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アップル版消しゴムマジックと自然なAI【Watch+】

4月1日から、iPhoneやiPad、Macで、AI機能の「Apple Intelligence」に対応しました。米国などでは昨年末のiOS 18.1から対応していましたが、日本ではiOS 18.4世代から対応したこととなります。

筆者も「iPhone 15 Pro」をiOS 18.4にアップデートして、3日ほど使ってみました。この1年ほど、ChatGPTやGemini、ClaudeなどのAIサービスは継続的に使ってきましたが、iPhoneなどスマートフォンOSに統合されると、ChatGPTなどのサービスとはまた違う価値があるように感じられました。

まだ使いこなせているとは言えませんが、Apple Intelligenceでもっともお気に入りの機能は、「写真」アプリの「クリーンアップ」です。PixelシリーズやAndroidユーザーにはおなじみの「消しゴムマジック」と同様に、写真の中の不要なものを簡単に除去できるという機能です。

クリーンアップ前
クリーンアップ後

写真を選んで、右下の三本の調整ボタンをタップし、右下に表示される[クリーンアップ]を選択すると、写真の“消したい位置”を選ぶだけで、写真の不要物を除去し、“いい感じ”に画像を調整してくれます。大きなオブジェクトなどは消せず、あらが目立つ場合もありますが、背景に映り込んだ人や撮影時に指が入ってしまった場合などは、かなりきれいに消せるようです。

Androidではだいぶ前から使える機能ですが、ユーザーが多いiPhoneで使えるようになったのは良いことだと思います。

クリーンアップの操作イメージ

その他にも「メールの要約」や文章作成支援の「作文ツール」、画像生成の「Image Playground」など、多くの機能が用意されています。

各機能の詳細は別記事を参照していただきたいですが、これはいいなと感じているのが「メールの要約」です。メールを予約してくれるという、シンプルな機能ですが、100文字程度で概要がまとまっているため、スクロールする必要がなく特に連絡事項などをさっと確認するには便利です。

メールを要約

同じような仕組みは、Webブラウザや各AIサービスでも備えていますし、GoogleのGmail/Geminiでも同様の機能はあります。それでも、メールアプリに組み込まれていてタップするだけで使える、というのがとても便利です。もちろんAIが要約をしているのですが、「AIを使っている」感は全くありません。

この「メールで要約」のように、スマホ(OS機能)のAIを活用するシーンでは、「プロンプト」を使う機会はあまりありません。このあたりが、ChatGPTやClaudeなどのAIサービスを使うときと少し意識が違うと感じています。前者にのように“能動的”に使うものではなく、やりたいことにあわせて、いつのまにかAIが働いているという感覚です。

Apple Intelligenceについて細かく言うと、Image Playgroundの画像スタイルがあまり日本向きではないとか、「通知の要約」はわかりにくいとか課題も感じてはいますが、特にスマホでのAI機能の活用はユーザーにAIを意識させない形で浸透していくのだろうな、と実感しました。徐々に浸透しながら、結果として2年後ぐらいには「AIが無かった時代のスマホって使いにくい」など思うようになるかもしれません。

余談ですが、Siriの起動時にスマホ画面の周囲が光るギミックが結構格好いいとか、Siriでタイプ入力対応とかも地味に嬉しい部分です。Apple Intelligenceのこれからの進化にも期待しています。

Siriがかっこいい
臼田勤哉