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アシックスウォーキングは8大機能を重視 搭載技術と人気シューズを聞いた

スポーツシューズの開発で培った技術を応用し、履きやすさと歩きやすさを追求したウォーキングシューズを販売しているアシックスウォーキング。ビジネスからカジュアルまでさまざまなシリーズを展開していて、シーンや用途に合わせて選ぶことができるのも魅力です。

今回はアシックスウォーキングで各シリーズの商品企画にも携わってきた事業・ブランド戦略部の岩田裕樹さんに、どのようなラインナップが揃っているのか、スポーツシューズの技術はどのように活用されているのか、おすすめの商品を紹介してもらいながら話を聞きました。

取材はアシックスウォーキング 銀座インズで実施
アシックス商事 国内事業統括部 事業戦略本部 事業・ブランド戦略部 事業戦略チーム 岩田裕樹さん

「アシックスウォーキングのシューズは主に3つのシリーズに分けられます。ドレスタイプでビジネスシーンに使っていただけるような革靴を展開する『ランウォーク』。一番幅広く商品を取り揃えていてビジネスからカジュアルまで使うことができる、“足にやさしい靴”をコンセプトとした『ペダラ』。ウォーキングをスポーツに、という観点でつくられた『ウエルネスウォーカー』。売場もシリーズ別にディスプレイされているので、目的の靴が探しやすいと思います」

8大機能の中からシリーズにより特化する部分をチョイス

「アシックスウォーキングのシューズは8大機能として、フィット性、軽量性、クッション性、グリップ性、屈曲性、安定性、通気性、耐久性の機能の搭載を目指してつくられています。ただ、靴のタイプや用途を考えるとすべてを入れることは難しいため、シリーズやラインによって特化する部分を8つの中から選抜する、という部分もあります。それでもこだわりの機能が多数採用されているので、その快適さを体感して欲しいです」

スポーツシューズで開発した技術が搭載されているのがアシックスウォーキングの一番の特徴ですが、どのような技術が使われているのでしょうか。

「多くの商品に使われているのは、クッション性と反発性を併せ持つミッドソール素材の『SPEVA(スピーバ)』です。衝撃緩衝機能の『GEL(ゲル)』もスポーツ由来の素材で、足当たりを優しくしたり、軽量感を出したりと、さまざまなタイプのゲルがあり、入れる位置も形も靴種によって変わります。この2つはお客様がシューズを履いた時、歩いた時に心地よさを体感できる部分ですね」

主力商品の多くに採用されているゲル。シリーズにより露出しているものや複数使っているものもある

スピーバもゲルも、それぞれのコンセプトに合わせて工夫して入れ込まれています。

「ランウォークはドレスシューズになるので、パッと見は普通の靴を目指してメカニカルな部分が目立たないようにしています。スピーバはラバーカップで隠し、ゲルも中に入っている。見た目はドレッシーでも中身はスポーツシューズの技術が組み込まれているのです。一方、ウエルネスウォーカーはスポーティなタイプなので、ゲルは見せる形でわかりやすくして、デザイン的にもスポーティに仕上げています。もう一つのペダラは、『足にやさしい靴』というコンセプトがあるので、履いた時の柔らかさをより体感できる仕様にしています」

ランニングシューズの独自構造を「歩く」に応用したライドウォーク

アシックスならではの機能を聞いてみたところ、ランニングシューズの構造を歩く仕様にアレンジした商品があるそうです。

「2022年に発売された『ライドウォーク』という商品が、ペダラとウエルネスウォーカーそれぞれのシリーズにラインナップされています。アシックスのランニングシューズには『エナジーセービング』という構造が採用されていて、この構造をウォーキングシューズに落とし込んだのがライドウォークです」

つま先部分が上がっていて底面が弧を描くようにカーブしているため、着地してからコロンと転がるように推進するのがエナジーセービングの特徴です。つまり、足首の可動を抑えることでふくらはぎ周りの運動消費量を減らし、快適に長く歩くことができるというもの。

ライドウォークのシューズは横から見るとつま先部分が上がっているのがよくわかる

「ランニングシューズで採用しているものをそのまま使ってしまうと推進力が大き過ぎて、ブレーキをかけようと余計な力を使ってしまいます。そこで、コロンと一気に転がらないようにフラットゾーンをつくり、前に行き過ぎることを抑えたウォーキング仕様にしました」

底面の薄いグレーの部分がフラットゾーン

ライドウォークにはさまざまな商品があり、2023年には、ペダラにてリサイクル素材を使ったモデル「ペダラ ライドウォーク コネクト」が登場。そのほか、ウエルネスウォーカーでは大きなゲルを採用したスポーティなモデル、天候の変化があっても快適に歩くことができるゴアテックスのモデルなども揃っています。

ペダラ ライドウォークはレディースモデルも用意。ペダラ ライドウォークLUX レディース 2E(39,600円)は技術とクラフト感、新旧の融合をテーマとした、ペダラでは新たな試みのモデル

