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オカムラ新オフィスはすべてフリーアドレス。テレワーク時代のオフィスの役割とは
2021年4月7日 09:00
オカムラは、首都圏の拠点の中心になる新オフィス「HEADQUARTERS OFFICE」を公開した。多数のオフィス用品を手掛ける同社として、新しい働き方やオフィスの新たな役割も定義し、新オフィスにはそれらを実践する場として実験的な内容も盛り込んだ。4月12日からは予約制で見学も可能。
コロナ禍により、一部の企業や業種では在宅勤務やシェアオフィスなどのテレワークが定着したことで、オフィスのあり方に変化が訪れている。オカムラでは、これからのオフィスに求められるのは、人が集まることによる「感情共有」の体験ができること、と定義。従来のようにオフィスの中で場所を固定して働くのではなく、作業内容に応じて場所を選び、交流の場として機能するように役割が変化していくとした。
オフィス用品を手掛けるからといってテレワークに否定的な立場ではなく、同社はかねてからテレワークを実験的に導入、コロナ禍に際してもスムーズに移行できたという。そうしたことから、サテライトオフィスやシェアオフィスを含むテレワークは、「決まった作業を集中してこなすのに最適」と位置づけている。
偶然を含む出会いや繋がりで企画を生み出す共創の場がオフィスの役割とし、テレワークでは決まった作業を推進、再びオフィスに戻って結果を検証したり決断したりするという流れを新たな働き方とする。同社のヘッドクオーターオフィスは、仕事を始める「発案する場」と、途中や最後の「決断する場」として機能するという。
その新ヘッドクオーターオフィスは、ABW(Activity Based Working)を実践しており、固定された「自分の机と椅子」が無い、いわゆるフリーアドレスを3フロアすべてに導入したのが特徴。会議エリアを拡大し、食事ができるスペースも拡大したことで、交流の場を増加させて、部門を越えたコミュニケーションを活性化させる狙いがある。
ソファやテーブルも随所に配置することで簡単なミーティングを行ないやすくしたほか、間仕切りはほとんどを撤廃、廊下に相当する通路エリアはあえて幅を広くすることで「立ち話」をしやすくした。書籍やコミックの棚に囲まれた場所や、観葉植物の多い場所、窓際、ビデオ会議向けの場所など、目的や気分に応じてさまざまな場所を利用できるようになっている。歩いている人と目線が合いやすいように、高さのあるハイテーブルも積極的に配置されている。
一方、開放的なだけでなく、1対1で集中して話せる部屋や、漫画喫茶のように暗い、一人用のブースを集中的に配置した「コンセントレーションエリア」もある。コンセントレーションエリアでは電話も禁止で、雑音をシャットアウトしてとにかく集中するための場所になっている。
各席にはQRコードが用意されており、事前にスマートフォンなどで場所を予約し、机のQRコードを読み込んでチェックインするという仕組みになっている。こうしたフリーアドレス化の取り組みはほかの拠点でも推進されている。
紀尾井町の新ヘッドクオーターオフィスは、赤坂を含む複数の拠点を集約したことで、オフィス面積は21%削減し、オフィス賃料も14%削減した。これはテレワークを前提としたものでもあるため、移転対象人数も483人から15%減の417席となっている。
実際に稼働させてから2カ月間で、33.2%の社員が他事業部との関わりが増えたと回答したという。一方で、今の段階ではまだ、フリーアドレス化で戸惑っている人もある程度いるとのことで、同社として実験的な色合いも含む取り組みであることは隠していない。
同社では、経営層の人間がこうした取り組みをどう考えているかも重要であるとし、実際に役員や管理部門の人員もフリーアドレスの環境で執務を行ない、部下を含めてコミュニケーションをとりやすい環境を推進しているという。