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Sansanが目指す、名刺を起点とした「ビジネスプラットフォーム」
2019年3月13日 20:32
Sansanは、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」の、「名刺管理から、ビジネスがはじまる」とする新たなプロダクトコンセプトを発表。「AI名刺管理」や「同僚コラボレーション」に代表されるSansanの強みや、「社内電話帳」、「顧客データHub」といった機能を紹介した。
Sansanは、2007年より法人向けサービスを、2012年より個人向け名刺アプリ「Eight」を展開。法人向けサービスのSansanは「名刺を企業の資産に変える」をキャッチコピーとしている。
Sansanの仕組みは、ユーザーが名刺をスキャンするとAIとオペレーターによる多重入力により高精度を担保した「AI名刺管理」においてデータ入力をしてデータベース化。会社・人物単位で名刺情報を管理できるほか、昇進や異動などの人事異動情報も自動で集約し、社内で共有、連携ができる。また、外出先などではスマホで閲覧できる点も特徴としている。
Sansanで様々な情報を得ることで「ビジネスがはじまる」
今回発表されたプロダクトコンセプトについて、名刺管理を起点とした「ビジネスプラットフォーム」を目指すと説明。ビジネスの相手の情報は、すべてSansan内にあるという環境作りを図り、取り組んでいくと述べた。具体的には、新しい顧客の情報を得る際に、Sansanで検索をすれば、社内で共有されている様々な情報を得られる状況を広げていくことにある。
そのためのプロダクトの1つが、Sansanの主たる機能である、名刺情報を全社で共有し活用できる仕組み。
そして今後のSansanは、MA(マーケティングオートメーションツール)などのマーケティングソリューションから、評価システムなどの人事労務ツールまで、各部門がそれぞれの目的で利用している様々な外部のツールと連携できるハブとなることにより、あらゆる企業活動を横断的に網羅。企業のイノベーションを後押しするという。
執行役員 CPO プロダクト開発部長の大津裕史氏は、「ビジネスがはじまらない理由」として、「その1:出会いが社内で共有されていない」、「その2:同僚を上手く頼れない」、「その3:出会いの価値に気づけない」の3つがあると説明。
その1に対応するのがAI名刺管理。AI技術により、異動前後や転職前後の名刺など複数の名刺を1人のデータに集約。異動情報や最新ニュース、議事録、メモも共有できる。また、担当者の異動時や退職時の引継ぎが容易になるというメリットもアピール。あわせて、名刺交換履歴から、AIが次なる出会いをSansanが提案する、スマートレコメンデーションを紹介した。
その2の“同僚を上手く頼れない”に対応するのが、同僚コラボレーション。その中の1つに、名刺情報に紐付けて社内でやり取りができるメッセージ機能がある。この機能を使用して、つながりを紹介してもらうためのコミュニケーションもスムーズに行なえるとした。
さらに、新機能として「社内電話帳機能」を追加。社内のSansanユーザーが自動的に電話帳にまとまっているため、電話帳を自分で登録する手間を省け、外出先などからでも同僚とスムーズにやり取りができることを強調した。
加えて、プロフィール機能について紹介。Sansanに蓄積された名刺情報をプロファイリングすることで、社員に関する、どのような企業、業界とつながりを持っているのかという情報を、部門、部署を超えて把握できる機能だという。
これらの機能により、部署をまたぐ同僚コラボレーションが実現すると説明した。
その3の“出会いの価値に気づけない”に対応するのが、データの価値を高めるための顧客データHub。名刺データを始め、MAや顧客管理システムを使用していると、それらのデータは各ツールの中で管理され、同一人物のデータが点在化している状況になりやすいことを紹介。
顧客データHubでは、点在している同一人物のデータを連携・統合。データを統合することで、データの価値に気付きやすくなるという。例として、MAと連携することによるABM(アカウントベースドマーケティング)の実現の支援や、Salesforceなどの営業支援システムと連携することによる営業先情報、顧客情報のリッチ化が可能になると述べた。
また、同姓同名の人物がサービスをまたいで点在していた場合も、Sansanの顧客データHubを使えば、自動的に判別して名寄せをするという。
さらにSansanでは名刺情報だけではなく、帝国データバンクの情報を元にした、名刺交換相手の企業情報もSansanの画面で確認できるようになっていることを紹介した。
これを期にデザインをリニューアル。4月より、インターフェースが白を基調にしたものに一新される。
カスタマーサクセス部を設置しクオリティ向上を図る
Sansan 取締役 Sansan事業部長の富岡圭氏は、現在の利用企業数や今後の事業目標について説明。
現在の法人契約数は、業種、規模、官民問わず約6,000社で、業界シェアは約80%。今後は2020年に1万社を目指す。またグローバル展開も進めており、シンガポールに法人を設置。現在は海外での導入企業数は100社、2020年の海外導入企業数500社を目標とする。
こういった拡大を進めるために、営業体制を強化しているほか、サービスの価値を最大化するために2012年よりカスタマーサクセス部を設置。ユーザーの要望に応える機能改善など、サービスのクオリティ向上を図っている。同時にプロダクト開発環境の充実化による、プロダクトをさらに強くする土壌を作っていると説明した。
なおSansanでは、3月14日・15日の2日間、様々な分野の専門家やプレイヤーが登壇するビジネスカンファレンス「Sansan Innovation Project」を主催。100人以上の登壇者による、60以上のセッションを実施する。場所はザ・プリンスパークタワー東京(港区芝公園4-8-1)。時間は10時30分から19時30分。