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レンズの回転で6方向に投写できる、富士フイルム初の超短焦点プロジェクター
2019年2月13日 18:47
富士フイルムは、世界初の「屈曲型二軸回転機構レンズ」を搭載し、本体を動かさずにレンズの回転だけでさまざまな方向へ投写できる超短焦点プロジェクター「FUJIFILM PROJECTOR Z5000」を4月より発売する。価格はオープンで、実売価格は100万円未満を見込む。
スペースの制約で置けなかった場所でも設置でき、従来投写できなかった方向にも映像を映し出すことができるプロジェクター。プロジェクターの用途が広がらず、すでに設置されているプロジェクターの買替えが需要の中心となっていたことがきっかけで開発。富士フイルムのプロジェクター市場参入第1弾となる。
「FUJINON レンズ」の光学技術を活かして開発した、世界初の「屈曲型二軸回転機構レンズ」を搭載。レンズを上・下・前・後・左・右の向きに切り替えることで、本体を動かさずに6方向へ投写可能。壁やスクリーンのみならず、天井や床などにも映像を映し出すことができるほか、映像の向きを縦・横自在に切り替えが可能。
また、富士フイルムの光学設計のノウハウを活かした大口径球面・非球面レンズと、耐久性に優れたレーザー光源を採用。短焦点レンズでの映像周辺部の歪みや、レンズシフト時の収差を抑制し、5,000lmの明るさで映像を安定的に映し出すとしている。
超短焦点レンズにより、75cmの至近距離から100インチの映像を投写。1.5mで200インチの投影が可能。さらに、5,000lm以上の高輝度プロジェクターでは最高となる、上下82%・左右35%のレンズシフト機能(電動)を備えているため、広い範囲で映像の位置を調整できる。
従来でも75cmの距離から100インチを投影できるプロジェクターは存在するが、ミラー式のため、映像が高い位置に投写されることに加え、映像の位置も水平に動かすことができなかったという。
光学・電子映像事業部長の飯田年久氏は、超短焦点かつ広範囲のレンズシフトを備えていることがZ5000の特徴と述べる。
縦置き、横置きの両方に対応し、利用環境に合わせて設置方法を選択可能。縦置きには転倒防止のスタンド(標準オプション)の取り付けが必要。
厚さ108mmの小型ボディで、レンズ収納時にレンズとプロジェクター本体が直方体に収まる設計を採用し、持ち運び時の負担を軽減するとしている。
DLPチップのサイズは0.65型で画素数は1,920×1,080ドット。表示方式は1チップDLP方式。ズームは×1.0~×1.1。フォーカスは電動。コントラスト比は12,000:1。投写画像サイズは70~300型/約0.5~2.3m。入力端子はHDMI3系統など。外形寸法は、レンズ収納時、突起部を除き、470×375×108mm(幅×奥行×高さ)。重量は約12kg。カラーはBLACKとWHITE(今夏発売予定)の2色展開。
また、Z5000はプロジェクターの第1弾としており、今後、色再現が良い機種や4K対応の機種など、ラインナップを増やしていくという。
発表会では実例として、天井、床への投写やホテルのフロントをイメージしたアーチ型のスクリーンへの投写、ギャラリーのポートレートをイメージした縦投写、複数のプロジェクターを利用した横長の映像の投写などの展示が行なわれた。
2台のZ5000が上方下方にそれぞれ平置きで設置され、下の機体が天井、上の機体が床を同時に投写。映像に囲まれた演出で没入感の高い空間設計が可能としている。
アーチ状のスクリーンへの投影。ホテルのフロントをイメージしており、Z5000はカウンター内に設置することで、インテリアや空間デザインを損なわないとしている。スクリーンに立体造形がある場合でも投写でき、利用客の目を引くサイネージとしての利用を想定している。
美術館、ギャラリーをイメージしたポートレート投写。Z5000は天井に設置され、広範囲のレンズシフトを活かして、天井梁の真下へ投影している。短焦点のため、スクリーンに近づいても影で隠れない。
L字のスペースに、Z5000を3台利用した10mのワイドスクリーン投写。歪みが少ない為、エッジブレンディング処理が容易としている。
また、過去に行なった例として、5mの円柱に300インチの投写を行なったものや、従来は高い櫓を建てる必要がある野外イベントなどでの建築物への投写を床置きで行なったものなどが紹介された。