指名手配被疑者の「今の姿」をAIで予測。ヤフーら3社がTEHAIプロジェクト

ヤフーと電通デジタル、パーティーの3社は、指名手配被疑者の過去の写真から、AIを使用して今の姿を予測するプロジェクト「TEHAI(てはい)」を開始。指名手配被疑者捜査強化月間(11月1日から11月30日)に先立ち、特設サイトを公開した。プロジェクトの実施期間は9月30日から12月31日まで。

警察庁から写真や情報提供などの協力を得たうえで、AI(画像解析・生成技術)により指名手配被疑者の過去の写真から今の姿を予測する。今回は、約630名(8月末日時点)の指名手配被疑者の中で、警察庁指定重要指名手配被疑者12名のうち5名の現在の姿をAIによって予測した。指名手配被疑者の認知を一般に広げ、情報提供をして貰うことで検挙の可能性を高める。

現在、警察庁指定重要指名手配被疑者は12名おり、手配されてから20年以上経過している者も存在する。20年経過すると、老化や体型変化などによって人の外見的印象は変化するため、AIによる老化予測の可能性に着目。3社の知見を結集し、より通報しやすい設計を実現する。

特設サイトでは、5名の指名手配被疑者の予測イメージを公開。被疑者の顔をクリックすると、AIによるシミュレーションと体型変化を加味し、被疑者1人につき9パターンの予測イメージを閲覧できる。5名いずれも検挙に結びつく有力な情報を提供してくれた人に対して報奨金が用意されており、心当たりがある際にはすぐに情報提供ボタンから連絡できる仕組みになっている。また、Yahoo! JAPANでは、自社の広告枠を通じて本サイトの認知拡大を目指す。

AI(画像解析・生成技術)を使って、大量の顔写真データから加齢に応じた特徴(シワの入り具合、皮膚のたるみ方など)を抽出。過去撮影された被疑者の顔写真にその特徴を適用することで現在の姿を予測している。加齢変化を得意とするAI、老化前後のペア画像から特徴を抽出して変換するAIなど、AIが持つ特徴から複数のAIを採用。被疑者1⼈あたり9つのパターンを公開することで、予測の幅を広げた。

いずれも数万枚の顔写真データセットから数万回の学習を実施。また、実際の被疑者での生成を行なう前に、実在する人物の若い頃の写真を元に生成した写真と、その人物の現代の写真を比較することで「AIによる老化加工」の正確さを検証している。