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スターリンクだけじゃない 中国参入で加熱する通信衛星網ビジネス
2024年12月10日 08:30
SpaceXが衛星通信網「Starlink(スターリンク)」のサービスを日本で開始してから約2年。能登半島地震では避難所などへ660台のスターリンクが提供されるなど、災害時や離島、山間地域の通信手段をはじめ普及が進んでいます。
スターリンクのような、多数の人工衛星を協調させて運用する方式を「衛星コンステレーション」といい、衛星通信や地球観測などの分野で急速に増えています。通信衛星コンステレーションの代表であるスターリンクは、2019年の打上げ開始からわずか5年で、世界の人工衛星の累積数をそれまでの2倍以上に塗り替えました。激化する通信衛星コンステレーションの世界で競争はどうなっているのでしょうか。
「衛星コンステレーション」の基本
国際天文学連合(IAU)の解説によると衛星コンステレーションとは、「共通の機能と様式を持ち、共通かつ補完的で目的を共有する軌道に配置されるように設計され、共通の制御下に置かれる複数の同型の衛星」となります。抽象的に説明するとわかりにくいですが、衛星コンステレーションの代表例は、実は毎日のように誰もが使っている衛星位置情報システムのGPS(Global Positioning System)です。
GPS衛星は、位置情報の元になる精密な時刻情報を24時間、地球のどこに対しても送信するという能力を持ち、機能的には通信・放送衛星の一種です。カーナビやスマートフォンといった地上の受信機は、時刻情報を一度に最低4機のGPS衛星から受け取り、計算で自分の位置を求めることができます。
地球上のどこでも同じGPSの位置情報を使えるようにするために、最低でも24機のGPS衛星が、55度ずつ等間隔で傾いた6つの軌道に均等に配置されています。これを衛星コンステレーションの要素別に整理すると、下記のようになります。
- 共通の機能と様式を持つ複数の動画他の衛星:精密な時刻の送信機能を持つGPS衛星(現在はGPS III、IIIFなど)
- 共通制御:米宇宙軍による運用
- 共通かつ補完的で目的を共有する軌道:軌道高度20,200km、55度間隔の6つの軌道
GPS衛星網からは地球のどこにでも時刻情報を送信することができ、地球上のユーザーからは見上げた上空にいつでも同じ機能を持つ衛星がいることになります。衛星が地球のどこでも可視状態にあることを「グローバル・カバレッジ」と呼びます。衛星コンステレーションは、もともと通信や地球観測衛星がグローバル・カバレッジを実現するために考案されたシステムでした。
1964年に米国は世界初の静止通信衛星「Syncom 3(シンコム3号)」を打ち上げ、人工衛星による通信放送が可能になりました。
静止衛星は、赤道上空の高度約36,000kmの軌道に位置し、地球の自転と同じ速度で飛行しながら常に安定して地上に電波を送ることができます。原理的に120度間隔で3機の静止衛星を配置すれば、地球をぐるりと送信網で取り囲むことができます。
ただ、赤道上空という性質から極域に近い高緯度帯では衛星を見上げる角度(仰角)が低くなり、高い建物や山に遮られやすく通信しにくくなります。この条件を緩和して、高緯度帯も含めたグローバル・カバレッジを実現できないものか、という検討が1960年代から始まっていました。
この課題解決に挑んだのがイギリスの技術者ジョン・G・ウォーカーでした。最低5~6機の衛星を複数の円軌道に配置すればグローバル・カバレッジを実現できるという論文を1970年に王立航空協会の技報に発表し、「デルタ型」「スター型」といった衛星コンステレーションの基礎を作り上げます。
同時期にソ連の技術者G.V. Mozhaevなども衛星コンステレーションの基礎を研究していますが、ウォーカーの考案した案を発展させた “Rosette Constellations of Earth Satellites.”という文献が初期型のGPS「NAVSTAR」衛星の基礎となったことから、ウォーカー型コンステレーションは衛星コンステレーション設計の代表例となっていきました。
