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自動運転タクシーに向けて日本でゆっくり走り始めたWaymo【Watch+】

TAKANAWA GATEWAY CITYで初披露されたWaymo

東京での「自動運転タクシー」開始に向けたテストがスタートしました。タクシーアプリの「GO」と米国で自動運転タクシーを展開するWaymo、日本交通らが東京でWaymoの車両を使って東京の街を走行し、データを取得していきます。

米国で展開されているWaymoのサービスについては、西田宗千佳さんのレポートが詳しいのでこちらを参考にしてください。本当に運転手がおらず、指定した場所にアプリで呼んで、乗車して、目的地につくまでが簡単に行なえることがわかるとおもいます。

自動運転タクシーに向けたテストを開始ということで、「まもなく日本でもサービス開始か?」と期待してしまうかもしれませんが、今回のWaymo車両の走行は、日本交通のタクシードライバーが運転(手動運転)するものです。テストは、東京都心の7つの区でWaymo車両を走らせ、道路データや3Dデータなどを収集・活用し、Waymoの自動運転技術を日本向けに適応させることが目的で、すぐに自動運転タクシー始まるわけではありません。

そのため、10日の報道向けのWaymo車両公開においても、具体的なサービス開始時期については一切言及されていません。あくまで将来のサービス展開を見据えて、「日本の交通事情を知る」ための「第一歩」(Waymoシニアディレクター 事業開発部門・パートナーシップ部門責任者 ニコール・ガベル氏)であると、何度も強調していました。

Waymoシニアディレクター 事業開発部門・パートナーシップ部門責任者 ニコール・ガベル氏

走行予定の場所は、東京都内の港区、新宿区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区、江東区の7区。米国とは、交通標識や交通ルールの違いも大きく、密集した都市であることなどから「まだまだ課題や学ぶことがある」と慎重な姿勢を見せていました。

記者としては自動運転タクシー体験を楽しみにしていましたが、残念ながらドライバーによる3分程度の徐行運転が披露されたのみでした(事前にドライバーによる走行である旨の案内がありました)。今回の発表を聞く限りでは、日本におけるサービス開始にはまだまだ時間がかかりそうです。

ただし、今回導入されるWaymoの車両(ベース車両はジャガー「i-PACE」)は25台。走行エリアが広いとはいえ、テストとしては相当の規模と投資。日本市場への期待感と本気は感じられるものでした。

また、発表会場は3月27日にまちびらきが行なわれたばかりの「TAKANAWA GATEWAY CITY」でした。JR東日本が中心となって推進する“新しい街”です。今回のテストとは直接は関係はないのですが、昨夏にWaymoに乗って感銘を受けたというJR東日本の喜勢陽一社長も登壇し、「150年前にとなる1875年に日本で初めて鉄道が走った、日本のモビリティのイノベーションが始まった場所。Waymoがここからスタートすることが嬉しい。同じ場所から新たな日本のモビリティのイノベーションが始まる」と強調。「28年度には空飛ぶクルマもここから発着します。これらやWaymoとSuicaと結びつけることでシームレスな移動が可能になる。ストレスフリーな移動をJR東日本の鉄道を使う1,600万人に届けたい」と語り、かなりの期待を寄せていました。

JR東日本喜㔟 陽一社長

TAKANAWA GATEWAY CITYにおけるWaymo車両の自走デモはとてもゆっくりとしたものですが、各社の期待の高さは感じられる発表となっていました。

TAKANAWA GATEWAY CITYをゆっくり走るWaymo車両(ドライバーが運転)
臼田勤哉