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「笑い」の測定が可能に。近大らが心身への影響を検証
2019年7月12日 16:07
近畿大学医学部内科学教室(心療内科部門)教授の小山敦子らの研究グループは、吉本興業、オムロン、NTT西日本と「笑い」を医学的に検証する共同研究を実施。表情をスコア化することで「笑い」の測定に成功し、「笑い」がもたらす身体的および心理的影響を解析した。
研究では、「笑い」を「コメディアンが参加者を笑わせることができる状況を作り出して、参加者が笑ったこと」と定義した上で、表情をスコア化する方法を用いて笑顔を数値化。笑顔と身体的・精神的指標がどのように変化するかを調査した。
参加者の「笑い」を引き出す方法として、吉本興業が吉本新喜劇と漫才・落語を提供。参加者の表情データの測定をオムロンが、心拍数と呼吸のバイタルデータの測定をNTT西日本が担当。
実験は一般から募集した20人を対象に実施。計3回、2週間間隔で吉本新喜劇と漫才・落語を鑑賞し、鑑賞中に表情データとバイタルデータを測定。鑑賞前後で心理検査とアンケート調査を行なった。
笑顔の数値化には、人の表情について「真顔」「喜び」「驚き」「怒り」「悲しみ」の5分類の変化を捉えるオムロン社製のHVC(Human Vision Components B5T-007001)を使用。笑顔を測定するため、このうちの「喜び」「驚き」に注目し、表情データを収集した。
バイタルデータから、全体・性別・笑いの度合いの3グループに分けて解析。その結果、笑いが「緊張・不安」「怒り・敵意」「疲労」のスコアを改善することが認められたとしている。
グループ別にみると、男性グループでは、「緊張・不安」「怒り・敵意」のスコアの改善が、女性グループでは、「混乱」のスコアの改善したという。性別でユーモアの解釈が異なることがあるため、結果に違いが見られた可能性があると考察している。
また、「笑い」の度合いが高いグループでは、「緊張・不安」「抑うつ」「怒り・敵意」で改善がみられたという。これにより、心から「笑い」を楽しめた参加者は、より「笑い」の効果が見られる傾向であることが判明した。
今後は、被験者のタイミングやシチュエーションによる効果の違いが出るかの検証を予定。まずは、吉本興業の公演の観客を対象に、笑いを必要とするシチュエーション(就職活動中、悩みがあるときなど)をアンケート調査し、その上位となったシチュエーションに該当する被験者を集めて、「笑い」の効果を検証するとしている。