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高級ボールペンは持っているだけで気分が上がる 海外製も日本製も多彩
2024年11月1日 08:20
手頃なものから高級品まで、実に幅広いラインナップが揃っているボールペン。今回は、ボールペンにこだわりのある人、ワンランク上のボールペンを1本は持っておきたいと考えている人、ギフトを検討している人などに向けて、5,000円以上の高級ボールペンにフォーカス。ハンズ新宿店の池内一城さんに、最近の潮流やおすすめ商品を聞いてきました。
「ハンズの場合、高級ボールペンはギフト需要がかなり高いです。ぼんやりと『ボールペンをギフトにどうか』と考えているお客様には、スタッフが性別、年齢、体や手の大きさ、指の太さ、好きな色など、わかる範囲で話を聞き、イメージに合ったものをご案内させていただきます。ご自身で使われる場合は、書き心地、手にしっくりくるもの、インクが柔らかめのもの、とこだわりを持って選ぶ方が多いですね。男性の場合、発売して間もない最先端のもの、女性は使い勝手がよく、持っていて気分が上がるような可愛らしいもの、といったニーズもあります」
海外製と日本製、それぞれの特徴はあるの?
高級ボールペンはブランドなどによって魅力が異なりますが、大きくは海外製と日本製に分けることができ、それぞれに特性があります。
「まずはデザインです。シンプルな日本製に対して、外国製のボールペンは斬新なデザインが採用されるなど、デザイン性では一歩先を行っている感があります。次にインク。日本製はインク自体へのこだわりが強く、低粘度で紙に書いた時にサラサラと書き心地のいいものが多く使われていますが、海外製は昔ながらの粘度が高い油性。どちらが好みかは人によって分かれるところです」
加えて、海外製はブランド力があることも魅力のひとつになっていて、ブランドの指名買いをするお客様も少なくないそうです。
「100年を超えた歴史あるブランドが多く、持っていることがステータスになる、というところも購入のポイントになっています。例えば、パーカーのボールペンは価格帯を問わずすべてに矢羽クリップを採用しているので、胸ポケットに挿すとブランドのシンボルである矢羽クリップが見えるのがポイント。クリップはブランドのシグニチャーポイントなので、ぜひチェックしてください」
「また、ブランドカラーに合わせた包装紙やリボンを用意しているのも海外ブランドならでは。ギフトとしてもらった人も特別なラッピングを見て、きっと気分が上がるはずです」
高級ボールペンの入門モデルにも最適な英国王室御用達の「パーカー」
ここからは売れ筋&おすすめの高級ボールペンをご紹介します。まずはハンズで一番売れているというパーカー(PARKER)の「IMモノクローム」のブロンズカラーが登場。黒っぽく見えるのに実はブロンズ、という珍しいカラーが好評です。
「他にはあまりない色ですし、ボディの色に合わせて金具の色もコーティングされていて、統一感のあるカラーも特徴となっています。また、ノック式で高級感があるのに取り回しがいい、と選ばれる方が多いです。しかも5,000円台とお求めやすいので、最初の高級ボールペンとしてもおすすめです」
パーカーのラインナップでは、気品あふれるベストセラーモデル「ソネット」も外せません。外観だけでなく手にした時の感触にまでこだわり抜いて開発された、クラフトマンシップあふれるモデルです。
「パーカーと言えばソネット、というくらい代表的な中枢をなすボールペンで、なかでも黒×銀のカラーが人気です。程よい太さで重量感があり、見た目もスタイリッシュ。そのためギフトに購入される方が多くいらっしゃいます」
フランス・パリ発、エレガントなデザインの「ウォーターマン」
続いて登場したのは、フランス・パリのブランド「ウォーターマン(WATERMAN)」。ジュエリーのような繊細さと美しさを持つエレガントなデザインが人気です。スーツの生地が見えるように真ん中を開けた「オープンウィンドウクリップ」にも、このブランドらしいこだわりを感じます。
「なかでもおすすめは細身でエレガントなデザインの『メトロポリタン』です。細身ながら重量感があるので安定して書くことができますし、この細さであればスーツの内ポケットに挿して携帯できるのでビジネスでも重宝します」
「一方で、軸が太めで握り心地がいい『エキスパート』は、存在感のある力強いシルエットが印象的な1本。真ん中に重心がくるように丁寧につくられた、ゆったりとした丸みのあるデザインで、そのバランスは持った時に『おっ!』と思うほどちょうどいい。このしっくり感がエキスパートの最大の魅力です」
「今回紹介した2モデルはどちらも黒×シルバーが人気ですが、このほかにもレッド系、ブルー系などカラーバリエーションが豊富なので、使う人の個性に合わせて選ぶことができます」
流線型のデザインが特徴的なアメリカの老舗ブランド「クロス」
続いて登場したのは「クロス(CROSS)」の商品。1846年にアメリカ・ニューイングランドで創業したブランドで、近年ではオバマ氏が大統領就任式で使用するなど、各界の著名人にもクロス愛用者が多くいます。
