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不動産やデータセンターに小口投資 新たなデジタル証券「オルタナ」

三井物産デジタル・アセットマネジメントは、5月22日から新しい個人向け資産運用サービス「ALTERNA(オルタナ)」を開始する。デジタル証券(ST)を活用し、個人投資家が様々な実物資産へ、10万円からの小口単位で個別投資を実現できる仕組みで、第1号案件は日本橋エリアの1棟レジデンス「ステージグランデ日本橋人形町」。

ALTERNAは都心の大型不動産や物流施設、発電所などのインフラのように、安定的な賃料等収入が期待できる実物資産に、スマートフォンから簡単に投資できる個人向けの資産運用サービス。

デジタル証券(ST)を活用することで、これまでは機関投資家に投資機会が限定されていた資産に、10万円からの小口単位で個別投資を実現。個人投資家に新たな投資の選択肢を提供できるとする。三井物産デジタル・アセットマネジメントでは、三井物産の総合商社の強みを活かし、国内外の「インフラ資産」への「個人」の投資機会拡大を狙う。

デジタル証券(ST)は、従来の有価証券で使われる「証券保管振替機構(ほふり)を使わずに、ブロックチェーン等のシステムでトークン化(電子化)し、権利移転を図る仕組み。2020年5月施行の改正金商法で新たに定義され、国内では不動産を中心に事例が増えているという(件数は11件、累計発行額250億円以上)。

ALTERNAの第1号となる「ステージグランデ日本橋人形町」は65戸の賃貸マンションで、3月末時点で稼働率100%。6月2日より投資申込を開始する。

商品名は「三井物産のデジタル証券~日本橋・人形町~(譲渡制限付)」。発行口数は14,720口、発行価格は1口100,000円で1口以上1口単位。運用期間は4年10カ月(予定)で、予想分配金利回りは3.0%。

ステージグランデ日本橋人形町

ALTERNAでは特に「利回り」の確保を重視し、不動産などの実物資産をデジタル証券化する。不動産におけるREITなど、実物資産の証券化の事例はすでにあるが、それらは「市場での換金性」が重視されており、上場REITなどには「わかりにくさ」があるとする。

三井物産デジタル・アセットマネジメントでは、利回りに着目した不動産・インフラへの投資は「株よりも安定した収益性」があり、価格変動が大きくないことから、「リスク回避を好む日本に適した商品」と説明。また、収益(家賃)やリスクの所在(退居)が比較的シンプルでわかりやすいことから、新たな投資商品としてALTERNAの拡大に期待をかける。

ALTERNAの事例

加えて、従来の資産運用業界においては、アナログな作業フローが多く、これらが中間マージンの発生に繋がっていた。三井物産デジタル・アセットマネジメントは、LayerXが35%出資しており、エンジニア比率は30%超。運用業務を徹底的にデジタル化することで、業務の自動化を進める。一般的なREITの運用報酬は年0.3~0.6%程度だが、現時点で0.2%となっており、将来的には0.05%までの削減を目指す。

こうしたデジタル証券をスマホから売買できるのがALTERNAの特徴。申告分離課税に対応しており、特定口座(確定申告あり)の場合は、納税の手間も発生しない。

一方で、売却には一定の譲渡制限期間が定められており、まだ売却の実績はない。譲渡制限期間後に売却可能となるが、現在展開している4件においては、発行価格を上回り、含み益が発生している状況だが、現時点でのデジタル証券の流動性は「限定的」となる。

第1弾の「三井物産のデジタル証券~日本橋・人形町~(譲渡制限付)」に続き、今後は不動産だけでなく、データセンターのようなデジタルインフラや航空機・船舶、海外不動産、再生可能エネルギーなど様々なアセットのデジタル証券化を進める考え。5年以内に累計販売金額3,000億円以上を目指す。