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気象とTwitterのデータを掛け合わせると需要予測ができるってなぜ?
2019年11月6日 18:03
日本気象協会は、気象データとTwitterのツイートデータを活用した、商品の“売りドキ”を予測するための「体感指数」を開発。人が「暑い」と感じるタイミングと商品需要の関係性等を例にした、体感指数についての説明会を実施した。
体感指数とは、体感気温を数値化して客観化したもの。同じ30℃であっても、5月と8月といった時期、日射しや湿度、慣れ、服装や旅行帰りといった人それぞれの状況等によって異なるため、数値では出せなかった。これに対し日本気象協会では、ツイートデータに着目し、体感気温を数値化したという。
この体感指数を、例えば人が「暑い」と感じ、身体が水分を欲すると判断できる日には飲料水が売れるといった需要予測に繋げる。日本気象協会ではこの需要予測指数を小売事業者向けに、「売りドキ!予報」として、4月から関東で、7月から全国で販売している。
日本気象協会は、「暑い」「寒い」が含まれるツイートを抽出し、日毎に集計。5月に東京で30℃超えを記録した日の「暑い」ツイートは、7月下旬並みだったという。対して8月の30℃の日の「暑い」ツイートは少ないことがわかった。
さらに日射量のデータを掛け合わせて分析すると、暑さの体感は日射量との相関が高く、一方で暑さに慣れてくると相関が落ちることもわかったと説明。
これらの結果から、「ただいるだけで暑い」などの状態の暑さは気温・日射量・湿度に、変化による暑さは気温の平年差・前日差に、心理や慣れについては過去からの気温の推移に着目。体感の変化を表現することに成功したという。
体感指数は、-100から100までの指数で表現。あわせて活用しやすさを図り、「猛烈に寒い」「肌寒い」「汗ばむ」「猛烈に暑い」などの指標としてランク化した。
体感指数の活用事例として、ミツカンの「冷やし中華つゆ」と、相模屋食料の「寄せ豆腐」を説明。冷やし中華つゆは、夏が終わると売上は伸びず廃棄されるが、従来よりも季節終盤の落ちを正確に予測し、結果として余剰在庫を35%削減。また冷奴に使われる寄せ豆腐についても、食品ロスを約30%削減したという。
そのほか、体感指数を利用した販促実証について紹介。体感指数を店内放送の内容に反映させた実証店は、比較店と比べて青果カテゴリの売上が伸びたと説明した。
気象データの活用シーンは、飲料、アパレル、小売などに広がっているとアピール。アパレルにおいては冬服値下げのタイミングに活用、小売においては暑い日には厚切肉が売れ、寒い日にはしゃぶしゃぶ用の薄切肉が売れるなどといった分析に活用しているとした。
現在の課題として挙げたのは、ツイートの地域に偏りがあること。ツイートデータの収集において位置情報も活用しているが、東京や全国の大都市でのツイートが多いという。ニーズに合わせてできる範囲では、地域性を反映して提供しているが、特定地区に特化した指数を提供できればと考えているとした。