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北海道ボールパークに天然芝の生育予測システム「ターフシミュレータ」。大林組
2019年1月9日 12:57
北海道北広島市に建設予定の「北海道ボールパーク」の設計施工を一括で受注している大林組が、開閉式屋根の野球スタジアムへの天然芝導入に向けた生育予測システム「ターフシミュレータ」を適用していることを発表した。
北海道ボールパークは、2023年3月に開業し、北海道日本ハムファイターズの新しい本拠地となる予定の野球スタジアム。
ターフシミュレータは京都大学と大林組が2011年に開発したシステム。大林組は、開閉式屋根を備えた野球スタジアムに国内で初めて天然芝を採用するに当たり、芝が健全に育つことを本システムにて高精度に予測の上、提案し、設計業務においても本システムを活用しているという。
グラウンド全体を覆うような屋根を備えた野球スタジアムでは主に日照不足が原因で天然芝の生育が困難になることから、これまで国内では人工芝が採用されていた。
一般に、大きな屋根があるスタジアム内で良好な芝を育成するためには、芝の光合成と呼吸に有利な条件を整えるための設計が必要なため、専門技術者は、計画の初期段階において類似施設での生育状況などを参考にしながら生育を予測。しかし、光合成は光・温度・湿度のすべてに影響される特性があり、場所や季節、時間ごとに変化する環境を踏まえた上で精度の高い生育予測を行なうことは困難だったとしている。
今回適用したターフシミュレータは、植物生理学に基づく芝の生育予測モデルを用い繰り返しシミュレートすることで、計画初期段階で施設の形状や環境条件の改善に必要な設備を検討できるなど、芝の生育を重視した建築・設備の設計を可能にするシステムだという。
建物の設計データ、建設地の気象データおよび芝の初期状態を入力するだけで、建物内の芝の生育環境をシミュレートし、また暖地型芝と寒地型芝の両方の予測が可能なため、日本のほとんどの地域を対象に適用できることも本システム特徴のひとつに挙げている。
そのほか、大規模な生育試験に比べて、短期間で安価に芝の生育予測ができるという。なお、北海道ボールパークでは、積雪に対応して冬期に常時屋根を閉めるため、施設運用時の芝管理に活かす目的で生育試験を実施するとしている。