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iPhone写真編集の隠れ機能。標準アプリで切り抜き・合成

前回の記事では、iPhone / iPadの写真編集について紹介しました。トリミングやフィルターなど、簡単な処理のほか、ハイライトや彩度などの各種パラメーターを調整すると、イマイチと思っていた写真も編集すると見違えるかもしれませんね。写真加工用のアプリを使わなくても、標準機能だけで楽しめます。

でも、タイミングのずれた写真は諦めるしかないし、写真の合成はできない……、と思いますよね? 実は、どちらもiPhoneの機能で実現できます。今回は、あまり知られていない編集機能に踏み込んでみたいと思います。なお、本稿の手順は、iOS 16.4.1で再現しています。

標準の写真編集機能だけで写真も見違えるかも? 編集前(左)、編集後(右)
編集だけではなく、こんな合成写真も作成できる

ベストなタイミングが隠れているかも?

“Live Photos”の機能はご存じですか? 静止画と同時に撮影前後の1.5秒、合計3秒が動画として保存される機能です。動画は必要ないし、データが重くなりそうだから「OFF」という人もいると思いますが、通常の写真と比較してデータ量にほとんど差はありません。

失敗写真回避の可能性と、シャッター音が抑えられるメリットは大きいと思います。撮影時の画面右上のアイコンを確認してみてください。

[カメラ]アプリで撮影時の画面。画面右上のアイコンで“Live Photos”のON(左)/OFF(右)を確認できる

以下の例は、もう少し早いタイミングでシャッターを切れば良かったと感じる写真です。しかし、“Live Photos”をONで撮影したなら修正の余地があるかもしれません。

“Live Photos”をONで撮影した写真は、編集画面にアイコンが追加されています。タップすると記録されている画像の一覧が並びます。左右にスライドしてちょうどいいタイミングを探してみてください。

タイミングを逃してしまったように見える写真。“Live Photos”をONで撮影していれば回避できるかもしれない
写真を表示後に右上の[編集]をタップして編集画面に切り替えた状態。“Live Photos”をONで撮影した写真にはアイコン(①)が追加で表示される。このアイコンをタップする。撮影時に記録された画像が並ぶ。「●」が付いている写真が現在の「キー写真」となる
タイミングの良い画像を選択して(②)、[キー写真に設定](③)をタップする。「キー写真」が変更された。右下のチェックマーク(④)をタップすると、この画像がサムネイルに並ぶ

“Live Photos”は、乗り物やペット、運動選手など、動きの速い被写体を撮影する際の保険にもなります。被写体ぶれは避けられませんが、大事な1枚を撮影したいときには重宝するはずです。

また、メニューから撮影時の動作を繰り返す[ループ]、往復する[バウンス]、[長時間露光]のエフェクトを選択することとも可能。ストック写真で楽しんでみてください。

[LIVE]のメニューから、動作を繰り返す[ループ]、往復する[バウンス]、[長時間露光]のエフェクトを選択可能

なお、[カメラ]アプリを起動するたびに“Live Photos”をONに切り替えているなら、設定を見直してONの状態を保つようにしておいてもいいでしょう。[設定]アプリから変更可能です。

[設定]アプリを開いて[カメラ]-[設定を保持]をタップする。[Live Photos]のスイッチをONにする

被写体を切り抜く

背景から対象物を切り抜く機能は、iOS 16から搭載されました。ただし、「A12 Bionic」以降のチップを搭載した機種のみに対応。iPhone X/8/8 Plusは対象外です。この機能に気づいていない人もいると思います。使い方は簡単で、切り出したい対象物を長押しするだけです。ただし、切り抜きの範囲は自動判定です。写真によって意図通りにならないことを知っておきましょう。