もともと通信衛星や地球観測衛星向けにグローバル・カバレッジを提供するために考案されたのがウォーカー型コンステレーションですから、GPSにとどまらず通信衛星網を実現するのに向いています。
衛星通信の普及に伴い、コンステレーション型の衛星通信サービスが勃興してくるのですが、2010年代までは市場を席巻するサービスには至りませんでした。これは、衛星製造や衛星打上げに欠かせない宇宙輸送のコストと頻度を思うように達成することができなかったところに原因があります。
1990年代にモトローラの出資でスタートし極域をカバーする66機の衛星通信網「Iridium」は1999年に破綻していますし、Microsoftが出資し840機以上の通信衛星を打上げる計画だった「Teledesic」構想は2001年に計画段階で頓挫しました。
ウォーカーの構想からGPS初期の時代は、宇宙輸送のコストや衛星の質量に限界があり、コンステレーションの規模は大きくても数十機規模にとどまっていました。
ですが、インターネット網の普及に伴い、衛星でインターネット、特にブロードバンド網を構築するという考え方が登場するにつれて、衛星コンステレーションの規模が大きくなっていきます。100機、1,000機を超える衛星コンステレーションを特に「Mega-Constellation(メガコンステレーション)」といいます。
新時代を作り上げた「スターリンク」
衛星網の設計と打上げ手段の両面から通信衛星コンステレーションの実現に挑み、それを実現させたのがSpaceXの「スターリンク」です。米連邦通信委員会(FCC)に計画の承認を得た2018年に衛星総数12,000機という超大型のメガコンステレーションであることが明らかになりました。
段階的に衛星を追加し、複数のウォーカー型コンステレーションを組み合わせていく形で、初期の「フェーズ1」では、高度550kmの22軌道面に72機ずつ、合計1,584機の衛星で構成されています。
2019年の打上げ開始からすでに7,000機を超える衛星を打ち上げており、フェーズ1では南北緯度53度付近までだった通信サービスの提供範囲は、フェーズを重ねるごとに拡大して、2024年の段階で40カ国、70度以上の極域でもサービスを提供し、約400万人が衛星ブロードバンドサービスに加入しています。
2022年には、FCCが第2世代(Gen2)のスターリンク衛星7,500機の打上げを許可し、高度525km~535kmまで3つの異なるコンステレーション(それぞれを「軌道シェル」と呼びます)を組み合わせて衛星網を拡大していく計画となりました。
衛星数を増やしてカバレッジを最大化する一方で、衛星間で光通信を行ない通信を高速に中継する能力や衛星の小型軽量化、高効率の電気推進スラスターを備えてスペースデブリの回避を自動化する機能などを追加しています。
東京でスターリンクの個人向け契約「レジデンシャル」を利用している場合の通信速度は、下りで200Mbps程度、レイテンシは30ms前後といったところです。衛星間光通信による中継の効率化が進めば、よりレイテンシの逓減が期待できるでしょう。
また、現在はKuバンドという静止通信衛星でも利用されている帯域の電波を使用していますが、将来はVバンドというミリ波の領域の帯域を利用する計画です。
スターリンクの特徴は、個人やビジネス向けの衛星ブロードバンドサービスにとどまらず、旅客輸送や安全保障の分野まで用途を拡大していることでしょう。
2022年にロシアがウクライナへ一方的な侵攻を開始してから、紆余曲折はありつつもスターリンクがウクライナ前線で欠かせない通信インフラとして支援されているという事実があります。
また、航空機へのブロードバンドサービスの提供、船上で利用できるスターリンク・マリン、米軍が使用するスターシールドなど、用途は広がる一方です。
そして2024年11月、かねてからイーロン・マスクCEOが公表していた衛星と携帯電話の直接通信(「サット・モバイル・ダイレクト」とも呼ばれます)で日本でも実証が始まりました。
米欧の衛星コンステレーション計画
これまで革新的な速度で展開してきたスターリンクですが、Amazonや欧州、中国でも競合する通信衛星コンステレーションの開発を推進しています。ここからはその動向を見ていきましょう。
