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AI検索は“ググる”を代替できる? 「Perplexity AI」を使う

インターネット検索の新たな手段として「Perplexity」(パープレキシティ)というサービスが話題になっています。最近ではソフトバンクが「ソフトバンク」「ワイモバイル」「LINEMO」の3つのモバイル通信サービスの契約者に対して、Perplexityの有償版を1年間無料で提供するとして注目を集めました。

Google検索のような従来型の検索エンジンに代わるツールとの呼び声も高いPerplexityですが、実際のところどんな風に使えるのでしょうか。具体的な使用例を交えつつ紹介していきたいと思います。

無料でも回数制限なしで“検索”できる

Perplexityには無料で使えるプランと、有償のサブスクプラン「Perplexity Pro」が用意されています。単純にWeb検索用途に使うだけであれば無料プランでも回数制限なく利用できるので、「Googleの代わりになるのか、とりあえず確かめたい」というときにも気軽に試せます。

Perplexityのホーム画面

サブスク登録が必要になるのは、より詳細に検索、分析して回答してくれる機能「Pro Search」の回数制限(無料プランは1日あたり5回まで、有償プランでは同600回まで)を緩和したいとき、あるいはPerplexity標準以外のAIモデルを使った回答が欲しいとき、または画像生成機能が欲しいときなどです。

有償のPerplexity Proではより高度な検索やAIモデルの変更などが可能

サブスク登録するときは、支払いをするプラットフォームに注意した方がいいかもしれません。Perplexity公式のWebサイトから登録する場合は20ドル(約3,200円)ですが、Androidアプリからだと2,950円、iOSアプリからだと3,000円と微妙に価格が異なります。登録したプラットフォームがどれかに関係なく、同じアカウントであればどのプラットフォームでもProプランが使えるので、7月4日現時点ではAndroidアプリから登録するのが一番おトクです。

Androidアプリから登録すると2,950円で最も安価

「AI検索エンジン」とも呼ばれているPerplexityではあるものの、実態としてはChatGPTなどと似たようなAIチャットツールのUIをもつサービスとなっています。これまでのようにキーワードを並べて検索する方法でもかまいませんが、どちらかというとAIに対して質問や指示をするように、自然な文章で知りたいことを入力した方が期待する情報が得られやすいでしょう。

PerplexityのWeb版のインターフェース

また、スマホアプリやWebのチャット画面以外に、Google Chromeの拡張機能から利用する方法もあります。Perplexityの拡張機能を有効にすると、PerplexityがWebブラウザ標準の検索エンジンとして設定され、アドレスバーなどから直接的にアクセスできます。検索エンジン代わりに使えるかどうか確かめるという意味では、普段の検索行動をそのままPerplexityに移行できるこの拡張機能を利用するのが最も好都合かもしれません。

アドレスバーから検索できるようになるChromeの拡張機能「Perplexity - AI Search」
小窓からすぐに利用できる拡張機能「Perplexity - AI Companion」もある。現在のWebページを対象に検索することも可能

従来のAIチャットにないPerplexityの特徴

Perplexityの基本的な機能は、最新のインターネット上の情報をもとに、ユーザーの求めるものを整理して提供する、というものです。ただ、ChatGPTなども今ではインターネット上の比較的新しい情報を参照しながら回答でき、検索エンジン代わりに使えないこともないため、大きな差はないようにも思えます。

では、Perplexityは他のAIチャットサービスとどういった点で異なるのでしょうか。特徴的なところをいくつか挙げてみましょう。


    【Perplexityの特徴】
  • 回答の根拠となるソースが明示される
  • ソースターゲットを絞れる
  • 回答に用いるAIモデルを数種類から選べる(Proプラン)
  • 回答を元にした画像生成ができる(Proプラン、Webのみ)

Perplexityでは回答とともに、その根拠となるソース(Webサイトのリンクなど)を明示する点で、従来のAIチャットサービスよりも「確からしさ」を判断しやすくなっています。回答の内容はAIモデルがそれらのソースを元に「イイ感じ」にまとめるため、より突っ込んだ細かい部分を知りたいときは、ソースのリンクをクリックして直接確認すると良いでしょう。

