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DAZNはなぜ値上げするのか 2年で“ほぼ倍”の月額3700円に

スポーツ映像配信の「DAZN」は、2月14日から現在の料金プランを「DAZN Standard」に改称し、月額料金を3,000円から3,700円に値上げする。また、2月14日には980円の新料金プラン「DAZN Global」も開始。同プランは格闘技やボクシングなどの小規模団体やリーグなどを中心としたものとなる。

DAZN StandardはJリーグやプロ野球、欧州サッカー、モータースポーツ、ゴルフなど、既存のDAZNと同等で展開。ここにはDAZN Globalのコンテンツも含まれる。月額料金は3,000円から3,700円に値上げされるほか、月払いの年間プランも2,600円から3,000円に値上げ、年間一括払いは27,000円から30,000円となる。

DAZN Globalは、開始当初はボクシング団体のmatchroom、格闘技のPFLなどを中心にまだメジャーではないが海外で人気のスポーツのプランとして展開する。

2年で約2倍に値上げ。DAZNは収益化フェーズに

DAZNは、2022年2月に1,925円から3,000円に値上げしたが、2年連続での大幅な値上げで、2年で2倍近い料金になる。

DAZN Japanの山田学Executive Vice Presidentによれば、「昨年の値上げでは、一定の解約はあったが、我々の想定よりは少なかった。プレミアムなスポーツコンテンツを維持し、増やしていくにはそれなりの投資が必要で、配信テクノロジーにも大きな投資をしている。収益化に向けて、プレミアムコンテンツにふさわしい価格を常に模索している」と説明する。

DAZN Japan Executive Vice Presidentの山田学氏

DAZNの契約数は非公開だが、2022年は「大きく増えてはいないが、減ってもいない」(山田氏)とのことで、昨年の値上げも一定の理解を得たとの認識を示す。一方で、「(前回の値上げよりは)価格の変更の幅は抑えた。前回はスポーツファンの皆様にとって、衝撃はあったと思う。今回(の値上げ)は、現実的にどのくらいの価格であれば受け入れていただけるか我々なりに検討した結果、3,000円から3,700円とした。代わりに年間契約していただければ、実質的な負担額があまり変わらずご利用いただけるという環境も用意することで、選択肢を提示できているとうれしい」とした。

また、2017年のDAZN日本上陸からの5年間を「投資フェーズ」とすると、2022年以降は「収益化フェーズ」に移行。ユーザー獲得から収益化に重きを置いて運営する体制になっているという。加えて、物価高もあり、イタリア、スペイン、ドイツなど日本以外のマーケットのDAZNにおいても値上げを行なっており、グローバルでグループ全体の「方向感」が値上げ基調だという。

一方値上げ以外の収益化も模索しており、ドコモとの協力によるスポーツくじやミクシィと提携したNFT、EC、広告ビジネスなど多角化を図っている。日本でもボクシングのPPVをスタートしたほか、英国やイタリアのDAZNでは、結果を予想してお金を賭ける「ベッティングサービス」にも参入した。サブスクだけでなく、こうした周辺事業でも収益化を図っていく。

さらに、ドイツとオーストリアで開始された無料広告付きストリーミング「FASTチャンネル」について言及。「日本においても2023年中には具現化していきたい」とし、DAZNにおける広告付きの無料配信の可能性について語った。

無料配信という点では、サッカーワールドカップにおける「ABEMA」の事例もあるが、「ABEMAさんがワールドカップをやってくれて本当に良かった。DAZNの認知も上がってきたが、まだまだ単体ではなくてOTT業界で発展・拡張がほしいフェーズ。ABEMAとはモデルは違うので競合とは考えていない。そのため、我々から提案して番組などでコラボレーションさせていただいた。コンテンツ獲得などでは、競合するケースもあるかもしれないが、協力しつつ競争していきたい」と語った。

携帯キャリアのバンドルサービスも価格改定

なお、NTTドコモにおける「DAZN for docomo」の契約も、2月14日以降の契約は3,700円となる。ただし、2022年4月17日までに契約した人は1,925円、2月13日までに契約すると3,000円のままで利用できる。

また、auの「使い放題MAX 5G/4G DAZNパック」「使い放題MAX 5G ALL STARパック」も3月1日以降の契約で値上げ。Povoにおける「DAZN使い放題パック(7日間)」も760円から925円に値上げされる。