写真を開いて切り抜きたい被写体を長押し(1)する。切り抜く範囲に白い模様が動いて、[コピー]と[共有]のメニューが表される。[共有](2)をタップするとメニューが表示されるので、[画像を保存](3)をタップする。背景から切り抜かれた画像が新しく保存される
切り抜きの対象は人物でなくてもOK。動物、花、料理なども切り抜き可能

[共有]-[画像を保存]と選択すると、切り抜いた画像は新規の写真として保存されます。[コピー]を選択すると一時保存されるので、[メモ]アプリやSNSのメッセージに貼り付けることができます。

合成用の「ショートカット」を作成する

被写体を切り抜けるだけではつまらないですよね。簡単な合成写真を作って遊んでみましょう。あらかじめ[ショートカット]アプリで合成用の「ショートカット」を作成します。ここでは、ショートカットの処理を[共有]のメニューから呼び出せるように設定します。

[ショートカット]アプリは、Appleが提供しています。iPhoneの操作を自動化するスクリプトを作成できる優れものですが、あまり利用されていない印象です。もしアンインストールしているなら、App Storeから再インストールしてから操作してください。ちょっと手順が長いですが、一度作成してしまえばずっと使えます。

[ショートカット]アプリを起動して右上の[+](1)をタップする。画面下にある[共有]のアイコン(2)をタップする
[共有シートに表示](3)のスイッチをONにして、[完了](4)をタップする。アクションが追加される。[続ける](5)をタップして[入力を要求](6)を選択する
[入力を要求](7)に切り替わったことを確認する。アクションの検索欄(8)をタップする。「写真を選択」(9)と入力して表示された[写真を選択](10)の項目を選択する
[写真を選択]のアクションが追加された。アクションの検索欄(11)をタップする。「イメージを重ね」と入力すると(12)アクションの候補が絞り込まれる。[イメージを重ねて表示](13)を選択する
追加されたアクションの[イメージ](14)をタップして[ショートカットの入力](15)を選択する。[ショートカットの入力]に切り替わった。[写真](16)をタップする
[写真メディア](17)をタップしてメニューを展開し、[イメージ](18)を選択する。[イメージ]にチェックが付いたことを確認して、右上の[×](19)をタップする
元の画面に戻るが、表示上の変化はない。アクションの検索欄(20)をタップする。「写真アルバムに」と入力すると(21)アクションの候補が絞り込まれる。[写真アルバムに保存](22)を選択する
アクションの追加は以上。[∨](23)をタップして[名称変更](24)を選択する
ここでは「写真合成」(25)とした。[完了](26)をタップする。作成したショートカットが追加されている。[ショートカット]アプリは閉じて構わない

作成したショートカットで合成する

前述の操作により、写真の共有メニューに作成したショートカット名の項目(ここでは「写真合成」)が追加されます。以下は、被写体を長押しして選択 → [共有]の流れで操作しますが、切り抜いていない写真を重ね合わせて合成することも可能です。

合成した結果は新しい写真として保存されるので、合成元の写真が変更されることはありません。また、合成した写真にさらに合成を重ねることもできます。

切り抜きたい被写体を長押しして、[共有]をタップする。共有のメニューが表示されたら下までスクロールして追加したショートカットの項目(ここでは「写真合成」)をタップする
合成する写真を選択する。切り抜いた被写体が重なって表示される。ピンチイン・アウトで拡大縮小、2本の指で回転しながら配置する。配置できたら[完了]をタップする

合成時の画面の下に表示される操作の内容は以下の通り。

  • [キャンセル]:合成の操作を中止したい時にタップする
  • [不透明度]:重ねた切り抜き画像の透明度を変更できる
  • [リセット]:重ねた直後の状態に戻る
  • [回転]:切り抜き画像の回転を禁止する
切り抜き画像を合成した結果
複数の切り抜き画像を合成した例

写真加工は標準機能だけでも楽しめます。元の写真が変更されて上書き保存されることもありませんので、安心して試してみてください。本稿の操作はiOSのバージョン(16.4.1)が同じであれば、モデルは問いません。