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12℃のシャープ“適温”蓄冷剤で青果配送を省エネ効率化。パルシステム
2020年8月3日 14:04
パルシステムとタニックス、シャープは、青果専用の適温蓄冷材を使い産地直送成果の品質を保持するとともに、消費電力削減や人手不足解消などを狙う新配送システムを構築。7月20日配達分から運用を開始した。
パルシステムでは、乳製品や惣菜、精肉などの冷蔵製品を年間を通じて保冷配送するほか、青果についても春から秋(4月~11月)の期間保冷配送を行なっている。冷蔵品、青果等も0℃の蓄冷剤を使用するため、直接触れると青果が低温障害により凍結や変色で痛むことから、緩衝材を挿入するなどの対策が必要となっている。
新配送システムでは、シャープが液晶材料の研究で培った技術をベースに、青果配送に適した“12℃”の「適温蓄冷材」を開発。シャープとタニックスが検証を行ない、パルシステムがトータルオペレーションを構築した。また、保冷容器のシッパー(発砲スチロール)を断熱性の高いものにリニューアルしている。
適温蓄冷材の外形寸法は140×220×21mm、重量は約560g。凝固温度は5℃以下。成分は、水、塩類、抗菌剤、色素で、使用可能回数は1,000回以上。センター内の保管温度5℃では溶けないため、オペレーションの最長時間である33時間(センター内留め置き19時間+配 送から置き配による荷置きまで14時間)にわたり保冷できるという。
適温蓄冷材の導入に伴い、パルシステムでは消費電力量を大幅に低減。従来0℃の蓄冷材の凍結には、強力な凍結性能もつ冷却器に加え、約18時間の時間を必要としたが、12℃の適温蓄冷材では、凍結時間の短縮とエネルギー負荷軽減により消費電力量を大幅に抑制できるため、省エネやコスト削減につながる。また、青果と適温蓄冷材が接触しても低温障害にならないため、緩衝材の挿入も不要で、より効率的な運用が可能になる。
これにより、パルシステムは凍結にかかる電力使用量を40%程度削減。一般家庭の電力消費量の約950世帯分に相当し、CO2排出量に換算するとお よそ2千トンの削減につながる。
適温蓄冷材は、2月からシャープが生産開始し、タニックスからパルシステムに納入。保冷効果の向上(長時間化)により、パルシステムがこれまで夜間に実施していた青果の仕分け作業を、当日の午前中から実施できるようになり、人手不足の解消や働き方改革も期待されるという。