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Xで話題の「1年分プレゼント」とは? 元ネタと注意点を調べてみた
2024年11月21日 17:30
11月に入ってから、さまざまな企業がXの公式アカウントで、自社製品の「1年分プレゼント」企画を実施しているのをご存知でしょうか。ほとんどの投稿が画像内にプレゼント概要を記しており、白背景に明朝体で、一見「ご報告」や「お詫び文」のような形式をしているのが特徴です。
投稿している企業は食品からアパレル、家電など幅広く、毎日のようにさまざまな企業のポストを見かけたので、筆者は当初Xの新しいプロモーションかと思っていました。
ですがこれはプロモーションではなく、最初に始めた企業の投稿がバズったことから、他企業の公式アカウントにも広がった模様。「ご報告」形式の1年分プレゼントがなぜ流行ったのか、また便乗する詐欺アカウントなど注意点についても調べてみました。
発端はみかん1年分プレゼント
「ご報告」形式の1年分プレゼントを最初に実施したのは、愛媛県のみかん専門店「のま果樹園」の公式アカウント。11月3日のポストに添付されている画像は、パッと見ただけだとなにかの報告やお詫びのようですが、よく読むと「みかん1年分をプレゼント(月に1回、12カ月間)」する旨が記載されています。
プレゼントの条件はフォロー&リポストと、よくあるXのキャンペーンと同様ですが、該当ポストは23万リポスト、4,115万インプレッションを越え話題となりました。当選者は2名なので当たる可能性は低いですが、かなり拡散されました。
みかん1年分あげますpic.twitter.com/rLUlx1kt8g
— みかんのことなら「のま果樹園」 (@nomakajuen)November 2, 2024
同アカウントは過去に何度もみかんプレゼントを実施していますが、この「ご報告」形式は今回が初めて。プレゼントキャンペーンには見えない意外性のほか、一般的なXのプレゼントキャンペーンは「広告キャンペーン」感が強くリポストしにくいけど今回は投稿自体が面白いからリポストしやすい、などさまざまな要因で広がっていった模様です。
この投稿がバズったことから、さまざまな企業が同じ形式で1年分プレゼントキャンペーンをXで実施しています。ほとんどが「フォロー&リポスト」を条件としているので、投稿は拡散されやすくフォロワーも増えやすく、原価としてはプレゼントにする商品代と送料だけでリポスト/インプレッション数を増やせるといったメリットがあります。
1年分の量はプレゼントを実施する企業が設定していますが、農林水産省が公表している数字から1人あたりの年間消費量を元にしたり、1日1個消費する計算で365個をプレゼントしたりすることが多いようです。
家電やパソコンなどは1年分というのが難しいですが、「1年以上満足できるように」といった文言でプレゼントを実施している企業もあります。もはやそれは只のプレゼントキャンペーンなのでは? という気もしますが、今回話題となっている「1年分プレゼント」のフォーマットに則ることがトレンド入りのポイントなので、その形式を採用しているようです。
さつまいも1年分差し上げます。pic.twitter.com/nP7Wu80fOt
— さわやかのサツマイモ🍠 (@satsumaimo77)November 6, 2024
「のま果樹園」が今回の形式で1年分プレゼントを実施したのが11月3日で、まもなく3週間が経とうしています。現在はさまざまな企業が同じようなプレゼントを実施していますが注意も必要です。
それは詐欺アカウントの登場と、個人情報の扱いについてです。企業公式アカウントのプレゼント企画であれば問題ありませんが、どこの企業が運営しているかわからないような怪しいアカウントのプレゼント企画には参加しないほうが良いでしょう。
なぜかというと、プレゼント企画は基本、当選した場合にDMで住所や名前のやり取りをすることが多いからです。企業の公式アカウントなら個人情報は適切に扱われると思いますが、最初から個人情報収集目当てでプレゼント企画を実施する詐欺アカウントも存在しています。
こうしたアカウントは最初からプレゼントなど用意しておらず、ただ個人情報を抜き取ることだけを目当てにしている場合もあります。
かつて「フォロー&RTで100万円差し上げます」など、いわゆる「お金配り」がSNSで多発しましたが、初期に実施した著名人以外は詐欺アカウントも多く、口座情報などを収集することを目的とすることもありました。教えた口座が詐欺に使われたり、なぜかお金を振り込まされてお金をだまし取られたりと悪用方法はさまざま。
プレゼントキャンペーンだと住所や氏名を開示することになるので、安心できる企業アカウント以外では何に使われるかわかりません。現在は多くのアカウントが1年分プレゼントを実施しているので、企業アカウントではない怪しいアカウントや個人アカウントには注意が必要です。また、企業側もプレゼントする商品について、景品表示法等に抵触しないか気をつけたうえで実施したほうがよいでしょう。