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パーソナルデータを集約・管理・流通させる「地域型情報銀行」。中電とDNP
2018年11月29日 12:36
中部電力と大日本印刷(DNP)は、生活者のパーソナルデータを個人の同意のもとで集約・管理し、流通させる「地域型情報銀行」を構築することを発表。地域内の情報流通により、地域サービスの効率化・高度化や日常の買物等の利便性向上につなげるとしている。
「地域型情報銀行」の社会実装に向け、両社およびキュレーションズ、豊田市、豊田まちづくり、山信商店とともに、12月中旬より約3カ月間、豊田市で実証事業を実施する。なお、この発表の中の「パーソナルデータ」とは、「個人情報保護法が規定する『生存個人の識別情報』よりも広く位置情報や購買履歴などの個人識別性のない情報も含めた『個人に関する情報』」としている。
この事業は、総務省が行なった「平成30年度予算 情報信託機能活用促進事業」に係る提案の公募により、促進事業の1つとして決定されたもの。膨大なパーソナルデータを個人の同意のもとで管理・活用する「情報銀行(情報信託機能)」を社会実装していくため、多様な生活者や事業者が安全・安心に情報銀行に参加し、メリットを享受できるモデルケースの構築を図る。
実証では、地域型情報銀行が、生活者(モニター)から、個人の属性や生活に係るデータの預託を受け、あらかじめモニターが設定した条件のもと、サービス事業者(スーパーなどの小売店)へデータを提供。サービス事業者は、提供されたデータに基づき個人に合わせた適切と思われるサービスをモニターへ提供する。
これにより、日常生活における新たな買い物体験の創出を図るとともに、地域型情報銀行のサービス提供・運用に関わる課題抽出、サービス事業者における活用可能性を評価。地域内の消費活性化や地域課題の解決などへ寄与する事業モデルについて検証を行なうという。
事業のポイントとして挙げられているのは、センサーデータの活用による定常的な生活データの取得、生活者のデータ提供設定の負担軽減と地域サービス事業者への支援、総務省・経済産業省の検討会で策定した指針に基づく運用の3つ。
生活データの取得については、モニターがアンケートにより登録したパーソナルデータに加え、自宅の電力使用量や体組成計で測定するセンサーデータ等、日々蓄積される情報を、モニターに負担をかけることなく、地域型情報銀行へ自動的に提供する仕組みを構築するとしている。
生活者の負担軽減と事業者への支援については、モニターに対して、データ提供範囲をサービスやジャンルなどの包括分類の中から簡単に選択できるようにすること。また、データを受け取るサービス事業者に対しては、データを利用しやすいよう地域型情報銀行が分析・加工するとしている。
指針に基づく運用については、地域型情報銀行が生活者よりパーソナルデータの預託を受ける際や、サービス事業者へデータおよび支援機能を提供する際、情報流出や目的外使用の防止のため、総務省・経済産業省「情報信託機能の認定に係る指針ver1.0」に基づいた契約を締結の上、運用管理するとしている。
中部電力とDNPは、本実証で得た知見やノウハウを活用し、日本IT団体連盟の情報銀行推進委員会による情報銀行の認定の取得や、地方自治体やサービス事業者との連携拡大により、事業の普及・拡大を目指すという。また、実証に参加する6社は実証終了後も、地域の生活者の利便性向上に資するサービスを検討すると述べている。