回答とともにソースも明示する

また、Perplexityに質問するときはそのソースをあらかじめ絞っておくことも可能です。入力欄の「フォーカス」をクリックすると「All(インターネット全体)」の他に「Academic」「Writing」「Wolfram|Alpha」「Video」「Reddit」という選択肢が現れます。

デフォルトは「インターネット全体」ですが、学術論文のみを検索対象にしたいなら「Academic」を、計算や統計に関わる事柄なら「Wolfram|Alpha」を、動画を探したいなら「Video」を、掲示板の話題から検索したいなら「Reddit」を選ぶと効率の良い情報収集が可能になります。Web検索が不要でAIモデルの能力だけを利用したいなら「Writing」が使えます。

「フォーカス」をクリックするとソースターゲットを選択できる

有償のProプランなら、検索と回答に用いるAIモデルを複数から選択できます。無料プランも含め、デフォルトで選択されているのはPerplexity独自の「検索に最適化されたモデル」ですが、Proプランに登録すると、コンテキスト長の大きい「Sonar Large 32K」や、最近リリースされたばかりの「Claude 3.5 Sonnet」、さらには「Claude 3 Opus」と「GPT-4o」も選べます。

ProプランではClaude 3.5 Sonnetなど数種類のAIモデルから選べる

ちなみに、なぜかAndroidアプリでのみ「GPT-4 Turbo」が追加で選べるようにもなっています。Proプランのユーザーなら、それぞれのAIモデルの性能や特徴を活かした回答を得ることができるわけです。

Androidアプリのみなぜか「GPT-4 Turbo」も選択可

最後の画像生成機能は、主に回答内容を画像化したいときに使えます。たとえばAIチャットと対話をするなかで写真やイラストのディティールを詰めていき、そこから画像生成する、といったような使い方が考えられるでしょう。

回答内容を元に、テイストなどを選んで画像生成可能

こちらも複数の画像生成モデルから選択可能で、「Playground 2.5」「DALL-E 3」「Stable Diffusion XL」の3種類が用意されています。ただし、「Playground 2.5」と「Stable Diffusion XL」は日本語非対応のため、AIチャットで日本語を使用している場合、画像生成しても期待するような結果が得られないことに注意が必要です。

設定画面で画像生成モデルを3種類から選べる

Perplexityを使った検索・指示の例

ということで、Perplexityを使っていくつかの検索パターンを試してみました。いずれも「Pro Search」を利用し、一部を除きデフォルトのAIモデルで実行しています。

人物情報を検索する

まずは「大谷」とだけ入力した結果がこちらです。メジャーリーガーの大谷選手のことを検索したと判断し、経歴や実績とともに、検索当日に達成した2試合連続先頭打者ホームランや10試合連続打点についても説明してくれました。

「大谷」の検索結果

Web記事を要約する

Impress WatchのGoogle NotebookLMに関する記事の要約を指示してみました。URLを指定しただけでリンク先の記事を読み込んで要約してくれましたが、一部誤りも含まれているようです。とはいえ、こういったある意味普通のAIチャットとしての使い方も、問題なくできることがわかります。

Web記事の要約を指示

おすすめ商品を探す

何か欲しいものがあるときにWeb検索するのもよくあることです。ここでは「おすすめのゲーミングモニター」を検索してみたところ、真っ先に候補を挙げるとともに、ゲーミングモニターとしての一般的な機能や選定基準なども補足してくれました。選択肢が無数にあるジャンルでも容易に絞り込めそうです。

「おすすめのゲーミングモニター」の検索結果

通常のWeb検索だとニュースサイトや個人ブログ、製品比較サイトにメーカーサイトなど、あらゆるソースがずらずらと一覧されてしまいます。どれを優先的にチェックすべきか迷ってしまい、購入に至るまで無駄に時間がかかってしまうかもしれませんが、Perplexityなら素早く決断できそうです。

