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PayPay銀行、2021年4月5日誕生。ジャパンネット銀行が社名変更
2020年9月15日 13:17
ジャパンネット銀行は、2021年4月5日に「PayPay銀行」へ社名を変更する。社名変更とともに、PayPayなどZホールディングス金融系グループ会社との連携を強化する。
社名変更後も、ジャパンネット銀行名のキャッシュカードは、引き続き利用可能で、商品やサービス、手数料などの変更も予定していない。口座利用者の手続きも現時点では必要ないとしている。
ジャパンネット銀行は今年創業20年を迎えるが、「これまで築き上げてきたものをベースに、『PayPay』ブランドのメリットも活かし、より良いサービスをお届けしていくため」と社名変更の理由を説明。また、ZHDのグループ連携を深め、利用者に利便性の高い金融サービスを提供するため、金融系グループ各社の名称をPayPayに統一する。
ZHDグループの金融をPayPayブランドに集約
Zフィナンシャルの小笠原真吾 執行役員 経営企画部長は、Zグループの金融各社とブランド統一について説明。ZHDグループでは、ジャパンネット銀行のほか、ヤフーカードやワイジェイカード、One Tap BUY、ワイジェイFXなど金融関連会社の社名やサービスをPayPayブランドへ統一していく。
小笠原氏は、ブランド統一効果の一例として、PayPay連携時のわかりやすさを挙げる。PayPayアプリ内の「お金を借りる」をクリックすると、現在は「ジャパンネット銀行」の画面になる。これを「PayPay銀行」に改めることで違和感なくサービス利用を可能にする。
同様に、PayPay FX、PayPay商圏、PayPayあと払い、PayPayカード、PayPay投信など、各サービスをPayPayブランドとしていく。
もう一つの狙いが「シナリオ金融」の強化。金融をメディア・コマースに次ぐ「第3の柱」とするため、ヤフーやPayPayとサービス連携し、利用シーンに応じた金融商品を展開。現在は、ヤフオク!の「修理保険」やヤフートラベルの「宿泊キャンセル保険」などを展開している。
修理保険は1月にスタートし、今期10万件が目標だが、当初想定を超えており「対象者の約1割が加入している」とのこと。また5月からスタートしたPayPayのローンを含め、「着実に手応えを感じている」と説明。今後、グループの100以上のサービスと連携し、シナリオ金融を構築していく。
スマホネイティブための「PayPay銀行」に
ジャパンネット銀行は、2000年10月に日本初のネット専業銀行として誕生。2008年7月にスマホ向けサービスを開始した。田鎖智人社長は、「2020年代は『ネットに初めて触れたのはスマホ』というスマホネイティブ世代が幅広く経済活動に参加していくる。我々は日本初のネット専業銀行だが、日本で最も勢いがあり、スマホベースで多くの人に使われているPayPayを社名に掲げることで、スマホネイティブ世代に支持される銀行になっていきたい」と社名変更の意義を説明した。
ただし、全てを「ゼロベース」に見直すわけではなく、これまでのジャパンネット銀行を継続するものも多い。
継続するのは、他社との「提携」。公営競技やくじなどでは裏側の銀行決済機能を提供し、LINE PayやメルペイのQR決済とも連携してきた。またFintech事業者とも積極的に提携してきた。
もうひとつが「中小企業」。銀行サービスを中小企業も享受できるよう、総合振込、入金消込サービス、ビジネスローンなどを展開してきた。
「提携」「中小企業」の2つの領域は、業務粗利益の面でも4割をあげていることから、社名変更後も継続して強化していく。
一方、PayPay銀行で進化、強化するのは「PayPay」との連携。まずは、PayPayアプリ上で個人向けローンを提供し、シームレスの申し込みできる「もっとも優れたUI/UXを実現していく」という。
すでにPayPayアプリからジャパンネット銀行への送客も開始しており、連携による効果も出ている。個人口座では、PayPay経由の加入が大きな比率を占めているが、さらに効果が顕著なのが法人口座。法人の申込みは、新規の半分以上がPayPay経由になっているという。
また、PayPay加盟店への支払いやチャージが急速に伸びており、これらもPayPayの好影響となっている。
ただし、田鎖社長は「これだけでは不十分な面もある」という。
例えば、個人向けローンでは「グループ会社のサービスを使っているからローンを借り入れた」という行動を取る人が多いという。しかし、ジャパンネット銀行はZHDやPayPayとグループ関係であると認知されておらず「自分事になっていない」という。名称をPayPay銀行とすることで、認知をあげるとともにマーケティング効率を向上できるとする。
PayPay銀行になることで、「PayPayで借りる」というユーザーの直感的な操作に対応し、違和感のない一体的なサービスを実現。「社名による離脱」を防ぐ考えだ。
今後の成長戦略としては、3,000万のPayPayユーザーから銀行口座を作ってもらうほか、PayPayシームレスに連携することで、稼働率や利用頻度を向上。アクティブな利用者に対し、PayPay銀行の様々なサービスを提案していく。
目標は「金融サービスを空気のように身近に」。PayPay銀行への名称変更で、スマホネイティブ層に使われる銀行を目指す。
なお、名称変更の発表後、一部の利用者から「変更しないで欲しい」「PayPay銀行になるなら解約する」との声も出ていた。田鎖社長によれば「そういった意見があったのは事実で、分析もしている。現時点では顕著な影響はないが、我々のサービスに魅力を感じていただけるよう取り組んでいく」とコメントした。