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楽天ペイアプリでSuicaチャージ可能に。JR東日本と楽天がキャッシュレス連携
2019年6月5日 14:32
JR東日本と楽天ペイメントは、キャッシュレス決済事業の連携で連携する。2020年春を目標に、「楽天ペイ」アプリでSuicaの発行やチャージが可能になる。対応端末はおサイフケータイ対応のAndroid端末。iOS対応は「今後検討していく」としている。
楽天ペイアプリ内で、Suicaの発行やチャージに対応し、チャージしたSuicaは、鉄道5,000駅、バス5万台、交通系電子マネーとして約60万店舗で利用できる。両社は、今回の連携により、Suica利用者の掘り起こし、楽天ペイアプリや楽天ユーザーの利用増や利便性向上を目指す。
楽天ペイアプリだけでSuicaが発行でき、楽天ペイアプリに登録した楽天カードから、Suicaにクレジットカード決済によるチャージが行なえるようになる。これにより、楽天ペイアプリだけで、鉄道・バスなどの交通系電子マネーの支払いを管理できるようになる。
チャージ可能なクレジットカードは「楽天カード」(Visa/Mastercard/JCB)で、Suicaチャージ時に楽天スーパーポイントも付与予定。
JR東日本としては、ネットに強い楽天と組むことで、Suicaの発行枚数増や流通金額の拡大を狙う。
ネットにおいて大きなプレゼンスを持つ楽天と、リアルに強く、社会インフラとしての要素ももつSuicaが協力。お互いの弱みを補う「ベストパートナー」(JR東日本 IT・Suica事業本部長 野口忍氏)とした。
リアルとネットを補完する「ベストパートナー」
JR東日本 常務執行役員 IT・Suica事業本部長の野口忍氏は、鉄道やバス、60万店舗の加盟店など、リアルシーンでのチケットレス・キャッシュレス化を進めてきたSuicaの実績を強調するとともに、「モバイルSuica」により、ケータイやスマホ上で発行・チャージやチケット購入に対応するなどの進化について言及した。
楽天との連携の理由については、「Suicaの次の段階として、強みである移動・交通を軸にサービスを広げる。モバイルを中心に企業と提携し、より多くの人に身近で便利な存在に進化していきたい。そのために楽天と連携する。リアルに強みがあるSuicaと、ネットの世界で圧倒的な会員数とプラットフォームを持つ楽天。Suicaにないものを持つベストパートナー」と説明した。
なお、Suicaを他社のアプリからチャージ可能にするのは、みずほ銀行の「みずほWallet」を展開している。「(みずほの事例では)銀行口座からの直接のチャージでしたが、利便性、使い勝手について評価された。今回は、ネットでのプレゼンスの高い楽天で、また違う可能性を広げていけると考えている」とした。
楽天ペイメントの中村晃一社長は、楽天グループの国内主要サービスの多くが「Fintech」領域にあるとし、その中での今回の提携の意義を説明した。
同社のFintech事業では「オープン戦略」を採用。Fintech事業を「支払い原資」「アプリ」「プロトコル」の3つのレイヤーで分けている。
支払い原資は。銀行口座、クレジットカード、ポイントなど。
プロトコルは、店の端末とスマートフォンなどのデバイスの認証手段。FeliCaやバーコード、QR、ICチップなど。今回の協業は、このプロトコルにあたるものと位置付ける。
楽天では、「毎日の生活を豊かに支える」を目標とし、キャッシュレス化に取り組んでいるが、飲食・物販、コミュニケーション・エンターテインメント、金融などの領域に加え、Suica対応により、出かける、通勤通学など「移動」をカバーできるようになる。
「いつもお使いいただいている楽天IDで、簡単に多くの決済手段が使える、というのが『楽天ペイ』のウリの一つだが、そこに社会インフラとよべるSuicaが加わる。お客様には、よりワンストップに、よりお得にSuicaをお使いいただけるようになる」(中村社長)。
なお、楽天ではSuicaと同様にFeliCaを使う電子マネー「楽天Edy」も展開している。中村社長は「基本的には、いろいろなプロトコルと支払い原資を広げていくのが、ユーザーの利便性にかなう。本当に国でキャッシュレスを推進するのであれば、先人がひかれたインフラを最大限利用して、皆で盛り上げていかなければいけない。ただし、ユーザー利便性を考えるとアプリのレイヤーはひとつにして、ワンストップ(楽天ペイアプリ)で提供したほうがよい。その中でプロトコルとしてEdyやSuicaなどをフル活用していくという考え」と現状を整理した。
なお、定期券やグリーン券などの利用にはJR東日本の「モバイルSuica」アプリが必要。JR東日本では、楽天ペイアプリ対応により、プラスチックカードからの移行も含めた利用者数や身近さ、利用頻度の向上を目指す。