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パナソニック、軽い力で“押歩き”できる電動アシスト自転車

パナソニックサイクルテックは、国内初となる押し歩き機能を搭載した電動アシスト自転車「ビビ・L・押し歩き」を7月6日より発売する。価格は129,000円。

歩道橋の自転車用通路や、駐車場のスロープなどで、荷物を積んだ状態でもモーターの力によって軽い力で押し歩くことができる機能を搭載。欧州では元々合法の機能で、パナソニックも押し歩き機能が搭載された製品を販売していた。2019年12月に日本でも道交法が改正され、製品化が可能になった。

電動アシスト自転車はモーターなどを搭載するため、一般の自転車よりも重量が重くなる。走行時はモーターのアシストにより快適だが、自転車から降りて押すようなシーンでは、重量が重いのがデメリットになっていた。

今回の機能により、ペダルを漕がなくても歩行速度に合わせ、最大時速6kmで押し歩きのアシストが可能になる。これにより重量の重い電動アシスト自転車の弱点を軽減する。

押し歩きモード時は道交法上、人が乗車しない「歩行補助車等」と位置づけられるため、時速6km以下、人が乗車しないこと、人が離れたら機能が停止することなどが条件となる。このため、押し歩きモードは、サドル後部のレバーによってサドル後部を引き上げた状態にして、乗車できないようにした上で、ハンドル左側に設置された「押歩き」ボタンを押したまま歩くことで実現した。サドルの傾斜状態はセンサーによって検知している。

ボタンから手を離すとモーターは停止するが、完全に車体を停止させるには通常の自転車と同じようにブレーキを併用する。

開発には6年を費やした。当初は欧州で展開しているモデルの発売を提案したが、当初は道交法の問題で却下。社内有志で開発を続けたという。

特に押し歩きの制御については苦労し、モーターの力を強くすれば押すのは楽になるが、スタート時に急発進などをしてしまう可能性もありえる。安全性と利便性の両立を追求しながら制御を見極めていったという。

同社の調査によると、押し歩き機能については、押し歩きを行なう場面があると答えた人は93%。押し歩き機能が欲しいと感じている人は75%に達したという。

2020年は、国内の自転車市場はコロナ禍で公共交通機関を避ける手段として自転車の販売が115%に伸長。パナソニックでは12%成長し、特に通勤通学モデルが124%、小径・ファッションモデルが127%と大きく伸びたという。

また、高齢者の自動車運転免許の自主返納が2015年から5年で2倍となる年間57万人に達していることから、電動アシスト自転車を移動手段として利用する人が増加。同社のショッピングモデル「ビビ」では、65%以上が60代以上のユーザーになっているという。今回の押し歩き機能を搭載することで、こうした高齢者の利便性を向上する。

今後は、チャイルドシート搭載モデルや、業務用自転車、スポーツタイプの自転車などへの展開も検討していく。