100年に一度といわれる東京・渋谷の再開発。次々と巨大施設が完成して辺りの景色は一変しました。しかし、まだまだ渋谷の再開発は終わったわけではありません。渋谷駅西口の整備や、道玄坂の大規模な開発など工事中の現場もよく目にします。
そこで今回「渋谷駅周辺の巨大施設と昔ながらの街並み」をテーマに、再開発が済んだ場所や再開発が進められている場所、そして大きな通りから1本裏手に入った場所にある昔ながらの雰囲気を残す街を撮影しました。
原宿方面のMIYASHITA PARKから明治通りを渋谷方面に進み、渋谷駅を囲む形の4つの交差点とその周辺、最後に京王井の頭線の西口改札側を巡っています。
MIYASHITA PARK付近にもまだまだ“未開”の建物が
2020年にグランドオープンしたMIYASHITA PARKは、区立公園や商業施設、ホテルが一体になった施設で若者も多く集まるスポットとして人気を集めています。
再開発前は宮下公園と駐車場などがありましたが、渋谷の繁華街とはうって変わって当時はやや寂しいエリアだったように記憶しています。
明治通りを挟んだ美竹通り沿いでは、東京都児童会館跡地、渋谷区役所旧第二美竹分庁舎、渋谷区立美竹公園を一体的に開発するプロジェクトが進行する様子を見られる一方、都営アパートなど低層の建物も見ることができます。
ホテル「sequence MIYASHITA PARK」脇の歩道橋から見た「渋谷スクランブルスクエア」方向 MIYASHITA PARK全体。高級ブランドのショップも入るなどすっかり明るい通りになりました MIYASHITA PARKの近くの旧渋谷川遊歩道路(キャットストリート)を「渋谷キャスト」前から見たところ 坂をあがったところから見た都営アパート。中央奥のビルが渋谷キャスト。左奥は渋谷スクランブルスクエア さらに渋谷駅方向に進むと「渋谷一丁目地区共同開発事業」の建設現場がありました。2027年に地上14階、地下2階の施設ができるそうです MIYASHITA PARKや渋谷東急REIホテルの、明治通りを挟んだ向かいにある「野村證券 渋谷支店」の脇の路地を青山方面に向かうと(渋谷1丁目)取り壊しを待つかのような古い建物がいくつかありました。
青山側から明治通り側の様子。この辺りはオフィス街になっています 渋谷駅方向を見ると「渋谷ヒカリエ」(中央)や「渋谷スクランブルスクエア」(右)が見えました 宮益坂下交差点からの景色は南北で異なる印象
周囲に高層ビルが多く見られるのが宮益坂下交差点。宮益坂は青山方面と渋谷方面を繋いでいる通りです。
この交差点から南側に目を向けると渋谷スクランブルスクエアや渋谷ヒカリエなど再開発の象徴となる建物、北側に目を向けるとMIYASHITA PARKの手前にある「のんべい横丁」など昔ながらの景色が見られます。
南東方向の茶色のビルにあって目立っていた「りそな銀行渋谷支店」は12月16日に「渋谷アクシュ」に移転しました。その後ろには渋谷ヒカリエ、右側にはスクランブルスクエアとストリームが見えます りそな銀行渋谷支店の移転を知らせる案内がありました JR渋谷駅方向。左に渋谷スクランブルスクエアが見えます 北西方向にはビックカメラなど、店舗が密集しています。この奥にMIYASHITA PARKがあります さらにJRの線路方向に行くと、MIYASHITA PARKの入り口を過ぎたところに「のんべい横丁」という飲み屋街があります こちらはMIYASHITA PARK側から見たのんべい横丁。奥の高いビルが渋谷スクランブルスクエアです 渋谷ヒカリエの隣には7月に開業したばかりの渋谷アクシュがあります。このエリアも再開発前は比較的人通りの多い場所ではありませんでしたが、渋谷アクシュの完成でこれからどう変わっていくかが楽しみです。
尾崎豊さんの記念碑で知られる「渋谷クロスタワー」側から見た渋谷アクシュ。すぐ左奥に渋谷ヒカリエがあります 渋谷ヒカリエ側から見た渋谷アクシュ。渋谷ヒカリエとはブリッジで接続されています 景色は変わらずともTSUTAYAが大リニューアル
渋谷の象徴的な場所がこのスクランブル交差点。観光客などカメラを構える人も多いスポットです。
最近では交差点に面する「SHIBUYA TSUTAYA」が4月にリニューアルオープンし、イベントスペースやシェアラウンジとして新たに出発しています。
渋谷スクランブル交差点。奥の高いビルが「渋谷マークシティ」 奥にはこれも渋谷の象徴的な施設である「渋谷109」が見えます 大盛堂書店方向。右にSHIBUYA TSUTAYAがあります SHIBUYA TSUTAYA。1階はガラス張りでイベントなどが行なわれます 北東方向には2018年開業の「MAGNET by SHIBUYA109」が見えます 渋谷ストリームから明治通りを渡れば昔ながらの街並み