「ランウォーク」からは人気のゴアテックスモデルを紹介

ここからは岩田さんにアシックスの技術が搭載されたおすすめモデルを紹介してもらいましょう。まずは、「ランウォーク」シリーズから3型を選んでくれました。最初に紹介してくれたのは、ゴアテックス素材を使ったストレートチップのシューズです。

ランウォーク メンズ GORE-TEX防水 3E WR819P(33,000円)
横から見てもスポーツ的な要素はまったく感じないデザイン

「内羽根ストレートチップデザインで、フォーマルのほかにもさまざまなシーンで使うことができる、ランウォークの象徴的なスポーツテクノロジーを搭載したドレスシューズです。防水透湿性に優れたゴアテックスをライニングに使用していて、中敷にはランニングシューズでも採用しているクッション性に優れたオーソライトを使用しています。また、ソールの真ん中に樹脂パーツを入れることで歩行時の足のねじれを抑えるのも特徴のひとつ。着地してから蹴り出しやすいように底面に溝を入れ、足に合わせて曲がりやすい屈曲性を重視した構造になっています」

ゴアテックスを搭載したシリーズは幅広い年齢のユーザーから支持され、ドレスシリーズの売上の半分はゴアテックスの商品、というくらい支持されていると岩田さん。続いての商品もゴアテックスで、プレーントゥのモデルです。

ランウォーク メンズ GORE-TEX防水 2E 1231A056(42,900円)

「ソールの機能やゴアテックスを搭載していることは先ほどの商品と一緒で、一番の違いは使われている革です。先ほどの商品はステアという牛革を使っていますが、こちらはキップというより上質な革を使用。肌目のきめ細かさと上質な質感が特徴です。靴の内側に革を使用する事で品格を演出しています。ライニングを革張りにするなど、ワンランク上のこだわりをお求めの方におすすめのモデルです。デザインは外羽根のプレーントゥですがとてもスタイリッシュで、オン・オフともにお使いいただけます」

こちらのスニーカータイプもゴアテックスを搭載しており、カジュアルなデザインに上品さを取り入れているのが魅力です。

ランウォーク メンズ GORE-TEX防水 2E 1231A227(35,200円)

「ランウォークは基本的にドレスシューズになりますが、ビジネスシーンでのスタイリングの変化に伴ってシューズのデザインも幅広くなっています。今まではスーツのカッチリとしたイメージでしたが、最近は気軽にTシャツとセットアップというスタイルも増えてきたので、それに合わせて『キレイめなスニーカー』をご提案させていただいています。かかと部分にはゲルを搭載していて、フィット感とクッション性に優れたハーフカップ中敷を使用するなど、非常に快適に歩ける一足です」

「ペダラ」の注目は“足にやさしい靴”を体現するライドウォーク

続いて紹介するのは「ペダラ」の商品。注目すべきは、ランニングシューズの技術、エナジーセービングを応用したライドウォークです。まず登場したのは、シンプルでコーディネートしやすそうなレースアップスニーカー。

ペダラ ライドウォーク メンズ 3E 1211A070(33,000円)

「先ほどもご説明しましたライドウォークの機能を搭載しているので、同じ力でもより長く歩けるモデルになります。いつもより長く歩けるので、旅行先でもより多くの場所を訪れることができる。一歩先の世界で新しい何かを見つけて、その人の生活が豊かになれば、という思いでつくっています」

底面にガイダンスラインが入っているため安定性があり、ヒールも耐久性のいいラバーを採用するなど、さまざまな工夫が見られますが、なかでも特徴的なのがミッドソールに2種類の素材を使っているところ。

「反発性の高いスピーバと、柔らかくクッション性に富んだFF BLAST+というスポーツ系の素材を組み合わせています。硬さの異なる素材を使うことで、履いた時の柔らかさと反発性の両方を体感できる。しかも新製品に多く採用されている好評のハーフカップ中敷ですから、長く歩いても快適です」

中敷ひとつとっても足にやさしい工夫が満載

次も同じライドウォークの商品で、冒頭でも名前が上がっていたリサイクル素材を使用した「ペダラ ライドウォーク コネクト」。足にも環境にもやさしいモデルは、時代の流れにも合っています。

ペダラ ライドウォーク コネクト メンズ 1211A083(33,000円)

「ライドウォークの機能を盛り込み、アッパー部分にはリサイクル素材を用いた人工皮革を採用しています。また合成樹脂を巻き付けてデザインのアクセントにしています。ミッドソールには軽く耐久性のあるセルロースナノファイバーという植物由来の素材を使用しています。ペダラは昨年40周年を迎えたので、今後へ繋げていく、という意味を込めて『コネクト』と名付けられました」

コネクトシリーズはレディースも豊富なラインナップで、ライトブルーといったアクセントカラーも用意(33,000円~)

