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タクシー空車時は広告、乗車時は透明な窓。S.RIDEの車窓サイネージ

S.RIDE代表取締役社長 西浦賢治氏(左)とニューステクノロジー代表取締役の三浦純揮氏

モビリティメディア「GROWTH」を運営するニューステクノロジー(NT)とS.RIDEは、国内初となる車窓モビリティサイネージサービス「THE TOKYO MOBILITY GALLERY Canvas」(Canvas)を2021年6月より開始する。客を乗せていないタクシーの車窓に広告などを表示するもので、まずは都内を走行する国際自動車と大和自動車のJPN TAXI 100台で運用を開始する。

現在、タクシー車両が営業所から出発し、戻るまでの時間は平均して14.5時間(870分)とされ、そのうち客を乗せている「実車」時間が446分、「空車」時間は424分であり、ほぼ半分の時間は客をのせていないことになる。この空車時間に、客を乗せていないタクシーの後部座席でサイネージを表示する取り組み。

AGCが独自開発した、ガラス製透明スクリーン「グラシーン」を使い、映像を投影しない時は透明な窓ガラスとして、投影時はクリアな広告映像を映し出すことを可能にした。これにより客を乗せている間は普通の窓として、載せていない時は広告として活用できる。車載モビリティサイネージサービスとしてグラシーンを導入するのは日本初。

映像を投影した状態
映像を投影していない時は普通の窓として使える

映像は車内のプロジェクターから車両の左後方の窓に投影。歩道側の窓に投影することで、歩行者に対しての広告訴求を狙う。車両の窓は歩行者の目線にも近いため視認率が高く、タクシーは人が多い場所から多い場所に移動することが多いため、広告としてより高い効果を期待できるという。広告だけでなく、熱中症への注意喚起など、公共性の高いメッセージ配信にも活用できる。広告費は1週間500万円。放映は24時間可能で、100台が23区を中心に走行すると約600万人にリーチすると試算している。

車内のプロジェクター

将来的にはGPSとも連動させ、場所や時間によって広告内容の変更も可能にする。例えば近くの映画館の上映時間を表示したり、飲食店の情報を表示するなど、地域に密着したコンテンツを配信可能にする予定。なお、機能としては動画も配信できるが、道交法により車両での動画表示が禁止されているため、当面は静止画のみを表示する。

まずは都内で走行するJPN TAXI 100台に導入。2022年には1,000台の導入を目指し、横浜・名古屋などにも拡大していくという。機器は既存車両に後付けが可能で、段階的に対象車両を増やし、将来的にはS.RIDE加盟のタクシー事業社が保有するJPN TAXI全てに搭載予定。