赤枠部分が渋谷ストリームや渋谷警察署などに接する交差点 一角に渋谷警察署がある国道246号と明治通りの交差点から見える風景も渋谷ストリームや渋谷スクランブルスクエアなどの開業で大きく変わりました。大きな歩道橋デッキが整備され、地上に降りることなく渋谷ストリームと渋谷スクランブルスクエアを行き来できます。
歩行デッキから渋谷ストリーム方向。上には首都高速の高架があります 渋谷スクランブルスクエア前から渋谷警察署(中央)方向。左の高いビルが渋谷クロスタワー 渋谷警察署側から渋谷スクランブルスクエア方向。左奥には渋谷フクラスが見えます 歩道橋デッキから見た北東方向。高いビルは左から渋谷ヒカリエ、アクシュ、クロスタワー。右上に一部が見えているのが渋谷警察署 渋谷警察署の裏手を進んだ渋谷3丁目付近は再開発が及んでおらず、比較的低いビルなどが密集しています。この場所は金王八幡宮などもある落ち着いたエリアです。
右が金王八幡宮、左が豊栄稲荷神社で境内には緑が豊富です。中央奥には渋谷ストリームが見えます 中央の一風変わったデザインのビルは三基商事の建物。周囲には年季の入った建物も見られました 西口のサクラステージ・フクラスの脇道に入れば庶民派な雰囲気
「渋谷サクラステージ」が今年本格開業して新たなランドマークに加わった一方、東急百貨店 東横店の解体が進み、JR渋谷駅西口は大改造中という様相になっています。
渋谷サクラステージ側から見上げた歩道橋デッキ。奥に渋谷フクラス。首都高の高架も通っています JR渋谷駅西口方向。奥に見えるのは渋谷スクランブルスクエア 歩道橋デッキ上から見た東急百貨店 東横店の解体現場 少し引いて見ると、かつてのバス停も工事エリアに入っています JR渋谷駅に繋がるデッキの上から渋谷スクランブルスクエア(左)、渋谷ストリーム(中央)、渋谷サクラステージ(右)を臨む 渋谷フクラス前から渋谷駅西口方向。工事の様子がよくわかります。中央奥のビルは渋谷スクランブルスクエア ほぼ北側。左にSHIBUYA TSUTAYAの建物が見えます 渋谷サクラステージを含む地域が桜丘町です。駅から離れたところは以前の街並みが残っていました。しかし、少しずつ建て替えなどが進んでいるようです。
桜の名所でもあるさくら坂。登ると「渋谷文化総合センター大和田」や「渋谷インフォスタワー」があります さくら坂の途中で東側の路地をみると、古めの建物の間に今回の再開発でできた「ブランズ渋谷桜丘」および「ハイアットハウス東京渋谷」が入るSAKURAタワーB棟が見えます 渋谷インフォスタワー(右端)前。奥の高いビルがSAKURAタワーB棟 SAKURAタワーB棟を左前に見つつ進むと年季の入った集合住宅などがあります SAKURAタワーB棟前の一角には、かつて集合住宅や駐車場がありましたが現在は解体されていました 渋谷フクラスと渋谷マークシティの間にあるのが「渋谷中央街」で、飲食店や居酒屋が軒を連ねるエリアになっています。今回の再開発に合わせて看板のアーチが新しくなりました。
渋谷中央街のメインゲートはJR渋谷駅西口の正面です。左の建物は渋谷フクラス、右は「渋谷三菱ビル」 メインゲートから進んだところ。蕎麦やラーメンといった庶民向けの飲食店も多くあります メインゲートを右折すると奥に渋谷マークシティがあり、京王井の頭線渋谷駅の西口に繋がります 奥の坂をあがったところにも居酒屋が多く入っていました。奥に渋谷マークシティが見えます メインゲートをまっすぐ進んだ坂の上からJR渋谷駅方面を見たところ 渋谷マークシティ側からの眺め。右の高いビルは「セルリアンタワー」 道玄坂ではマークシティと直結する複合施設の開発が進行
赤枠部分が京王井の頭線 渋谷駅西口および再開発エリア 東急不動産が進めてきた渋谷駅中心地区での再開発は、7月にまちびらきを迎えた渋谷サクラステージが「ラストピース」という位置づけでしたが、まだ各所で開発事業は進められており、駅周辺で言えば京王井の頭線の渋谷駅すぐ近くでその1つが進行中です。
JR渋谷駅から道玄坂を登っていくと、左側で行なわれている大規模な工事が「道玄坂二丁目南地区第一種市街地再開発事業」です。オフィス、商業、ホテルなどからなる複合施設で、渋谷マークシティと直結されます。
道玄坂の上側から見た現場。渋谷マークシティのすぐ隣です 別角度から。左右にそれぞれ高層棟と中層棟という2つができる予定です 近くで見たところ。まだ主な躯体の姿は見られませんでした 大和田横丁から路地を通して建設現場方向を見ると、向こう側まで見渡せました。以前は高いビルがあり見通しがありませんでした 渋谷駅周辺では2012年開業の渋谷ヒカリエを皮切りに、最新かつ巨大な複合施設がいくつも完成して、ワーカーから訪日外国人を含めた観光客まで多くの人で賑わっています。しかし少し脇道に入ってみるだけで、良い意味で雑多な雰囲気も残っていました。
最新施設だけでも十分楽しめる場所ではありますが、その後に裏通りを散策して、そのギャップや賑わいを味わうのも、渋谷という街の楽しみ方の1つかもしれません。