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「医療が変わる瞬間」。「LINEドクター」11月開始でオンライン診療参入

LINEヘルスケア 代表取締役社長の室山真一郎氏

LINEと医療情報サービスのエムスリーの2社合弁によるLINEヘルスケアは、11月よりオンライン診療サービス「LINEドクター」を提供する。普及率の高いLINEアプリを使って、クリニック検索、ビデオ通話による診療、決済までをシームレスに行なえ、患者側の手数料も無料。新サービスでどんな医療の実現を目指すのか。LINEヘルスケア株式会社 代表取締役社長の室山真一郎氏が「LINE DAY 2020」で語った。

LINEは昨2019年6月に経営ビジョン「Life on LINE」を発表。買い物や食事をはじめとする各領域で、LINEユーザーの生活をより便利に、より快適にするためのサービスを相次いで打ち出している。「LINEヘルスケア」はその1つで、LINEのメッセージ機能を通じた、医師による医療相談サービスを2019年12月から提供中だ。対応は医師が24時間365日体制で行なっている。

新型コロナウイルス対応でも、LINEヘルスケアは活躍した。大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」で発生した集団感染の際、下船できない船内待機者にiPhoneを提供する取り組みが行なわれたが、ここでLINEヘルスケアによる相談を受け付けたという。

LINEヘルスケアでの累計相談リクエスト数はサービス開始から約8カ月で30万件を突破。オンラインでの医療相談は病名の特定や薬の処方こそ制度上できないが、しっかりとニーズがあることを伺わせた。

LINEヘルスケアの累計相談リクエスト数は30万件を突破

一方、新型コロナ問題は医療機関に大きな負担をかけている。感染症の対応という意味ではもちろんのこと、それまで日常的に通院していた外来患者が減少する傾向にあるという。これは、一般患者がコロナ感染を恐れて通院を控えた影響とみられる。

オンライン診療解禁を受け、「LINEドクター」立ち上げ

こうした中、日本の医療にとって転機となる事態もあった。通信機器を用いた遠隔診療──いわゆる「オンライン診療」が、初診を含めて可能になったことである。これまでの健康“相談”だけでなく“診療”が可能になる。新型コロナ対応を巡る時限的な措置ではあるが、それでも室山氏は「我々は今、医療が変わる瞬間に立ち会っている」と評する。

この流れを受けて発表されたのが、新サービス「LINEドクター」だ。LINEアプリから使えるオンライン診療サービスで、11月のスタートを予告している。

「LINEドクター」を開始する

クリニックの検索、ビデオ通話機能を使っての診察、さらに決済までをアプリだけで完結させられる点が特徴。また将来的には、薬剤師によるオンラインでの服薬指導、薬の自宅受け取りなどにもサービスを拡大したいという。

「働きながら小さなお子様の子育てをしていらしゃる家庭や、高齢者などにとっては通院の負担を減らすことができ、病院が近くにない地域の方々も医療サービスへのアクセスが良くなる」(室山氏)

シームレスな診療フローを実現

とはいえ、オンライン診療だけで全ての医療ニーズを満たせる訳ではない。例えば、慢性疾患の場合、初診は実際の病院で受けて、以後はオンライン診療に移行するといったケースは十分考えられる。また、通常はオンライン診断を利用しているが、検査のためいつもと違う病院へ足を運ぶといった用途も想定される。LINEドクターでは、オンライン・オフラインが絡み合った複雑な診療実態にも対応していく方針だ。

患者・医療機関とも手数料無料でオンライン診療

LINEドクターの提供にあたって、患者側は手数料は無料とする(診察料金、薬代などは別途必要)。

医療機関については、標準的な機能が使える「ベーシックプラン」は初期費用、月額利用料を無料とし、決済手数料負担だけで利用できるようにする。将来的には高機能な有料プランも提供する予定だ。加盟医療機関の募集はすてにスタートしている。

なお、LINEヘルスケアを巡っては、医師1名による利用者への規約違反行為が8月に発覚した。今後は、医師の登録体制、モニタリング体制を見直すことが室山氏から改めて表明された。

患者側の手数料は無料
医療機関も「ベーシックプラン」を無料で利用できる