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「ロボット界のAmazon」目指す。ソフトバンクロボティクスが新戦略
2022年10月18日 16:10
ソフトバンクロボティクスは、新事業「ロボットインテグレーター(RI)」のビジネス戦略を発表した。
サービスロボットの世界市場規模は、2021年時点で2兆7,410億円、2030年には5兆7,628億円と2倍以上の成長が予測されている。さまざまな課題に直面する社会において、ロボットは単に「作る」フェーズから「様々なロボットからどう選び、どう組み合わせ、いかにその力を活かすか」という新たな時代に突入しつつあるという。
RI事業では、同社がサービスロボットを提供する上で得られた知見と膨大なロボット稼働データ、世界的なネットワークを活かし、ロボットの導入を検討する事業者や、ロボットを開発するメーカーなどへ総合的なサービスを展開する。
ロボットを利用すればデータが蓄積され、さらに運用の効率があがり、さらにデータが蓄積する。ソフトバンクロボティクス取締役兼CBOの吉田健一氏によれば、これまで同社には、世界最大の「Robot World Data」として、600万kmの床清掃データ、4,700万回の配膳データなど膨大なデータが蓄積されているという。これを「Real World Data」を活用して顧客情報を分析し販売を効率化し続けるAmazonになぞらえ、ソフトバンクロボティクスは「ロボット界のAmazonになる」という。
具体的には、導入事業者向けとして、「ロボット導入のコンサルティング&アウトソーシング」、メーカー向けとして、「新サービス・ロボットの開発・量産・保守サポート」、ロボットビジネスの最適化を促進する「独自データプラットフォームの立ち上げ」の3つを軸に展開していく。
ロボット導入のコンサルティング&アウトソーシングとしては、さまざまな課題に直面する事業者に、これまでの知見と膨大なロボット稼働データ、ロボット・AI等による最適なソリューションを提案して導入をサポートする。
例えば、スマート清掃事業を展開するソフトバンクロボティクスとくうかんの合弁会社「SmartBX」では、オンデマンド清掃支援サービスを展開。トイレ掃除では決められた時間に清掃を行なうことが一般的だが、オンデマンド清掃支援サービスでは、センサーで利用者を測定して、「30人利用したら掃除する」という清掃サービスを提供するほか、顧客から清掃の要望があったタイミングで清掃を行なう。これにより30%のコストダウンと60%のクレーム減少を実現したという。
サービス・ロボットの開発・量産・保守サポートでは、ロボットを開発するディベロッパー/メーカーに対して、企画、開発、量産、品質管理、保守・サポートまで幅広いサービスを提供。さまざまな課題に直面しているロボットディベロッパー/メーカーをサポートし、ロボット業界全体の活性化を推進する。
データプラットフォームの構築としては、単独のロボットの稼働から、複数ロボットやセンサーを組み合わせて最適化し、多様な製品群を一元管理・運用するニーズが高まっていることをうけ、データプラットフォーム「SoftBank Robotics Universal Data Platform」を提供。これまでの膨大な蓄積データを活用し、導入済みロボットの運用効率化だけでなく、導入検討中の事業者へのソリューション提案、ロボットメーカーの開発・量産・保守サポートなどを推進する。
こうした取り組みの一例として、ファミリーマートにドリンク類の陳列作業を行なうロボットを提供しているテレイグジスタンスには、ロボット量産のためのサポートを提供。プロトタイプのロボットを量産設計に持っていくための支援をし、生産開始後の生産工程管理や品質管理をサポートする。
テレイグジスタンスでは、現在、ファミリーマートの20店舗にロボットを導入しているが、今後3年間で5万台のロボットを提供する予定。その実現のためには、ソフトバンクロボティクスの支援は欠かせないという。
また、冷凍のラーメンを90秒で調理して提供する自販機「Yo-Kai Express」にもソフトバンクロボティクスが開発に協力。今後も一風堂とPepperのコラボレーションモデルの他、さまざまなラーメン店とのコラボも予定。フードシステムデータクラウドの活用も行ない、顧客分析やエリア/ロケーション分析、メニュー分析なども行なって、在庫やオペレーション、価格の最適化などを行なう