、メルカリ ハロの給与をメルペイで受取可能とする。

給与デジタル払いについては、厚生労働省への申請準備中で対応時期は未定だが、「メルペイとシナジーがある。開始した暁には、多くの人が使ってほしい(メルカリ CEO Marketplace 兼 CEO Fintech 山本 真人氏)」という。

「働く」を循環させるメルカリ ハロ

メルカリ CEO Marketplace 兼 CEO Fintech 山本 真人氏は、メルカリとメルペイで「モノ」「お金」「信用」の循環を拡大してきたと説明。例えば、メルカリの成長により、売ることを前提にして買い物をする人が増え、売るものが無い場合はメルペイの与信を使ってお金を先に借りて買うといった循環を作り出してきた。ここに、「働く」を加えることで、「時間やスキル」を価値に換えて、新たな循環を作り出し、「自分の好きなことをできる世界」を目指すとした。

メルカリ CEO Marketplace 兼 CEO Fintech 山本 真人氏

スポットワークは、事業者、働き手の双方にメリットがあり、最近成長を続けている。

事業者にとっては、面接が不要で、成果報酬型。また固定費を削減できるというメリットがある。

一方の働き手にとっても、面接・履歴書不要で、不定期・短時間OK、最短即日給与といったメリットがある。そのため、好きな時間・場所・職種を選んで応募・就労できる。

スポットワーク全体の会員数は、この3年で2倍の1,070万人に拡大し、そのうち3~4割は正社員として副業で働いている。

一方で、事業者にとっては良い人がマッチングしてくれるか、効果的な使い方がわからない、管理が面倒にならないか、といった不安がある。働き手側も、アプリを入れたり登録が面倒、仕事が探しにくい、自分が働けるかわからない、などの課題があるとする。

メルカリ ハロでは、メルカリの2,260万人の顧客基盤にリーチ可能で、対象は1,395万人の「本人確認済み」ユーザー。この大きな顧客基盤でマッチングを行なえるのが強みとなる。また複数の店舗を持つパートナーも簡単に利用・管理できるという。

働き手(クルー)側は、メルカリから簡単に仕事を探せるほか、パートナーやクルーの評価を相互に確認できるため安心して応募できる仕組みとする。

また、大規模事業者向けには「OBOGコネクト」機能も提供。ファミレスやコンビニなどの大きな店舗で、以前働いた経験があり、また働いてほしい、評価が高い人が見える化されるため、その人の「できること」「スキル」を把握しやすく、短時間でも高度な仕事をお願いできるケースもあるという。

'24年初春に首都圏からスタートし、順次全国拡大していく計画だが、事業者向けの営業は、メルペイの加盟店営業やShopsの開拓チームなどと連携。メルカリの既存事業を活かして、チーム構築していく。