ニュース

カードを持っているのになぜ「後払い」を使うのか。メルペイ調査

国内外で新たな支払手段として注目される「BNPL(Buy Now, Pay Later)」・後払いサービス。若年層を中心に支持を集め、2020年度の8,820億円(見込)から、24年度には1兆8,800億円にまで拡大すると予想されている(矢野経済研究所調査)。「クレジットカードに変わる選択肢」と目されてきたBNPLだが、メルペイの調査によれば、「後払い決済サービス利用者のうち、70.3%はクレジットカードを保有している」という。

利用金額がわかりにくいというカードの課題とBNPL

メルペイが、18〜59歳の男女計800名を対象に実施した「消費と支払手段に関する調査」によれば、全体の約3人に1人(31.1%)は、後払い決済サービスの利用経験があり、特に若年層ほど利用率が高く、20代35.6%、30代33.8%、40代30.0%、50代16.9%。さらに、平均月間利用金額は、この半年間で増加傾向にあるという。

また、注目されるのは後払い決済利用者のうち、70.3%はクレジットカードを保有していること。カードの利用においては、特に20~30代の後払い決済サービス利用者の約半数(49.5%)が「ついお金を使いすぎてしまう」、24.3%が「利用金額を把握しにくい」と回答し、支払いの管理に関する課題があるとする。

一方で、後払いを利用する理由の60.9%が「支払うタイミングを調整できるから」。さらに「利用金額を把握しやすいから」(34.8%)、「支払いの見通しを立てやすい」(30.4%)など、利用と支払いの管理がしやすい点をメリットとして挙げている。

つまり、いくら使ったかわかりにくいクレジットカードに対し、BNPLのアプリで利用額や支払いの見通しがわかりやすいといった点が支持されていることになる。

また、後払い決済サービス利用者の約4割(39.8%)が、購入したいモノの金額がその月に使ってもよいと思える金額を超えていても、「欲しい」と感じた時に購入しているという。理由としては、「収支の把握をきちんとできている自信がある」「支払いの見通しが立っている」が上位に入っており、「利用と支払いの管理がしやすい後払い決済サービスを活用することで、欲しいと感じた時の購入を可能にしていると考えられる」と分析。後払いサービスが“いま”買いたいというニーズに応えているとする。

また、後払いサービス利用者の71.4%は、アプリや家計簿、ノートでの家計管理をするなど、収支を把握する工夫をしている。非利用者に比べて16.4%高く、「家計管理の意向が高い層が後払い決済サービスを利用している」という。

後払いは「計画的」に使える? わかりやすさに注力

メルペイのBNPLサービス「メルペイスマート払い」も、自身で利用金額が決められることや「定額払い」で支払金額をいつでも変更できるなど、柔軟な支払いが行なえる点が特徴。特に「利用状況がわかりやすい」点が支持されており、利用者も順調に拡大。年齢層は20~30代が過半数で、女性比率は54.9%と女性のほうが多くなっている。

メルペイスマート払い利用者の58.5%が自ら「上限金額」を設定。さらに上限金額を設定した人の延滞率は、設定しない人の1/4で、しっかり計画的に返済されている。無計画に後払いをしているのではなく、利用金額の可視化により、「計画的」にお金を使えるのがBNPLが支持されている理由とする。

なお、メルペイは「マネーフォワードME」など、他社の家計簿サービスでのデータ取得やデータエクスポートには対応していない。メルペイ 山本 真人COOは「要望が多いのは我々も認識している。現時点では取り込みに対応できておらず、アプリの中でできることを徹底的にブラッシュアップしていく考え。継続して検討していく」と述べるにとどまった。

また、メルペイでのプラスチックカード発行については、「利用できるシーンが増えるが、いまはアプリが重要と考えている」とした。

世代・トレンド評論家 牛窪 恵 氏によるZ世代の消費特性分析