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品川開発で出土の高輪築堤は現地公開 150年前の鉄道を再現

複合棟IIの2階プロムナードから第7橋梁部を眺めるイメージ

JR東日本は、品川開発プロジェクト計画エリア内で出土した、明治初期に鉄道を敷設するため海上に構築された構造物である高輪築堤跡を、保存・公開すると発表した。2027年度の公開を予定している。

高輪築堤は、1872年(明治5年)に日本初の鉄道が新橋・横浜間に開業した際、高輪海岸沿いの海上に鉄道を走らせるために敷設された鉄道敷の遺構。2019年に、高輪ゲートウェイ駅の西側、国道15号や泉岳寺駅近く等で出土した。

発掘調査の結果、第7橋梁の橋台を含む開業当初の高輪築堤の遺構が残っていることが判明。日本の交通の近代化や当時の土木技術等の歴史を知る上で重要な遺跡とされ、2021年9月17日に第7橋梁部および公園部が、すでに指定されていた「旧新橋停車場跡」に追加する形で「旧新橋停車場跡及び高輪築堤跡」として史跡指定された。

高輪築堤を構成する杭や築石の腐朽・塩類析出対策等の保存科学や高輪築堤の構造安定性などについて、有識者の指導のもと技術的な検討を行ない、適切な保存対策および継続的な維持管理を行なうことで、高輪築堤跡の現地公開が可能となった。策定された保存活用計画は、5月26日に文化庁長官の認定を受けている。

保存対策対象

同エリアでは、2025年3月に「TAKANAWA GATEWAY CITY」が開業予定。新たに開発される街区にて、「約150年前の近代日本の曙の志」を国内外に発信するとしている。

保存活用計画について具体的には、発掘時に滅失していた欠損部築石、盛土、バラスト、レール、橋梁等の再現を検討。かつての築堤ライン上は、現地で発掘された築石を活用したランドスケープとする。また、ARやVR等を活用した開業当時の鉄道が走る景観の再現等を検討する。

複合棟IIの1階から第7橋梁部を眺めるイメージ
公園地下から高輪築堤跡を眺めるイメージ
文化創造棟3階テラスから高輪築堤跡を眺めるイメージ

そのほか、高輪築堤も含めた鉄道開業当初の新橋・横浜間約29kmの記録について、史資料調査や研究成果の収集、整理を行ない、今後の史跡の公開や活用に活かす。また、史資料調査や記録保存調査により得られた知見を踏まえた情報発信施設等を整備する。