OneWeb
通信衛星コンステレーションの代表格として、スターリンクと並ぶのが「OneWeb」です。米国の実業家グレッグ・ワイラー氏が2012年に「WorldVu」という構想として立ち上げ、2015年にLEOの衛星コンステレーションとして計画がスタートしました。
衛星製造はエアバス・ディフェンス&スペースが担当し、2018年にFCCから720機の衛星を利用した通信サービスの許可を得ました。当初は最大で882機の衛星を配置する計画でしたが、衛星数が削減となり、12軌道面に49機ずつの588機と予備機を入れて648機の構成に変更されました。
日本のソフトバンクグループからの資金も得て2019から衛星の打上げを開始したOneWebですが、2020年に財政危機におちいり、2021年にはインド企業バーティ・グローバル、欧州の衛星通信企業ユーテルサット、そして英国政府の支援を得て立て直します。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻の際に、ロシアが運用するソユーズロケットで計画していたOneWeb衛星36機の打上げを拒否し、衛星が取り残されてしまうという事態が発生しました。
ソユーズ利用計画を見直し、インドのロケットや本来は通信衛星事業のライバルであるSpaceXのロケットでの打上げに切り替えを強いられることになりました。それでも2023年から改めてユーテルサット傘下の企業として活動を始め、2023年までに633機の小型衛星を高度1,200km、12の軌道面に配置した衛星コンステレーションとなっています。
OneWeb創業者のワイラー氏は、WorldVuの前に「o3b」という通信衛星コンステレーション企業を立ち上げており、この分野では早くから活動を始めていました。
o3bとは「Other 3 Billion」という、地球上でブロードバンド網に接続できない30億人の人々を指す言葉で、全世界にブロードバンド接続を提供するという理念を表したものでした。
しかし、資金繰りの課題からくる計画変更や出資者の交代などもあり、現在OneWebが打ち出しているカスタマーは携帯電話のバックホール回線などの企業向け、政府や海事、航空機などが中心で個人向けサービスではなく、個人向けで利用者を伸ばしているSpaceXとは棲み分けているかたちです。
日本では、ソフトバンクが地球低軌道のブロードバンド衛星OneWebに、静止衛星や成層圏を飛行する無人通信基地局(HAPS)などを加えた非地上系ネットワークを構築、通信サービスを提供する計画です。
Kuiper Systems
「Kuiper Systems(カイパーシステムズ)」は、プロジェクト・カイパーとも呼ばれ、2019年にAmazonが計画を発表した3,236機の衛星による通信衛星コンステレーションです。
2020年にFCCから承認を受け、2023年に2機の試験機を打上げました。2025年から本格的な打上げを開始し、高度590km、610km、630kmと3つの軌道シェルに分割したコンステレーションを構築する計画で、5段階のフェーズに分け、最初の578機の衛星が展開された時点でサービスを開始するとされています。
個人向けや政府向けの通信サービスを行なうとされていますが、衛星間光通信機能を備え、Amazonのクラウドサービス「AWS」の地上局をつなぐ回線としても利用される予定です。
カイパーシステムズの注目点は、SpaceXやOneWebといった先行する通信衛星コンステレーションとの相互関係と、衛星打上げのスピードでしょう。
計画としては後発となるカイパーシステムズは、FCCから認可の際にスターリンクなど他の通信コンステレーションとの電波干渉を避ける設計を盛り込むように指導されています。
大量の衛星が打ち上げられる時代、電波干渉の回避はあらゆる衛星にとって重要であり、スターリンクも計画段階で1,100kmだった高度を他の衛星との干渉回避の問題から550kmへ大きな設計変更を行ないました。
また、静止衛星を含む他の衛星へ干渉が発生しないようにするために指向性の高い電波ビームを使用するなどの手段を取っています。