トラッドな外羽根Uモカデザインのカジュアルモデルの新色も登場。ペダラらしい色と形で、見た目からは想像できない軽さを実現しています。

ペダラ メンズ 3E WP307J(27,500円)

「カジュアルとしては定番のアイテムで、ペダラの従来のやさしさや機能を持ち合わせたモデルです。とてもシンプルですが、革巻きをするカリフォルニアプラットという製法を用いているためフィット感があり、屈曲性にも優れています。ミッドソールにはスピーバを採用するなど、アシックスらしい素材使いで品のあるデザインに仕上げています」

今シーズンはよりカジュアル感が求められていて、黒よりもベージュやブラウンをお求めになるお客様が多い、と岩田さん。いつも黒いシューズばかりを選んでしまう人は、ぜひブラウン系にもチャレンジしてみてはいかがでしょう。

「ウエルネスウォーカー」からは履き心地と使い勝手を重視してセレクト

スポーティなデザインを採用している「ウエルネスウォーカー」のおすすめは、ペダラでも紹介されたライドウォークの機能を搭載した一足。さらにゴアテックス素材で天候を問わず長く歩くことができると、岩田さんも太鼓判を押します。

ウエルネスウォーカー ゲルライドウォークGORE-TEX防水 3E相当 1293A036(22,000円)

「ライドウォークの商品の中でも大きなゲルをかかと部分に搭載しているため、着地した時の衝撃緩衝力が高く、底面には蹴り出しまでの歩行を安定させるアシックス独自のガイダンスラインも入っています。さらに素材はゴアテックスなので、雨の日も快適です。デザイン的にも高評価をいただいていて、とくに靴紐はコードロックタイプなので着脱も楽ですし、少し休憩したい時に緩めることもできて便利です」

カラバリでライトグレーもラインナップ

続いて登場したのは、ハダシ感覚の履き心地を追求した、軽量でスポーティなウォーキングシューズ「ハダシウォーカー」です。お手頃な価格と歩きやすさで人気のロングセラーモデルですが、お客様の声を受けてこの春に全面リニューアルをしたそうです。

ウエルネスウォーカー ハダシウォーカー メンズ 3E相当 1291A056(各12,100円)
ブラック×ブラックのほか、ネイビーブルー×ライトベージュ、ホワイト×グリーン、ブラウン×オフホワイトと全4色が揃う

「お客様から『もう少しクッション性が欲しい』『デザインがもっとシンプルな方がいい』といったお声があり、それを反映する形でリニューアルしました。クッション性を求められる声が多いので、従来モデルよりもソールに厚みを持たせ、中敷には低反発のオーソライトを採用。かかと部分に入れているゲルも、発泡させた軽量のフューズゲルを使っているのでシューズ自体もより軽量になっています」

アイコンとなっているアシックスストライプをあしらったスポーティなデザインで、脱ぎ履きがしやすいようにファスナーを採用したり、履き口をパイピング仕様にしたりと、細かい部分にも工夫が見られます。中でもこだわったのが歩行時の安定性です。

「中央のガイダンスラインとかかと部、つま先部の溝が同じ方向を向くことで歩行時の左右のブレを抑える、アシックスの特許技術『グルーヴチェンジ』構造のソールを搭載しています。たくさんのこだわりを詰め込んでいるのに、非常にシンプルに仕上げていてお客様に好評です」

足形計測や修理など、直営店ならではのサービスも充実

より自分の足に合った一足を選ぶなら、足形計測をするのがおすすめです。すべての直営店に3次元足形計測機があり、足のさまざまな部分を計測してもらえます。

「お客様がご自身の足について知ることは大事なことなので、まずは知っていただくという意味でも計測をおすすめしています。3次元足形計測では足長、足囲、かかと幅、足高、かかと傾斜角度、第一趾側角度(親指の曲がり具合を見る)、アーチ高の7つのポイントから足を計測し、これが靴選びの基本データになります。足のトラブルの要因がわかることもあるので、ぜひ体験してみてください」

測定結果によって足に合う靴や中敷を提案。データを元にセミオーダーの中敷をつくることもできる

また、商品によっては修理ができるのもうれしいところ。ソールや中敷を取り替えたり、仕上げ直しをしたりできるので、より長く履くことができます。

「最近はモデルによってはゴアテックスの商品も1回のみですがソールを交換できるようになりました。以前はゴアテックスのライニングを採用している商品は修理ができませんでした。また、ヒールプラグというかかと部分の修理も、モデルにより対応しています。お値段的にも決して安いものではありませんので、修理が必要な場合はぜひ直営店にご相談ください」

これからは外出も気持ちいい季節ですから、より長く歩くことができるシューズを手に入れて、旅行やお散歩などで快適なウォーキングを楽しみましょう。

アシックスウォーキング 銀座インズ(東京都中央区銀座西2-2先 銀座インズ2 1階)
中野悦子