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山に行くなら持っていきたい「クマ対策グッズ」3選

暑い夏、涼しい山でハイキングなども楽しみな季節になりました。しかし、近年、熊の活動が活発化しており、各地で人的被害も頻発しています。山だけでなく山に近い市街地などにも熊が出現するケースが多発していて、これまで遭遇することがあまりなかったような場所でも目撃情報があったりします。油断はできません。

筆者自身も自転車で山道や林道などを走ることが多いため、熊対策グッズは必須となっています。今回、以前購入していた熊対策スプレーが利用期限切れになったことから、モンベルで熊対策グッズを購入してみました。

トレッキングベル サイレント

熊対策としては定番なベルです。熊やイノシシなど野生動物にこちらの存在を知らせることで、不意な遭遇を減らします。音を鳴らせてみると、風鈴のようにとても綺麗で澄んだ音がします。

この製品のポイントは「サイレント機能」があることです。使用しないときはベルのクラッパー部分を引き上げることで音が鳴らないようにできます。ベルを付けたバッグをクルマに乗せていると、クルマが揺れる度に音が鳴ってしまうので、この機能は個人的に必須です。バスや電車等に乗るときも音を消しておくことができます。

実際のところ、こうしたアイテムは最初から人間を狙ってくる熊には効果が薄いとは言われていますが、基本的にはあったほうがいいと思っています。

トレッキングベル サイレント
ベルの根元のネジを少し回すと、「クラッパー」を根元から引き上げられます
クラッパーを引き上げることで音がならなくなります

フロンティアーズマン ベアホーン

ガスの力で大音響を鳴らし、あらかじめ熊などを遠ざけるためのグッズです。115dBもの音量で、804m先まで音が届くとのこと。一定距離を移動する毎に音を鳴らすイメージです。熊対策だけでなく、万が一遭難した場合などでも、自分の存在を知らせるために使うこともできます。

1/4秒間の発報で約60回、1/2秒間の発報で約25回使うことができます。大きさも高さ12.1cm、幅6.4cm、奥行き3.8cmと手のひらサイズで携帯しやすいです。価格は3,080円になります。

なお、モンベルのホームページには「人間を見つけて突進・攻撃態勢になっているクマを抑止するためのものではありません」とありますので、あくまで熊などを事前に遠ざけるための手段になります。基本的に熊やイノシシなどの野生動物は人間との遭遇を避ける傾向にあるとは言われていますが、確実ではありません。実際に遭遇してしまった場合には、下記の熊対策スプレーの出番になります。

フロンティアーズマン ベアスプレー

唐辛子抽出成分のカプサイシンを使った熊よけスプレーです。高圧ガスにより噴射距離は10.5mあり、業界最高レベルとのこと。

これを使う段階になったらかなり命の危険のある状況ですが、それだけに熊が出る可能性のある場所へ行く場合には、個人的に必須アイテムになっています。以前購入したものが有効期限の4年を過ぎているので新しく購入しました。大容量の272mLタイプを購入し、価格は13,200円でした。

突然熊と遭遇する場合に備えて別売の専用のホルスターも用意されていて、山などに入る際には常時腰などに付けておくことが推奨されています。実際、リュックなどに入れておいてしまうと、いざという時に間に合わない可能性はあると思います。

実際に使う場合は、熊の顔あたりをめがけて3秒程度吹き付けて使用し、熊がひるんだら安全な場所に退避します。約10mもの噴射距離を誇りますが、1本あたりの噴射時間は最大で約5秒ということです。3回以上の噴射は難しいと思いますので、慎重に扱う必要があります。

白いパーツは安全装置です
安全装置を外して噴射します

筆者は、自転車で走っている時に一度、熊に遭遇したことがあります。と言っても、まだ小熊でしたが、こちらに気づいているのかいないのか、こちらの進行方向の道を横切って、草むらで何やら楽しそうに夢中で遊んでいました。10mも離れていない距離だったので、写真に収めようかとも一瞬思ったのですが、「小熊がいるときは近くに必ず親熊がいる」ということを思い出し、そのまま通り過ぎることにしました。

このときは、進行方向の道路を熊が横切っただけだから良かったですが、親熊が道路上に居座っていたら、簡単にスルーできるとは思えません。こちらから刺激をしないことは勿論ですが、最近では山奥に入らなくても人里に熊が出没することがよくあります。筆者が遭遇した熊も、山奥ではなく人通りがそれなりにある道路でした。熊が出そうな場所に行く場合は、万が一のために対策グッズを持ち歩くのをお勧めしたいです。

ただし、熊よけスプレーは護身用品になりますので、正統な目的なく所持している場合は、警察の取締の対象となります。直ぐに救助を求められないようなアウトドアフィールドに持っていくなど正統な理由がある場合以外は、持ち歩かないようにしましょう。そうした場所に行く際にも、現地に着くまでは厳重に梱包するなどの対応が求められます。

なお、環境省は熊に関する情報をまとめたパンフレット「熊と共存するために」を公開しているほか、モンベルも、「山でのもしもに備える、クマ対策アイテム」という特集ページを用意しています。どちらも熊に出会った時の対処法などが詳しく掲載されていますので、一読をお勧めします。

出典:環境省
清宮信志