カイパー衛星だけ規制が課されているということではありませんが、7,000機近い衛星を先に打ち上げることで軌道上の優位を獲得しているSpaceXが存在する中で、後発でも事業が成立しうるコンステレーション設計が求められているのです。
また、SpaceXがたった1社で歴史上の人工衛星数を2倍以上に塗り替えてしまった中で、電波を管理する国際電気通信連合(ITU)の機能に多大な負担がかかっています。
2023年秋の時点で、世界中から30数万機の衛星コンステレーションに関わる周波数利用申請がITUに提出されており、中にはあらかじめ帯域を「押さえる」目的の申請もあると考えられています。
ITUは各国の電波規制当局を通じて衛星コンステレーションの構築を制御できるレベルに抑えるためのルール整備を進めており、米FCCは一定の期限までにコンステレーション事業者が衛星打ち上げを実現し、申請だけの「ペーパー衛星」ではないことを実証するよう求めています。
カイパー衛星の場合、2026年7月末までに計画衛星数の半数を打ち上げるという期限が定められているのです。実質的にはあと2年もなく、かなり高速でロケットを調達しなければならないことを意味します。
Amazonの創業者ジェフ・ベゾス氏は、現在は宇宙企業Blue Originを率いていますが、ブルーオリジンが開発中のNew Glennロケットはまだ1号機の打上げに至っていません(2024年12月予定)。
また、カイパー衛星の試験機を打上げたULAのAtlas Vロケットはエンジン在庫の関係から運用終了が決まっています。
Amazonは欧州のアリアンスペースや、衛星事業では競合するSpaceXも含めてロケット調達を行なうと表明していますが、大きな期待がかかっているのは、Blue Originがエンジンを提供するULAの新型ロケット「Vulcan」(ヴァルカン)です。
2024年1月に初号機打上げを実現したヴァルカンロケットは、カイパーシステムズと38回の打上げ契約を結んでいます。2022年の時点で、3種類のロケットを合わせて83回の打上げを確保しているといいます。
衛星網構築という点では、カイパーシステムズは他の衛星コンステレーションの後追いの部分がありますが、AWSを通じてデータ需要を握っているという点では、他のコンステレーションにはない強みをAmazonは持っています。宇宙に専用回線を持つことがAWSのユーザーにとって魅力的になるとすれば、ビジネスを成功させる確率が上がるでしょう。
IRIS2
測位衛星網のGalileo、地球観測衛星のSentinelとこれまで2種類の衛星コンステレーションを独自に運用してきた欧州は、2022年に欧州専用の通信衛星コンステレーション「IRIS2」の構想を発表しました。
地球低軌道(LEO)と中軌道(MEO)を組み合わせ、290機の衛星がセキュアなブロードバンドサービスを提供するというもので、2025年から打上げを始め、2030年には運用を開始する計画です。2024年10月には、SES、ユーテルサット、ヒスパサットという欧州の衛星事業者のコンソーシアムが開発と運用担当として選定されました。
IRIS2は個人向けだけでなく、政府向け、輸送機関や金融、エネルギー管理など欧州の商用サービスも提供するという計画です。
宇宙産業を通して域内の経済の活性化を目指す欧州ならではの計画ですが、当初は2022年開始の計画だった衛星打上げが担当する仏アリアンスペースの新型ロケット「Ariane 6」の遅れから2025年にずれ込んでいます。コンソーシアムを構成する企業間の調整にも時間がかかっており、多国間で協調して大型計画を進める難しさが見え隠れします。
中国のコンステレーション
G60(千帆星座)
米国を中心に通信コンステレーションが拡大する中で、宇宙大国である中国も急速に衛星コンステレーション計画を立ち上げてきました。
スターリンクを超える15,000機規模の計画を立ち上げているのが、2018年に設立された「G60/Qianfan(千帆星座)」です。国有企業の上海垣信衛星科技(Shanghai Spacecom Satellite Technology Ltd. : SSST)が衛星開発を担い、2024年8月に長征6号ロケットで最初の18機の衛星が打上げられました。高度1,000kmのフェーズ1では1,296機、以後は500km付近へ高度を下げて低遅延のインターネット衛星網を提供するといいます。
