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東洋紡、新型コロナを最短60分で検出するキット。治療薬開発支援
2020年4月14日 12:25
東洋紡は、最短60分以内で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抽出と検出・測定が可能な検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」を発売した。治療薬・ワクチン・消毒液などを開発する研究機関向けで価格は90,000円/100回用。従来、2時間半程度かかっていた作業工程が、60分以内で完了するとしている。
治療薬の早期開発が求められる中、その開発にはウイルスに感染した細胞(サンプル)に治療薬等を投与した後で、ウイルスの増殖をどの程度抑制できているか、PCR法などでウイルスの遺伝子を増幅し、検出可能になるまでの時間を計測しながら何度も検証する必要があるという。この工程を短縮することで、より効率よく研究開発を進めることができる。
PCR法は、ウイルスから遺伝子を抽出する工程で、約30分から2時間、遺伝子を増幅(PCR)・検出する工程で約2時間かかり、合計で2時間半程度かかるのが一般的。
今回の検出キットでは、サンプル中に夾雑物(きょうざつぶつ)が混ざっていても反応が阻害されにくい、独自開発の遺伝子増幅酵素を採用。夾雑物を取り除く必要がなく、煩雑な遺伝子精製過程を省略でき、検出キットの前処理液とサンプルを混ぜるだけで遺伝子抽出工程が最短2分で完了する。
増幅・検出工程では、試薬の配合を調整し、酵素の働きを最適化。増幅に掛かる時間が最短56分と、従来の半分以下に短縮。これにより、抽出から検出・測定まで最短60分以内で実現するという。
また、汎用的な遺伝子増幅装置(リアルタイムPCR装置)だけで使用可能で、抽出装置などを新たに準備する必要はない。
開発は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受け、北里大学 大村智記念研究所(教授:片山和彦)と、国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター第2室(室長:影山 努)との共同研究によるもの。
今後は、検出キットの開発で得られた知見や技術を応用し、全自動遺伝子解析装置「GENECUBE」用診断薬の開発に取り組むとしている。