第32回:『DEAD OR ALIVE FINAL』
例え“この娘”がいなくとも!
プログラムピクチャー全盛期のように、映画を量産している三池崇史。しかも、作風のバリエーションが豊富ときたら、目を離すわけにはいかない。『DEAD
OR ALIVE』は、三池作品のなかでも、もっとも話題性の強いシリーズだ。
哀川翔×竹内力という、夢の競演と衝撃のラストが話題を呼んだ『DEAD OR
ALIVE 犯罪者』(99年)、幼なじみの2人が最強の殺し屋タッグを組む『DEAD
OR ALIVE2 逃亡者』(00年)、そして2002年の初頭、シリーズ完結編となる『DEAD
OR ALIVE FINAL』が放たれる。
例によって前作とのつながりはなく、西暦2346年という設定からして、やってくれる。全編に繰り広げられるワイヤーアクションや銃弾がスローとなるCGを駆使し、無駄に豪華でハイテンションに物語は進む。哀川翔がワイヤーで飛ぶ!……もうそれだけで素晴らしい。そしてラストは感動するやら呆れるやら笑えるやらで、全ての感情が一気にあふれるようだった。
『DOA』、サイコー! 以上!!……と、今回は手短に締めくくりたいのには訳があって、オール香港ロケで、日本人女優の“この娘”が出演していないのである。 香港側の女優では、ショートカットと鋭いまなざしで、同じエレベーターに乗りあったら、確実に距離を置きたい(でも声もかけてみたい)ジョシー・ホー、竹内力の部下として登場するマリア・チェンらがいる。 ジョシーがシリーズ初のヒロインとされているように、『DOA』に“この娘”を見い
だすのは難しい。女性が出てきたかと思ったらすぐ殺されたり、男とニャンニャンしてるかと思ったらすぐ殺されたりで。
その代表例が、『犯罪者』で哀川の愛娘役で出演している倉沢桃子だ。川原で演劇
の練習をするCM『南アルプスの天然水』や、最前列でハキハキと受け答えする生徒
を演じた前シリーズの『3年B組金八先生』……そんな優等生っぽさと親近感が魅力
の彼女だが、『犯罪者』ではホンの一瞬でお陀仏にされてしまったのだ!
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失礼、田中真紀子よろしく“お陀仏発言”で3行ほど謹慎してました(遅れてきた政治ネタ)。 唯一、救いのある女性キャラと言えば、『逃亡者』での青田典子くらいか。哀川、
竹内と共に孤児院で育った遠藤憲一の奥さんとして登場し、エンディングには子供を無事出産、実に幸せそうな笑顔を遠藤とともに見せている。それにしても哀川、竹
内、遠藤という、強面の3人を輩出する孤児院とは、ある意味虎の穴である。この3
人こそ、エレベーターで絶対に乗り合わせたくないワースト3だ。『ショコキ!』
(01年)のなかで、遠藤とともにエレベーターに閉じこめられた純名里沙らの心中を察するのは、あまりにも恐ろしい。
“この娘”的には不毛地帯に近い『DOA』シリーズだが、映画の常識を破壊する、まるで中学男の妄想かのような本シリーズがこれにて終わってしまうのは残念でならない。『ファイナルファンタジー』シリーズは、スクウェアという会社で、その時々にもっとも優れ、もっとも最先端なゲームに対して『ファイナルファンタジー』という名前を付けているという話がある。 これと同じく、その時々で、三池監督がもっともやりたいことを凝縮した映画に
『DOA』と名づけ、シリーズを続行させるのはどうだろう。もちろん哀川翔×竹内力というマッチングは魅力だが、それでなければとんねるず×ダウンタウンとかゴジラ×ガメラ、ビン・ラディン×サダム・フセインといった夢の(?)マッチメイクを実現させていくシリーズでもいけるはずだし、このシリーズにはそれらを実現させるだけのパワーがある。
個人的には、山口もえ×乙葉の“夢のおっとり対決”が見たいなあと思うのだが、ひょっとして夢が貧困?
(佐藤ろまん)
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【佐藤ろまん先生 Profile】
誕生:
1968年、うつくしま未来博、あるいは千葉麗子の出身地でお馴染みの福島県生まれ。
最終学歴:
秋元康作詞塾(通信教育/中退)。
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薄氷を踏むがごとく、どうにかこうにか文筆業で生計をたてる。書いてる媒体&ジャンルは、本当に雑多で、近いところでは『笑うシネマ~FUNNY
CINEMA~』(エンター ブレイン)にて、笑えるアイドル映画について寄稿してます。ほかに、隔月誌『アックス』(青林工藝舎)にて「ろまん子・ザ・ムービー危機イッパツ!」を連載中。好きな映画はもちろん、『おニャン子・ザ・ムービー危機イッパツ!』(DVD化&モー娘。でリメイク希望)。近影のモニターに映し出されているのは、その中で怪演する関根勤の雄姿です。好きなクレージーキャッツのメンバーは、石橋エータロー。好きなドラえもんの道具は、どくさいスイッチ。好きなVリーグのチームは、東レアロー
ズ。将来の夢は、バンテリンのCMに出演すること。映画館から出てきて、「映画にはバンテリンだねぇ」なんてセリフを言ってみたい!
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佐藤ろまん先生を 応援する為に佐藤ろまん先生自ら制作しているHP
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