ニュース

西友のPBは“オリジナル”にシフト。安さ→時短・こだわり

西友は、スーパーで販売するプライベートブランド(PB)の戦略を、オリジナル商品の開発・販売にシフトするなど進化させ、グロサリー分野での売上構成比を2023年で25%にまで伸長させる戦略を明らかにした。

西友の主力PB「みなさまのお墨付き」は、徹底した消費者テストを実施するのが特徴。2012年のデビュー当初から、開発中の商品に対し20~60代からランダムに選ばれた100名以上が、味、価格、容量などについてテストを実施。支持率80%以上(2019年以前は70%以上)を獲得した商品だけが発売される仕組みを採用している。

これまでは定番商品が主体だったことから、大手ブランドの商品をベンチマークとし、それらと同等以上で安価、というコンセプトで開発していたが、コロナ禍で節約や健康志向が高まり、より付加価値が高く低価格と両立させた“定番商品の枠を超えた商品”を投入。新商品は500アイテムに上り、結果「みなさまのお墨付き」の売上は2019年比で27%増と大幅に拡大した。

今年はコロナ禍2年目で、自宅での調理疲れ、免疫力向上へのニーズなど、消費者の志向はなおも揺れ動いている。こうしたニーズの変化に柔軟に対応する意味でも、大手ブランドのみをベンチマークにするのではなく、独自の視点で、ありそうでなかった商品を含めて、オリジナル商品を開発する体制にシフトする。

今後はスーパー店内の一等地に、「みなさまのお墨付き」アイテムだけをそろえた専用コーナーを設置・拡大し、認知や販売の拡大を図っていく。

オリジナル商品に注力するPB新戦略のコンセプトは、時短ニーズに応える「Ready To Eat & Cook ~時間をかけず美味しく便利~」、心と体に優しくプチ贅沢という「Well Being ~心も身体も心地よい生活~」、こだわりの名産品や国産原料を積極的に使う「Local & Seasonal ~産地・原材料へのこだわり~」の3つ。

レトルトカレーでは動物性原料を使わない「大豆ミートのキーマカレー」(レトルト)をラインナップするほか、ごはんにかけるだけのシリーズではルーロー飯やチリコンカン、タッカンマリ風などを用意。今後も沖縄タコライス、トムヤムガイなどを発売する。フライパンいらずでごはんとまぜるだけでできあがるガパオライス、カレーピラフなども用意されている。

調味料では、具材入り調味料として刻み野菜入りケチャップ、玉ねぎのみじん切りが入ったポン酢などをラインナップ。パスタ用オイルソースや鍋つゆなども拡充していく。

ほかにも、国産素材で作るドーナツや、マグカップサイズにぴったりなドリップバッグのコーヒー、カフェインレスやオーガニックの紅茶、ベルギー産シュガーに鳥取県産の特選牛乳を使用するベルギーワッフル、青森県産ふじをつかったストレート果汁のりんごジュース、北海道産の生乳100%の生クリーム入りカマンベールチーズ、北海道産大豆とたれを使用した納豆などもラインナップしている。

大豆ミートのキーマカレー、270円
マグカップにぴったりのドリップコーヒー、321円
丸ごと搾り ふじりんご、105円

これらの多くはすでに販売されているが、いずれもスーパー独自の視点が付加価値として盛り込まれているのが特徴。例えば「大豆ミートのキーマカレー」は、商品に対して動物性原料の使用について問い合わせがあったことが開発のきっかけになっているとのことで、(これまでベンチマークとしていた)大手ブランドで類似商品は販売されていないという。また個食パッケージのPB商品では、「辛いカレーが好きだが家で作っても子供は食べられない」といった状況に応えられるものとして登場したシリーズもある。今後はさらに、ユーザーの声を開発段階で反映するなど一緒になって商品開発を行なう計画もあるという。

今後はPBのユーザーとの共同開発も計画している

なお、原材料の高騰や供給体制の不安定化など食品業界でもコスト増の要因は多いが、西友では、少なくとも年内はPB商品群の値上げはしない方針。販管費を含めて全社的な対応でコスト増を吸収していくとしている。

中期経営計画においては現在、第2段階として生鮮、惣菜、PBを統合した調達を進めている段階だが、軌道に乗るには相応の時間が必要ともしている。最終段階では、生産段階や原材料にまで踏み込んで付加価値を加えた、独自商品の開発をさらに本格化させるとしている。

中期経営計画で目指す総合調達モデルで独自商品にシフトする