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3日分では足りない? 我が家の防災備蓄を見直してわかったこと

2011年3月11日に発生した東日本大震災から今年で14年目になります。

我が家では毎年、この時期に防災グッズの見直しを行なっています。南海トラフ地震など、いつどこで発生するか分からない地震に備えて、各家庭であらゆる準備を進めていると思いますが、意外とほかの家庭がどのような防災グッズ、備蓄品を揃えているかを知る機会は少ないと思います。

「防災意識はあるけれど、実際なにを準備したら良いか分からない」という声も聞きます。今回は備蓄品の点検がてら、筆者の家ではどのような準備をしているのか、またどういった課題があるのかを洗い出していきます。今後の備えの参考となれば幸いです。

我が家の備蓄状況をチェック

筆者の家庭は妻と2人で暮らしています。写真の通り、非常用袋、非常用トイレ、飲料・食料品、ヘルメット、ラジオなど基本的な用意はしてあります。避難前提のとりあえず持っていく「非常用袋」も準備していますが、基本的には自宅で過ごすことを前提とした備蓄セットになっています。

基本的な備蓄は行なっている状況。年に数回、見直しをする

国の防災基本計画では、食料・飲料を「最低3日、推奨1週間分」の備蓄としています。飲料水は成人で1日3リットルが目安。我が家では500m×48本、2リットル×16本の水を保管しています。2名で約9日分を備蓄している状況です。

保存食はレトルトカレーが10食、アルファ化米が10食、ビスコ(30枚入り)が5缶、イワシや焼き鳥の缶詰が20缶、芋ようかんを5本、備蓄している状況です。「意外と備蓄している」と思いましたが、成人1日に必要な摂取カロリー2,000kcalを目安に計算すると、実際には2名で3日半しか持ちません。少し心もとないといえます。飲料と同じ分の備蓄をするには、これの2.5倍は保存食を増やす必要があります。実際に災害が起きた際、冷蔵庫の中身から消費していくことになりますが、それでも少し不安な気もしています。

アルファ化米は水を注ぐだけでお米を食べられる

保存食を揃えるときは、なるべく購入時期が被らないようにしています。缶詰や食パンなど、普段の食品を少し多めに買い足すローリングストックを実践すると、災害備蓄に係る金銭的コストを分散できるのでおすすめです。

携帯トイレは何個あってもよい

災害時はトイレも使えない状況に陥ります。そのためには携帯トイレが必要不可欠。避難生活でもトイレ問題に関してよく耳にします。携帯トイレは抗菌・消臭効果のある袋や便などを固める凝固剤が付属しており、排泄したときに発生する衛生問題を緩和してくれます。国の防災基本計画では、食料・飲料と同様に「最低3日、推奨1週間分」としています。経済産業省では、1人あたり35回分(7日)必要と試算しており、2名であれば70回。我が家には100回分あるので、多少余裕があるという状態です。また、猫の砂も携帯トイレとして利用できる、という声も聞きます。

携帯トイレは1人あたり35回分(7日)必要とのこと

とはいえ、トイレ事情は人によって異なります。あとから合流した家族などにも融通する可能性もあると考慮すると、携帯トイレは何個あっても困らないと思います。

頭だけでなく、足も守ろう

災害時、ヘルメットで頭を守るというのは相当に周知されているはずですが、当然、足下にも警戒が必要です。家の中だけでなく、外でも瓦礫の上を歩くことも考えられます。我が家では踏み抜き防止カップインソールを用意しており、普段使っている靴の中に敷くだけで、ガラス片やクギなどの踏み抜きを防ぐことができます。本当は防刃手袋もあると良いのですが、まだ揃えられていません。

靴のサイズに合わせてハサミでカットするため、どのような靴にも使える

非常用袋はすべて100円ショップで揃えた

非常用袋、まだ簡易的ですが用意しています。100円ショップでも防災グッズは近年充実しています。この非常用袋も100円ですが、中身も100円ショップで揃えています。オキシドールや包帯はもちろん、24時間点灯するサイリウムや、水で膨らむタオル、ロープ、軍手、ホイッスルの3点セットなど、あらゆるものが100円で揃います。

100円ショップに行けば、防災グッズが一通り揃う。携帯トイレも1回単位で売っている

3COINSでは、多機能ツールを330円で販売していました(公式サイトによると現在は在庫なし)。ナイフ、ハサミ、プラスドライバー、マイナスドライバー、栓抜き、ワインオープナー、缶切り、爪ヤスリの8つの機能が備わっています。

備蓄リストを作成して何があるのかを覚えておく

備蓄品は多く揃えすぎると、何があるのか分からなくなります。特に食料・飲料は賞味期限があるため、ローリングストックで保存している場合は余計に混乱します。手書きではありますが、備蓄状況は日々記録しています。

何が足りないかを把握できる

「東京防災」ブックは必ずダウンロードしておく

東京都が都内の全世帯に無償配布した「東京防災」ブック。2019年頃までは全国の書店でも販売されており、値段はなんと143円でした。災害時に何をしたら良いのか、どのような備蓄品が必要なのか、怪我をしたらどうしたらいいのか、避難所の過ごし方など災害に関係する情報を幅広くカバーしています。現在は書店での販売は終わっていますが、PDFデータ、Webで閲覧可能なデジタルブック、epubでも無償で配布しています。この機会にダウンロードしておくといいでしょう。

東京都のWebサイトからPDF版のダウンロードも可能

備えて「話し合うこと」の重要性

備蓄品の不足は少しずつ買い足していくとして、各家庭で話し合うべきことはなにがあるのでしょうか。筆者の場合、持ち出し用の備えが足りないのもそうですが、必ずしも家族全員が自宅にいるとは限りません。

家族との安否確認の手段も大事で、LINEや災害伝言ダイヤルの使い方、避難ルートの確認(危険な道のチェック)、避難所の確認、どこで避難するかといった話し合いも大切です。避難所では多くの人が避難生活を送ります。「〇〇避難所」だけでは到底落ち合うのは難しいので「〇〇小学校に毎日12時~15時の間に鉄棒付近にいる」など、細かい点まで意識合わせすることが重要になってきます。

なお、災害伝言ダイヤルは体験も可能で毎月1日、15日、防災週間、ボランティア週間などにあわせて使い方を確認できます。あわせて携帯トイレの使い方、非常食の味など、実際に避難生活を1日通して体験する日を確保するのもいいでしょう。

今回の備蓄の見直しを通じて、「備えているつもりでも、意外と不足しているものがある」と実感しました。防災は一度やって終わりではなく、定期的な見直しと家族での話し合いが重要です。また、実際に災害が発生したとき、避難所や支援物資に頼れるとは限りません。だからこそ、「自分と家族の身は自分たちで守る」という意識を持ち、少しずつでも備えを充実させることが必要だと感じます。

改めて「うちの備蓄は足りているだろうか?」と考えたり、家族で防災について話し合ったりする時間が生まれたなら、それが何よりの防災対策になるかもしれません。

佐々木 翼