「クロスには『クラシックセンチュリー』という代表的な細身のモデルがありますが、もう少し若者に向けた洗練されたデザインのものを、と出されたシリーズ『ATX』がハンズでは屈指の売れ筋モデルです。葉巻型のフォルムは持ち心地がよく、想像以上に軽いのも特徴。胸ポケットに挿しても重みでしんどくなることがなく、ビジネスにもカジュアルにも使える便利な1本です」
「アメリカのブランドらしい無骨さが見え隠れするクラシックなデザインの『ベイリー』は、ゴツくて重みがあるモデルです。お尻の方に重心があり、持った時にどっしり感があるので手が大きめの方にもおすすめ。真鍮製のボディはラッカー仕上げで、艶やかに品の良さを演出します」
1966年から変わらぬデザイン。ドイツブランド「ラミー」の精巧な1本
次に登場したのは、極限まで無駄をそぎ落としたタイムレスなデザインをコンセプトにオリジナリティあふれるデザインの筆記具を生み出してきた、1930年設立のドイツのブランド「ラミー(LAMY)」の象徴的なモデルです。
「個人的にも大好きな『LAMY 2000』もピックアップさせていただきました。このモデルはこだわりの塊で、まず、金属部分にはすべてに髪の毛のような細いラインが入ったヘアライン加工が施されています。さらに樹脂の部分には軽くて丈夫なポリカーボネートを使用。実はこのモデル、1966年につくられたもので当時からデザインは変わりません。時代を超えて愛されていて、50年以上経った今でも大人気なのが素晴らしいところです」
「ステンレスの無垢から削り出したクリップはこだわりのパーツ。エッジが立っていて、こすると切れてしまうのではないかと思うくらいです。振り子式を採用した4色ボールペンで、クリップを上向きにすると黒が出て、緑、赤、青とそれぞれの色を上向きにすると対応した色が出てくる仕組み。しかも、どの色が出ているのかわかるようにペン先にも色がついている親切設計。この仕組みが60年代からあったことにも驚きです」
「インク交換でペンを分解する時、通常とは異なり、中央部分から上下に分かれるようになっています。しかもこの境目、つくりが精巧でまったく見えなくなるんです。お客様にこれを見せると、みなさんとてもビックリされます」
「私は15年ほど使い続けていますが、今も現役です。表面がツヤツヤになって経年変化が楽しめるのも長く愛される理由のひとつだと思います」
パイロットにサクラクラフトラボと、個性派が揃う日本製モデル
ここからは、日本製の高級ボールペンの中からおすすめをピックアップ。幅広いラインナップを展開する「パイロット(PILOT)」からは、国産筆記具の中でもトップクラスの人気を誇るシリーズ「タイムライン エターナル」をご紹介します。
「タイムラインシリーズは昔からありますが、5年ほど前に軸グリップにマーブル模様を配したモデルが登場。これがエターナルシリーズになります」
「これは『書き心地のいいボールペンはないか』と言われた時に、真っ先におすすめする1本です。握り心地も書き心地も良く、マーブル模様が1本1本異なるなどビジュアルも個性的。システムもユニークで、1回まわすとペンが出て、もう1回まわすとペン先が出る2段階方式。つまり、よりコンパクトに持ち歩くことができ、スーツに挿していてもペンケースに入れておいても、ペン先が出て汚れないように工夫されているわけです」
「最初は軸の太さが気になるかもしれませんが、実はこの太さはちょうどパイロットのドクターグリップと同じくらいなので、握り心地は非常にいい。さらに『アクロインキ』という独自のインクを採用しているため、とても滑らかな書き味です」
アクロインキを使ったパイロットのモデルをもう1種類ご紹介。多機能ペンの「スリープラスワン リッジ」は、回すごとに黒・赤・青・シャープペンシルとペン先が変わっていくシステム。4機能を装填しながらも細身でシンプルなので、多機能派はぜひ持っておきたい1本です。
「細身ですが重量バランスも考えられていますし、シンプルでおしゃれな雰囲気です。一番の売れ筋はピンクゴールドの金具をあしらったパールホワイトで、男性から女性へのギフトとしてダントツに売れています」
最後に紹介するのは、2017年に発売されたサクラクラフトラボの「001」です。クレパスやクーピーでお馴染みの「サクラクレパス」が、大人の感性を刺激する筆記具を届けたいと立ち上げたブランドで、「発売当時はポールペン好きを含めて業界全体がザワついた革新的なモデル」だと池内さんは話します。
「サクラクレパスでは過去に手頃な価格のボールペンや可愛らしいボールペンはつくっていましたが、高級路線のボールペンはこれが初めて。真鍮製のボディにスモークガラスのようなアクリルのアクセント、アンティークメガネをモチーフにしたクリップ、回転させるとペン先が出る時計のリューズのようなダイヤルと、パーツ一つひとつにこだわり抜いています」
「また、水性のゲルインクを採用し、インクの色をカラバリに合わせて変えているのもユニークです。グリーンはグリーンブラック、赤はボルドーブラック、といった感じで、黒ベースのカラーはビジネスでも使いやすいと評判。とにかくこだわりが詰まっていてカッコよく、男心がくすぐられます」
今回はおすすめ高級ボールペンを紹介してきましたが、気になるものはありましたか? 高級ボールペンはブランド独自のスタイリッシュな化粧箱に入っているものも多く所有感も楽しめるので、自分用に、ギフトにと特別な1本を選んでみてはいかがでしょう。
なお、記事内の価格は取材(10月10日)時点のものです。