「Type-C対応のウルトラワイドモニター」という追加要望にもすぐさま回答してくれる

Perplexityが買い物の助けになるのは、ネット通販に限りません。実店舗での購入がメインになりやすい商品については、地図に取扱店舗の場所を示すなどして買い物をサポートしてくれることがあります。何度もクリックして深掘りしなくても、このような気を利かせた情報を一発目で提示してくれるのは、Perplexityの強みです。

「ピアノ購入」で検索した結果

動画を検索する

ソースを「Video」に設定して、特定の魚のさばき方を検索してみました。YouTubeで直接検索するのもアリですが、本当にユーザーの期待している内容かどうかは実際に動画を見てみないとわかりません。Perplexityだと手順をテキストで教えてくれるので動画を見なくても理解できますし、不安があるときは明示されているソースや関連動画をクリックすればいいので、手間は最小限です。

動画サイトをターゲットに魚のさばき方を検索した結果

物語を作って画像生成する

AIモデルに「Claude 3.5 Sonnet」を選択し、「Writing」にフォーカスしたうえで、著名作家風のショートショート(短い小説)の作成を指示してみました。Proプランであれば、このように創造性の高いAIモデルを使った楽しみ方も従来のAIチャットサービスと同じようにこなせます。

ショートショートの作成を指示

オリジナルのストーリーを作成したときには、画像生成機能でそのイメージ画像も生成すると本格感が出るかもしれません。先述の通り日本語非対応の画像生成モデルを選ぶとうまく生成できないので、唯一日本語に対応しているDALL-E 3を選んでおくことを忘れないようにしましょう。

回答内容をベースにDALL-E 3で画像生成した結果

なお、画像生成するものは回答内容に限定されているわけではありません。画像生成の際にその元となるプロンプトを変更することも可能。そこで好きな文言に変えてしまえば任意の画像を生成できます。ただ単に「3種類の画像生成モデルで画像生成したい」というような目的にも利用できるわけです。

画像生成のプロンプトはカスタマイズ可能

「1を聞いて5を知る」ことができるサービス

従来のキーワードによるWeb検索は「1を聞いて1を知る」ような形であるのに対して、Perplexityは「1を聞いて5を知る」ことができるようなイメージです。これまでは本当に知りたいことを見つけるために何度もキーワード検索したりクリックしたりしていましたが、最初の一発で知りたいことにたどり着ける可能性が高まり、ついでに補足情報まで得られます。

ただ、ユーザー側にある程度知識のある分野については「可能な限り多くの選択肢を知りたい」と思うものではないでしょうか。先ほど挙げた「ゲーミングモニター」の検索例で言えば、他にも該当する商品はたくさんあるはずです。最初から情報が絞られることで、本当に求めているものと出会う機会が失われている恐れもあります。

また、AIが参考にしているソースがそもそも公平な基準で製品を取り上げていない可能性もあり、そうすれば候補として挙げられる製品やメーカーなどが偏ることもありえます。このあたりは従来のWeb検索と同様、ユーザー側にスキルやリテラシーが求められる部分かもしれません。

Perplexityはパソコンよりスマホで活用しやすいかも?

整理した形で情報を提示する仕組みであることから、個人的には一度に大量の情報を表示しやすいパソコンより、どちらかというと1画面の情報量が限られるスマートフォンのような端末で活用しやすいサービスにも感じられました。複数のWebサイトにまたがって調べることの多いシチュエーション、たとえば旅行プランを立てたいとき、気になる物事・出来事を客観的な複数の視点から判断したいときなどにも、Perplexityが活躍してくれそうです。

日沼諭史

Web媒体記者、IT系広告代理店などを経て、フリーランスのライターとして執筆・編集業を営む。AV機器、モバイル機器、IoT機器のほか、オンラインサービス、エンタープライズ向けソリューション、オートバイを含むオートモーティブ分野から旅行まで、幅広いジャンルで活動中。著書に「できるGoProスタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS+Androidアプリ 完全大事典」シリーズ(技術評論社)など。Footprint Technologies株式会社 代表取締役。