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エスカレーター歩行を音声で注意 大宮駅はなぜ「ずんだもん」を起用した?
2024年11月29日 08:00
JR大宮駅で、「エスカレーター上の歩行と片側あけ」という慣習を控えてもらう実証実験が10月28日から行なわれています。エスカレーター上部にカメラとスピーカーを設置し、エスカレーター上の歩行者をAIが検知すると、音声等で注意喚起を行なうというものです。
実証実験の内容とともに、注意喚起の音声にテキスト読み上げソフトウェア「ずんだもん」が採用されたことも話題となりました。エスカレーター歩行者に「音声で注意」を採用した理由や、その音声にずんだもんが選ばれた理由などを、JR東日本に聞いてみました。
実証実験が行なわれているのは、JR大宮駅の埼京・川越線21番線・22番線ホーム上、北側エスカレーター。交通機関でのエスカレーター利用時の事故は多く、JR東日本ではこれまでもエスカレーター「歩かず立ち止まろう」キャンペーン等を実施していました。しかし、それでもエスカレーター上を歩行する人は一定数おり、安全利用促進の観点から、今回のAI技術を用いた注意喚起に至ったそうです。
エスカレーターの利用についてJR東日本広報は、「エスカレーターは元々ステップ上に立ち止まって利用することを前提に設計されており、左右いずれかの手すりしかつかまることのできないお客さまもいるため、JR東日本が事務局となり実施している、エスカレーター『歩かず立ち止まろう』キャンペーンでは、ステップ左右に関わらず、ご利用のお客さま全員が歩かずに立ち止まって、手すりにつかまり安全に利用いただくことをお願いしております」と説明。
しかし、片側を空けて歩行することが一定数定着している現状があることから、すぐに全てのエスカレーターで立ち止まって2列に並んで利用してもらうことは困難であるとも認識しているそうです。
エスカレーターを安全に利用するには、「歩かず立ち止まること」「手すりにつかまってもらうこと」というのが同社の基本的な考え。これらを啓蒙するキャンペーンや案内は、全国の鉄道事業者等と連携して社会へ訴求していくことも検討しているようです。
実証実験の場として大宮駅を選定した理由は、埼玉県はエスカレーター上の歩行を禁止する条例を定めていることを挙げています。
「条例が定められていることから駅をご利用されるお客さまにも、エスカレーター上の歩行防止に向けた取組みについて、ご理解が得られやすいと考えました。また、大宮駅は、JR東日本内でも乗車数7位に入る規模の駅で、今回の実証実験にふさわしいと判断しました。現在実証実験を行なっているエスカレーターは、通勤時間帯に恒常的に堵列が発生する箇所であることも理由のひとつです」(同社広報)
音声に「ずんだもん」を起用した理由
今回の実証実験は、歩行を検知すると「音声で注意」するのが大きな特徴。この方式を採用した理由については「常に音声を流すのではなく、エスカレーター上を歩いている人に直接メッセージを伝えたいと思い、AI技術を用いて音声での注意喚起をすることとしました。歩いている人に、気付いて立ち止まっていただけることを期待しています」と話します。
注意する音声には、VOICEVOXのテキスト読み上げソフトウェア「ずんだもん」が起用されました。ずんだもんは子供のような高めの声が特徴で、多くのユーザーから支持されています。なぜ、注意する音声にずんだもんを起用したのでしょうか。
「音声で注意喚起を受けたときに、立ち止まることと、嫌な気分に感じにくい声として、子供の声が妥当だと考えました。また、VOICEVOXの“ずんだもん”は、YouTube等でよく使用されており、少しでも聞きなじみのある音声を使用することで、お客さまに気付いて頂ければとも考えています」(同社広報)
これ、ずんだもんの声になるらしいです(*ゝω・)ノ
— 東北ずん子🫛ずんだもん🫛公式 (@t_zunko)October 17, 2024
(JR東日本さんから連絡来てました)
JR大宮駅、エスカレーターで歩く人を「声」で注意する実験 - Impress Watchhttps://t.co/TZecwksLM1
実証実験開始後、利用客からは「他の駅でも行なってほしい」、「実験だけでなく継続的に行なってほしい」という声が多く寄せられたそうです。
大宮駅での実証実験は12月4日で終了となります。現時点で他駅への導入は未定としていますが、「今後については、今回の検証結果を踏まえて検討していきたいと考えています」と同社広報はコメント。
交通機関ならびにエスカレーターの安全利用に向けて、「エスカレーターは立ち止まる」といった基本的な利用方法が、今後広がることを期待したいと思います。