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公取委、コンビニ24時間営業や仕入強制に改善要請

公正取引委員会は2日、コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査の結果を公表し、加盟店への24時間營業や仕入れ数量の強制などの独占禁止法上の問題点を指摘。コンビニ本部等に改善を求めている。

厳しいコンビニの経営環境

同調査は2019年10月から2020年8月にかけて、全国57,524店にWebアンケートへの回答を依頼し、12,093店が回答(回答率21%)。また、大手コンビニエンスストア8社、オーナー、コンビニエンスストア以外のフランチャイズ本部等、業界団体に対する聞取り調査も実施している。

コンビニの経営環境については、2010年から現在まで、コンビニの数は1.3倍に増えたものの1店舗あたり人口は663人減少、一方アルバイトの平均時給は107円上昇するなど、厳しい状態が継続。コンビニの倒産・廃業は約3.5倍に拡大しているという。

また、オーナーは60.8%が債務超過状態または資産500万円未満で、勤務実態も週間の平均店頭業務日数が6.3日、年間の平均休暇日数は21.3日(月1.8日)と厳しい労働環境となっており、44.8%のオーナーが経営環境に否定的な意見をもっているという。

本部とオーナーの関係では、「募集時の説明より実際の状況が悪かった」との意見が41.1%。

また、仕入れにおいても、意に反して仕入れている商品が「ある」が51.1%、必要以上の数量の仕入れ強要があるが47.5%。意に反して仕入れている理由は「契約を更新しない・解約すると言われたから」などの報告が多数寄せられている。本部の指導員から「自分もポケットマネーで購入するので店舗も協力して欲しい」などと言われ「本部と店舗に挟まれた指導員をかわいそうと思ったから」(47.4%)といった意見も多い。

さらに、指導員による「無断の発注」も2割以上が経験しているという。

24時間営業が負担。改善を要請

また、問題を指摘されているのが「年中無休・24時間営業」。

昨年以降、24時間営業店舗は減少傾向。2,000店以上減少したが、77.1%の店舗は深夜帯は赤字で、93.5%の店舗が人手不足を感じているという。

「引き続き24時間営業を続けたい」としているオーナーは33.2%。66.8%は「一時的な時短営業」「一度実験してみたい」「時短営業に切り替えたい」と回答している。時短営業に関する本部の態度については、8.7%が「交渉に応じていない」と回答している。

公取委では、時短営業容認を決めている本部に対し、「社内への周知徹底」と「加盟店への丁寧な対応」を要請。新型コロナ感染防止のための対応も含め、24時間営業をめぐる事業環境が大きく変化していることに留意すべきと指摘している。

また、一つの地域に集中して出店する「ドミナント出店」についての問題も指摘。商圏内に同じチェーンの店舗が出店され、日販の減少などが起きているケースもある。出店自体は問題なくとも、加盟店募集時の説明で「隣接地域への追加出店を配慮する」としながら、実際には配慮しない場合は「優越的地位の濫用に該当しうる」としている。

この調査を受け、公正取引委員会は大手8チェーンやフランチャイズチェーン協会に対して改善を要請。

本部に対しては、アンケート結果の伝達とともに、仕入数量の強制など独禁法上の問題となり得る点等を指摘し、直ちに⾃主的に点検・改善を行ない、点検結果と改善内容を公取委に報告することを要請。また、点検結果と改善内容の公表も求めている。

業界団体に対しては、今回の調査結果を踏まえ、無断発注の問題、年中無休・24時間営業及びドミナント出店等についてフランチャイズ・ガイドラインの改正を行なうよう要請している。