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折り畳めるモビリティ「WHILL Model F」 価格・重量が半分に

近距離移動用のパーソナルモビリティを開発・販売しているWHILLは、軽量化して折りたたみ可能な新型のモビリティ「WHILL Model F」を11月1日から発売する。あわせて、「WHILL Model F」のレンタルサービス「WHILL 日額レンタル」も開始する。高齢化による「人生100年時代」において、自分らしく生きたいと考えるシニアの自己実現を後押しするものだという。

「WHILL Model F」は電動車椅子型のモビリティ。折りたたみ時のサイズは555×465×855mm(幅×長さ×高さ)。開いた時は555×935×802mm(同)。重さは約27kg。最高速度は6km/h。35mmまでの段差を乗り越えることができ、登坂能力は10度。最小回転半径は780mm。航続距離は20km。価格は26万8000円(非課税)。

WHILL Model F
折りたためることで公共交通機関への持ち込みが容易になった
軽量化を優先して前輪はキャスター式に
簡単に折りたためる

バッテリーなどは従来機と同じものを使い、コストを削減した。前輪も従来のWHILLの特徴だったオムニホイール(全方位タイヤ)ではなく、キャスター式とすることでコストと重量を削減している。足を置く場所はやや狭くなってしまうが、軽量化によって「より気軽に乗れることを目指した」結果だという。段差の乗り越え性能はオムニホイールよりは落ちるが、3.5cmを確保した。

5色のカラーバリエーションも用意する。従来のホワイトに加え、ライトブルー、レッド、ブラック、ライトグリーンを加えた。

ライトブルー
レッド
ライトグリーン
ブラック

従来モデルの半分の重量、価格を実現。短期レンタルも開始

WHILL Model F

WHILLは2012年5月に創業。2013年4月に米国、2018年8月にオランダ、2019年12月には中国に拠点を設立しており、パーソナルモビリティと、自動運転機能を活用したMaaSを事業の柱としている。パーソナルモビリティ事業では、近距離用のモビリティとして「WHILL Model C2」をはじめとする製品群を23の国と地域で販売している。2021年現在の従業員数は約200人。

MaaS事業では、障害の有無や年齢に関わらず誰もが乗れる一人乗りのモビリティによる移動サービス・システムによって、既存の交通機関を降りてから目的地までの「ラストワンマイル」の移動ソリューションを提供している。

2020年9月に発表された「WHILL Model C2」は分解可能だったが、今回発表された「WHILL Model F」は折りたたみが可能。折りたたみは、フットペダルを踏み、シートフレームパイプを上に引き上げた状態で、ロック解除ボタンを押すだけで完了する。コンパクトになることで、スペースに制約のあるマンションなどでも収納しやすくなるほか、列車など公共交通機関を使った長距離移動の際の持ち込みが容易になる。

価格・重量いずれも「WHILL Model C2」の半分程度、折りたたむことで奥行きも従来の半分にすることができる。日本で普及している簡易型の電動車椅子の多くはバッテリー込みで30kg以上あるものが多く、それよりも5kg程度軽くすることを目指したという。

今回新たに始める「WHILL 日額レンタル」は3日間~30日間のうち、8つのレンタル日数期間からの選択式。料金は1日あたり3,840円(非課税、送料別)。任意の指定場所に届けてもらうことができるため、出張先などでも活用しやすくなる。電動車椅子の規格に入るモビリティを販売するBtoCでの短期レンタルサービスは国内初だという。WHILLでは、ダイナースクラブカード事業を運営する三井住友トラストクラブおよび日本航空経由でサービスが申し込めるよう協業する。

近距離モビリティのエコシステムを構築する

WHILL 代表取締役社長 CEO 杉江理氏

WHILL代表取締役社長 CEOの杉江理氏は「世界には歩行困難者が2億人いる。すべての先進国が高齢化を迎えており、この人数は増えている。WHILLは近距離移動のためのサービスとプロダクトを作っていっている」と同社の事業を紹介した。WHILLは現在20か国以上の地域で使われており、プロダクトラインナップを拡充していっている。また、ハードウェアだけでなく、ユーザーアプリケーションや機体管理システムなどの開発も行なっている。

杉江氏は「最終的には近距離モビリティのエコシステムを構築したい」と語った。モノ・サービス・ファイナンスをつなげて、各社とエコシステムを構築する。

日本でのアンケート結果を見ると、定年後65歳以降に「何かをしたい」と考える人は8割以上にのぼる。いっぽう、65歳以上の高齢者3,600万人のうちおよそ1/3、約1,000万人は歩行困難となっている。そのためのソリューションがWHILLのモビリティだと述べた。

WHILLが提供する近距離移動のモビリティプラットフォーム
ハードウェアだけでなくユーザーアプリなども開発
近距離モビリティのエコシステム構築を目指す

今後は2機種を展開

WHILL 事業開発・戦略室 赤間礼氏

「WHILL Model F」プロジェクトマネージャーの WHILL 事業開発・戦略室 赤間礼氏は、保管場所に困る、重たくて持ち運びが困難、価格が高いというこれまでの電動車椅子の課題を解決するのが「Model F」だと紹介した。「特に折りたたみは世界で一番簡単な折りたたみを目指した」という。折りたためるのでタクシーや新幹線、飛行機への積み込みなども容易になった。

3ステップで折りたたみ可能で、玄関先でも場所をとらない
新幹線など公共交通機関への積み込みが容易に
タクシーへの積み込みもより容易になった

WHILLでは今後、「Model C2」と「Model F」の2機種を展開する。あくまでユーザーの使い道に応じて選択肢を増やすということであり、どちらかだけに絞っていくつもりはないという。提供形態にも新たな「日額レンタル」を追加することで「定年後にしたいこと」の希望として挙げられることが多い「旅行」などのニーズに対応する。

今後は2機種をそれぞれ展開する
WHILL日額レンタルを開始

10月19日から問合せ受付中で、11月1日から販売する。日本だけでなく、北米、欧州、アジア地域でも来年発売予定。折りたたみできる特性を活かし、交通事業者や旅行代理店とも連携して展開していきたいと考えているという。