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消防や陸自が「特殊車両」を展示 東京都防災訓練
2023年9月4日 08:00
東京都と東村山市は合同で「令和5年度東京都・東村山市合同総合防災訓練」を実施した。訓練は9月1日~3日の日程で行なわれたが、2日、3日は一般も参加が可能で、3日には警察・消防・自衛隊と地域住民が連携して行なう救出救助訓練の様子が公開されたほか、災害時に活躍する特殊車両の展示などが行なわれた。ここでは主に特殊車両の展示についてレポートする。
消防
一際大きなこの車両は、「津波・大規模風水害対策車」。全長約9.3m、全幅2.5mの車両には、水陸両用バギーやFRP製ボート、ゴムボートなどが搭載可能で、津波や大規模風水害時の冠水地域で人命救助にあたる。今回は水陸両用バギーなどは搭載していなかった。
火災現場の近くに水源が無い場合等に活躍するのが、送水車とホース延長車。送水車は、川などにポンプを投入し、取水する車両で、ホース延長車と連携して現場まで水を送ることができる。送水可能な距離は2両あわせて約2km。
屈折放水塔車は、最大地上22mの二節ブーム式屈折放水塔を装備した車両。高所火災や危険物火災など、消防隊が容易に近づけない状況で高所から消火にあたる。
消防ブースでは体験コーナーも充実。地震を体験できる起震車や、モーションシートとVRで防災体験ができる「VR防災体験車」、はしご車の搭乗体験なども行なわれた。
陸上自衛隊
陸上自衛隊も災害時に投入される特殊車両を展示。1・1/2t 救急車は、自衛隊仕様の救急車で、悪路走行が可能なほか、通常の救急車と同様、サイレンと赤色灯を使いながらの緊急走行も可能になっている。
泥水から1時間あたり7,500リットルの水を浄水可能な浄水車。汚水から「長毛ろ過」「限外ろ過」「逆浸透ろ過」の3段階のろ過によって飲用に耐える水を作り出せる。限外ろ過の段階でも洗濯などに使うのには問題が無く、逆浸透ろ過なら飲料水として飲むことができる。
「重レッカ」は、4.8tを超える重量物の釣り上げが行なえる車両。災害時に走行不能になった車両などを撤去できる。
陸上自衛隊は、ガスや水道が途絶えた避難所などで風呂を提供する装備もある。会場では「練馬の湯」として、足湯を設置していた。
悪路でも迅速な移動を可能にする「高機動車」と「軽装甲機動車」も展示。
通信事業者も災害復旧支援車両を展示
NTT東日本は、車載型のポータブル衛生装置を展示。災害時に通信が利用出来ない状況で、衛星通信による特設公衆電話やインターネットを提供する。1台につき電話(最大8台)、インターネット(1台)が共有して利用可能。
「移動電源車」は、商用電源が停電した場合に、NTTの通信ビルへの電源供給を行なう車両。通信ビルは通常、蓄電池による1次バックアップ、非常用エンジンによる2次バックアップが備えてあるが、移動電源車は3次バックアップとして石油を使って発電する。
ドコモ、楽天モバイル、au、ソフトバンクは、それぞれ移動基地局車を展示。災害時に迅速な通信の復旧を実現する。
日本郵便は、車両型郵便局を展示。ATMを搭載し、災害時でも現金を下ろせるほか、郵便の受付も行なう。
会場では、警察・消防・自衛隊と地域住民が連携して行なう救出救助訓練の様子も一般公開。自衛隊のヘリやドクターヘリなどが飛び交う、非日常的な雰囲気を醸し出していた。