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丸の内歩行者天国で自動運転モビリティが走る

大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会(大丸有協議会)と、BOLDLYは、丸の内仲通りで自動運転モビリティの実証実験を開始した。期間は3月8日から14日まで。歩行者天国の公道上で、歩行者と低速モビリティを共存させ、安全性や課題を探る。

走行ルートは、丸の内仲通り(丸の内ビルディング前から丸の内パークビルディング前の往復約700m)の区間。期間中はWebサイトで募集した一般の試乗者約500人が乗車する予定。丸の内仲通りは平日の11時から15時、休日は11時から17時の時間帯で歩行者専用となり、本来車両は入れないが、歩行者の中にゆっくりと走る車両が存在する状況を作ることで、歩行者が車両をどのように受容するのか、安全性なども含め、そのあり方を検証していく。また、検証区間は700mだが、「ちょっと歩くには遠い距離」で気軽に使えるモビリティのニーズも検証する。

車両は仏NAVYA(ナビヤ)製の「ARMA」。実証実験では700mの区間を往復するが、Uターンはせず、前進と後進によって区間を運行する。途中には3カ所のバス停が設置される。乗員は最大9名だが、今回は試乗者6名と、運転手、安全を確認する保安員が同乗する。

ARMA

車両の速度は時速約6km。本来の最高速度は時速25kmだが、歩行者が脅威を感じない速度に抑えた。基本的に自動運転での運行だが、実施期間中は、運転手も乗車。途中、2カ所の車道を横断する際は、屋外にいる交通整理員と共同で安全を確認し、発進作業を行なう。車両はRTK GPSと8基のLiDARにより自己位置と周辺環境を認識。人や障害物を発見すると自動で停止する。また、安全のため、車両から音楽を流すことで周囲の歩行者に車両の接近を知らせる。

車内の様子

共同で実験を行なうBOLDLYは、自動運転車両運行プラットフォーム「DISPATCHER」を提供。将来、車両が完全無人で運行するようになった場合、車内外の人の安全を確保するための遠隔監視を行なう。なお、今回の実証実験では車両は、人が常に運転状況を監視するレベル2の自動運転となるが、同社では2025年から2030年の実用化の時期には限定地域での無人運転を実現するレベル4自動運転車両によって商用化を計画しているという。

車両の各所にセンサーを搭載

今回の取り組みは、東京都、千代田区および大丸有協議会で構成される「大手町・丸の内・有楽町地区スマートシティ推進コンソーシアム」が国土交通省スマートシティモデル事業として選定をうけ行なわれるもの。大丸有協議会は2020年3月に「大丸有スマートシティビジョン」を策定し、その中で「Smart&Walkable」を掲げ、歩行者や多様なモビリティが共存する新しい道路空間の形成に取り組んでいる。