中国は国内に4カ所の射場と多様なロケットのラインナップを持ち、測位衛星網の「北斗」をGPSよりも大規模に構築してきた実績があります。とはいえ、通信コンステレーションで後発である立場では、カイパーシステムズと同様に無線周波数のリソース調整のルールを守る必要があります。周波数と軌道位置を申請してから最初の衛星を7年以内に、12年以内に計画衛星数の50%を打ち上げなくてはならないのです。
SSSTは2025年中にフェーズ1の半数である648を、2030年までに15,000機の衛星をすべて打ち上げる計画です。IEEE Spectrumはこのペースであれば2030年まで年間2,500機、1日に7機の衛星を打上げなくてはならないと試算しています。これはSpaceXのこれまでの実績の2倍に達するペースです。
中国はすでに毎週1回以上の打上げを実現しており、民間企業のロケット開発を奨励し射場を増設しているとはいえ、リソース面で期限までにコンステレーション構築が可能であるのかは不透明さが残っています。
Guowang(国網)とHonghu-2(鴻鵠)
G60コンステレーションが相当な打上げ加速を求められる中で、2021年に中国は「国網(Guowang)」と呼ばれる12,992機の衛星を高度500~1,145kmの中軌道に打ち上げる構想を発表しました。
衛星開発は国有企業の中国衛星網絡集団(China Satellite Network Group)が担当し、すでにITUに周波数を申請しているということです。また、民間企業の上海藍箭鴻擎科技は、「Honghu-3(鴻鵠)」という10,000機の通信衛星コンステレーションを計画しているといい、全体で3万機を超える衛星の打上げが存在することになります。
中国が保有する官民のロケットでこの規模のコンステレーション構築が可能であるのか、打上げペースを注視していく必要があるでしょう。
通信衛星コンステレーションの展望と課題
宇宙開発史上で何度も構想されながらも実現しなかった、100機を超える通信衛星コンステレーションをSpaceXが10年もかからずに、より大規模に実現しました。
測位衛星コンステレーションでは、1978年のGPS試験衛星打上げ開始から中国が北斗網を完成させるまで40年以上かかった一方で、通信メガコンステレーションはこの10年の間に1,000機、10,000機という構想が次々と現れ、覇権争いの様相を呈しています。
激しい競争の中で課題として浮上してきているのは、前述の「周波数調整問題」と「軌道上の安全」でしょう。衛星同士の衝突によるスペースデブリの発生、寿命が尽きた衛星の軌道上での滞留などを防ぐため、各事業者は小型エンジン搭載など衝突回避の取り組みを進めています。
欧州は、小型衛星ならば通常は運用終了から25年以内という地球大気への再突入の期間を、メガコンステレーションについては5年以内にするなどの規制を検討しています。日本のアストロスケールがOneWebに衛星の軌道離脱の支援を行なうなど、スペースデブリ対策も事業になりつつある状況です。
とはいえ、衛星同士が接近した場合に異なる運用組織が適切に連絡を取り合って対処するルールの問題など、今後解決していかなければならない部分は多く残されています。
天文学や環境に与える影響も懸念されています。常時、多数の衛星が光学望遠鏡の視野を横切る「光害」(ひかりがい)にとどまらず、電波天文台との干渉によって観測が妨げられる問題も大きく浮上してきています。
運用を終了した衛星が多数、地球の大気へ再突入することでオゾン層など高層大気への影響もあると考えられ、衛星への推進剤補給といった技術により衛星の寿命を伸ばし、高頻度の再突入を緩和すべきという意見もあります。
一方で、規制の実行力を高めるのはつまるところ、林立する衛星コンステレーション構想が淘汰されてからになるという冷淡な見方もあるのです。少なくとも現在は、ITUや国連のスペースデブリ対策など、国際的に一定程度は合意の取れているルールが守られているか注視すべき段階でしょう。